*この記事は棋譜およびニコニコ生放送(大橋六段、熊六段、山本さん)のタイムシフト視聴から記述しております。他のプロ棋士の方の解説などは参照しておりませんので、予めご了承ください。



どもです。


AlphaGoが、勝ちましたね。

少し寂しいけれど、まぁ勝ち負け自体はタイミングだけの問題でもあるので、まぁショックを受けるなら早い方がいいかな、という見方もあるかな。

どんなに強い人でもせいぜい勝率が7割の世界なので、一度負けたところでどうということもなく。

不屈の向上心を人間が持ち続けることが、必要なのかなと思います。


棋譜は以下をご参照ください。

http://gokifu.net/t.php?s=6541457516557626


黒:イ・セドル

白:AlphaGo


黒7はこの配置では初めて見た手。

かなり確度の高い推測として、AlphaGoの自己学習のストックにこの布石はほとんど含まれていないとみて、序盤早々から揺さぶりをかけに行った、というところでしょう。

このあたり、もし並の人間がイ・セドルと対峙していたなら「深読み」や「恐れ」など、何かしらのリアクションがあり、それは表面的には消費時間にあらわれる、と思われます。

やはり心理戦の要素は囲碁にもあるのですが、ここはAIの特性か、それほど間を置かずに白8と普通に一間高ガカリ。


白10では、ニコニコ生放送で熊六段が言及していた「良くない手」の1つ。

これはどういう意味かと言うと・・・。


図1(実戦)


図2(白にとって都合のいい図)


実戦のように図1と打つと、黒6で4線の高さが確保でき、右辺から中央に関する発言権が増します。これと比較し、図2のようになるのであれば、右辺の黒の構えは平面的であり、図1に比べて白の形が優れています・・・一般論としては。


しかしながら、少し後に大橋六段が言い淀んだことも理由があります。


図3(図2の派生)


まず、図2の黒4では右辺に打ちません。上辺の守りの方が価値が大きく、右辺は黒石が3線に集中しており、価値がそれほど大きくないため。


図4(図2の派生)

図2~図3での白3の一間飛びは黒が受けてくれないので、おそらくこの図4が現実的。この場合、比較対象は図1と図4になります。

大橋六段が言い淀んだのは、この比較でどちらが白にとって良いか、判断ができなかったため。


もし、ここまでの話をAlphaGoが検討した結果、熊六段が言う「一般的には悪い手順」の図1を選択したとすれば・・・。

このあたり、人間の感覚や形勢判断をわずかに狂わせる、遠因になっている可能性があります。



白22までは自然の流れ。

ここで黒23のツケに対し、白24から白26のぶつかりはちょっとびっくりする強手。

ここでイ・セドルも最強の対応をしましたが、大橋六段は正面衝突は怖いということで、身をかわす方が良いのでは、と趣旨の発言でした。


図5(大橋六段イメージ?)



黒27と押さえてから白42まで、少し手順は長いですが、あまり変化の余地がなさそうで一本道に近いかな?

ここで黒43が棋士たちの驚きの声を上げさせた手。

まぁ、この辺に何か打たないと以下の図6の手段があるので、守り方がちょっと特殊なだけですが・・・。


図6(黒ツブレ)


白48は熊六段、大橋六段ともに感嘆のため息が漏れた手。

この手は・・・まぁいい手であることを図で説明することもできなくはないのですが、なぜか説明自体が無粋に感じられるような気がします。

この手を「品が良い」と感じられれば、碁打ちとしてはかなりの水準である、といえるでしょう。

俺がこれを表現するならたぶん・・・「育ちがいい手だね」かな。


黒55まで、だいぶいじめられたものの、上辺の黒は生きており、一段落。

白58も、驚き。

普通に考えたら、以下のように打たれてシチョウに取られて悪いのですが・・・。


図7(白取られ?)


図8(続・図7 白サバキ??)

どうサバくのか、良い流れがわかりませんが、この図7~図8の黒3と白4が黒もつらいので打ちたくない、ということで黒61と抵抗したのも、強情ですね。

このあたり、勝負所でかなり難しく、いろんな可能性がありすぎて詳細な解説ができないです。


白66のタイミングで熊六段、大橋六段が会話していたのは、以下の図のこと。


図9(白66で中央をあたりにしたらどうなるの・・・?)

図10(白、中央の石が取られる)


白66から黒79まで、流れは比較的自然に進んでいます。お互い、無理に軌道から外れていない、ような。


白80も、すごく上品。でも、人間の感覚的には「すましすぎでは?」というくらいのんびりしたイメージ。

前述の白48を「貴公子」とするなら白80は「ボンボン」みたいな差を感じます。。。


図11(一旦、白受けておく。直接的な策動は黒が無理気味)

でも、直接的な手段がすぐになくても、周辺状況が少しでも変わると、すぐ手が成立するので、実戦の白80もこれはなかなか趣き深いと言えるような。難しい。


黒81から黒93まで、一段落。

すいません、ここも変化が多すぎて、なにが正解か俺ではわかりませんが、衆目が一致する通り、実戦の分かれそのものは黒地が大きく、軍配があがるように見えます。


さらに、白96から黒101まで先手で形を決め、白102が非常に厳しい勝負手。

ここまで踏み込める度胸、そして踏み込まないと勝てないと考える厳格な形勢判断、やはりただごとではない。


黒111のとき、熊六段と大橋六段が検討をしていた内容は、おそらく以下のような内容です。


図12(黒111で這う手はないの?)

図13(最初に検討していた図・・・と思われる)

実戦とは違い、先手で白3子を確実にとれるけれど・・・?


図14(白8、さらなる抵抗。黒ツブレ)

したがって、どうやら実戦の黒の自重が正しい、という二人の話につながります。


黒115まで、白の勝負手が奏功しました。

白116、冷静。もう少し効率的に守る手がありそうですが・・・というのが熊六段、大橋六段の弁。



黒121と先手をきかそうとしたところに対し、白122から、下辺と右下の折衝が最後のポイント。

白124から黒地への侵略を残しつつ、右下の黒地を先手で荒らし、白150まで回って、白がはっきり優勢のようです。

なお、白142ではさらに良い受け方があったみたいですが、AlphaGoは「勝率が最も高い手を選ぶ」ということで、わかりやすい(?)手を選んだのかな。


図15(白142で良い受け方。右下の白は生きている)

図16(黒2で切らないと、白3子が復活する手が残っている)


白150以降、黒にチャンスや波乱を起こす余地はありませんでした。

白122ですべてを支えている、というのが勝着(?)に見えます。俺はまったく気づきませんでした。


さて、強い。

セドルも強いはず。明日の2局目も、注目です。



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