いつもいつも自分だけが恋の相手に選ばれない、
働くばかりで歳をとるのが怖い、
学校の友達と同じフツーでいたい、
――女たちの本音を描く、全6篇の連作オムニバス。
- HER (Feelコミックス)/ヤマシタ トモコ
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「『君に届け』の椎名軽穂推薦! これだから女の子って可愛い!」
というオビの文句は、いくらなんでも本作とはかけはなれすぎなアオリなんじゃねえのと、まあ購買層を広げるという目的は果たしているのかもしれませんが、しかし間違ってもそーゆーキラキラ少女まんがだと思って購入してはいけませんのでご注意を。
えー、本作はアレですね、コンセプトとしては、よしながふみ「愛すべき娘たち」のような、女子の生きにくさのアレコレを描いた、連作短編集です。
せっかくですので、一篇ずつの感想を。
CASE.1
モテ服なんて馬鹿みたいだけど、でもモテたいんだけど、なんであたしだけがいつも選ばれないの! とイライラカリカリしがちで、周りの男連中からはコワイと思われているらしい、井出さん(25歳)アパレル勤務。
あー、この愛されたい焦燥感は、若いときにはありがちだなー記憶にあるなあ! と思ってしまう、オープニングのイデさん編。
しかしですね、彼女のこの悩みは年齢とともに消えていくものなので(彼氏できるにしろ出来ないにしろ、焦っていられるステージはそう長くない……)、頑張れ! とエールをおくりたくなりました。
CASE.2
毎日毎日、客とのコミュニケーションだけでお腹いっぱい。恋なんて出来ない。このままひたすら働いて歳をとって死ぬの……? という、美容師・小野房さん(31歳)。
はたから見ると、仕事に満足している安定した大人のようで、実はすりきれそうな毎日に疲れはてている彼女、ふとした瞬間に、常連客の不幸を妄想してしまったりするわけです。
……あるよね! だいたいさー、毎日生きてるってだけで疲れるよね!
でも60歳くらいの人が「30になった時にトシとったなーと思ってたけど、今から考えりゃ全然若いよ! あとになってみればあの時は若かったって思うことばっかりだよ」とか言ってましたので、あんまりトシをとることを怖がらなくていいのだそうです。(……と小野房さんに言ってあげたい。)
CASE.3
フツーでいたい。まだ処女なんてヘンだから隠さないといけないし、園芸好きなんてヘンだから秘密にするし、ダサい名前が大嫌いで、そして皆とおそろいのシュシュは絶対つけなきゃだし、という西鶴さん(16歳)。なのに偶然見かけた隣人のタケヤマさんは、年寄りなのにレズなのに、全然「ふつう」でないくせに、なぜだか堂々としていて……?
かわいいお話だなー。私はコレが一番好きで、もうちょっと長編で読みたいくらいです。
この物語のタケヤマさんのような「世間からは外れているけど、でも大切なことを言ってくれる年長者」て、なかなかいねえよ! 西鶴さんはラッキーだよ!
CASE.4
お洒落しない化粧もしない、だけど性欲だけはあって、行きずりの男と簡単に寝てしまう、そんな地味系会社員・西浦さん(34歳)。彼女を今も苦しめるのは、かつての母の不倫で……。
こ、これは分かんないわ……。不倫してた母へのあてつけ(?)で、女らしく装うこともなく、しかし性的には自堕落な生活をおくってしまう西浦さん。ううーん、彼女の母へのこだわりと地味な服装のところまではともかく、江古田ちゃん的ビッチ生活をするのがよくワカラナイ(自宅暮らしだしさ)。
というより、なんとなく彼女のコレは甘えではないかと思ってしまうなー。
「いいかげん許してやれよ母親の一時期の気の迷いくらい、いい歳していつまでも親を理由にするなよー」という気がしてしまいますね……。
……というわけで、息切れしてきたので、あとの二篇は省略で(オイ)。
しかしなー、作中で言われる「娘に訪れるすべての幸福も災厄も母親に由来する」というのは、正直なところ私にはよく分かりませんでした。うーん、それはかなり密接な母娘関係がある場合じゃないかなー……。
良くも悪くも、私自身はそういった「母親の呪い」みたいなのは実感したことはないですねえ。どちらかといえば父のほうがアレな人なので、そっちの呪いのほうがあるせいかもしれませんが……。
そうそう、そういえばこのまえ実家へ顔を出したところ、うちの母は「聞いてよ! この子の目の高さで歩いてみたら、もー首が疲れるったらないのよタイヘンよー! だから私最近は首のマッサージしてあげてるの」とか言って、得意げに犬の首のマッサージしてましたよ……。
アレ? もしかして私が母親にとくに執着されて(愛されて?)ないだけのことかも……!!(←気づくのおそい)