紙 短 情 長

私、比良坂蒐が日々の雑感や趣味の小説を書き綴っていくブログです。
書きたいことはたくさんあっても書ききれないです。


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もうすぐ20回目になる「いろいろ好きなもの紹介」のコーナーです。
今回は、昨年と一昨年に紹介した「ファタモルガーナの館」の姉妹作品を紹介いたします。

1.「霧上のエラスムス」
製作:Novectacle

-物語-
舞台は現代のヨーロッパ。フランスのストラスブールに、かつて「エラスムス」というヨーロッパの大学生の交流を促す計画によって知り合い仲良くなった6人の男女が「霧の魔女」と名乗る謎の人物に呼ばれ、同窓会のために集まった。彼らは同窓会の会場へ向かう途中何故か男女別に分けられて移動することになり、その途中で男性陣が乗っていた車が何者かに襲われる。気を失った男性陣が次に目を覚ましたとき、彼らは全員記憶を失っていた。
同窓会の会場である洋館で再度合流した6人は、男性陣の記憶喪失に驚きながらも徐々に明るい雰囲気を取り戻し、洋館の中を探索したり女性陣の手料理に舌鼓を売ったりと楽しい時間を過ごしていった。しかしその一方では、当初同窓会に来られないと言っていた人物が突然現れたり、一行の様子を何者かが陰から監視していたりと徐々に不穏な気配が動き出す。
そして翌朝。ある事件を切っ掛けに、同窓会の会場は悲劇の舞台へと変貌していく…。

-見所-
2011年にゴールデンウィーク企画として発表された読み切り型サウンドノベル。「ファタモルガーナの館」のパラレル作品で、「ファタモルガーナの館」本編に登場するキャラクター達がスターシステムで別のキャラクターとして登場しています。
「ファタモルガーナの館」に負けず劣らずの素晴らしいゲームで、イラストもBGMも本編とは雰囲気が異なっていて、かつ美しい。更にこのゲームの専用BGMを作曲された作曲家・守屋昂生さんはなんとこの当時高校生(!)。高校生でこれほどのクオリティの高い曲を作れるとは…まさに天才としか言いようがありません。
ゲーム本編の話に参りましょう。このゲームは最初の内は明るい雰囲気が続きますが、洋館到着後から少しずつその雰囲気に影が差し始め、男性陣が記憶喪失になった理由が明かされるところから物語が大きく動き出します。その理由はかなり飛躍したものなのですが、実はそれこそがこの物語の大きな鍵。記憶喪失の理由が明かされてから物語は大きく動き出し、登場人物それぞれが抱えていた秘密や裏の顔が次々に解き明かされて物語はゆっくりとクライマックスに向かっていきます。
このゲームも「ファタモルガーナの館」と同じように「人間同士のすれ違いから起こる悲劇」を大きなテーマとしており、それが物語の根幹を成すある設定とも繋がってきます。
登場人物それぞれが抱えていた秘密が次々明かされていく展開は圧巻の一言。更に物語を全て読み終わった後でもう一度最初から読み直してみると、最初から伏線がいくつも隠されていたことが分かって更に物語の凄さが増します。
重く暗い物語ですが、是非多くの人に読んでほしいクオリティの高い作品です。



2.「セブンスコート」
製作:Novectacle
-物語-
主人公のミシェルは、自作のフリーゲームを公開しているウェブサイト「ロワイヨムヘブン」の管理人。ある年のエイプリルフールの日、ミシェルは突然「セブンスコート」というRPGゲームの世界に放り込まれてしまう。そこでミシェルは自分と同じようにゲームの世界に放り込まれた人物達―仲の良い兄妹・メルとネリー、プライドの高い男性ヤコポらと出会い、彼らが「ロワイヨムヘブン」のBBSをいつも訪れていた人物達であることを知る。ミシェルは彼らと共にこの世界を脱出するため、ゲームクリアを目指して「セブンスコート」の世界を旅することになる。


-見所-
続いては今年のエイプリルフール企画として製作・公開されたゲーム。「霧上のエラスムス」同様「ファタモルガーナの館」のキャラクターがスターシステムで登場するパラレル作品となっています。
今回の作品は実際にウェブ上に開設された「ロワイヨムヘブン」のBBSの内容とストーリーが繋がっており、BBSの内容を先に読んでおくと物語の中の謎を理解しやすくなります。


ゲーム本編の話に移りましょう。
エイプリルフールに作られるゲームは、大抵エイプリルフールの明るい雰囲気に合わせて明るい、コメディ調の内容のものが多く見られます。
しかし、このゲームはそうではありません。
最初は明るいコメディとして始まり、その後もキャラクター同士の漫才のような会話や所々に挟まれたパロディやギャグなどもあって明るい雰囲気が続いていきます。しかし物語が後半に入ると、その雰囲気は一変します。


何とか魔王を倒してゲームをクリアしたミシェル達。しかし物語はそこで終わりませんでした。
突如始まった「二周目要素」でゲームの世界から出る鍵を探そうとするミシェル達でしたが、そこでミシェルや他の人々が抱えていた・隠していた秘密が次々と暴かれていき、物語は次第に思いもよらない方向へと転がり始めるのです。


このゲームの物語は「フリーゲーム製作者の抱える想い」と「インターネット上での虚構」が大きなテーマとなっており、同時に「ファタモルガーナの館」「霧上のエラスムス」の二作品同様「人間の心の弱さ・強さ」が物語の軸になっています。
ストーリーの重大なネタバレを避けるためにもココで多くを語ることは出来ませんが、フリーゲームを作った経験がある人・または現在フリーゲーム製作者として活動している人、そしてインターネットに関わっている全ての人に読んでほしい作品です。

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