ブドウの搾り滓からできる蒸留酒、
グラッパを飲んだことがありますか?
「グラッパは宝石のようなものだよ」と語り、
![[みんな:02]](http://emoji.ameba.jp/img/user/na/namida-egao/1496.gif)
世界中に絶大な人気を誇るイタリア、グラッパの生産者、
故ロマーノ・レヴィ氏の蒸留所を訪ねました。

ロマーノ・レヴィ氏は、
1945年から2008年5月に亡くなるまで、
直火式の蒸留器を使い、
ブドウの搾り滓を乾燥させた燃料を燃やし蒸留を行うなど、
頑固なまでに昔からの造りにこだわり、
グラッパを造り続け「幻のグラッパ」と呼ばれるほど
非常に少ない生産と、その日に瓶詰めする分だけのラベルを
手書きで描いていました。
一枚一枚、違う手書きのラベルはどれも、
あたたかみがあり印象的です
![[みんな:01]](http://emoji.ameba.jp/img/user/be/bell-tree-911rira/533.gif)
著名なイタリアのワイン評論家、
故ルイジ・ヴェロネリ氏がレヴィを
「Grappaio Angelico(=天使のようなグラッパ職人)」
と形容し、世界中のメディアで紹介され、
レヴィは伝説の人となったのです。
初めて彼のグラッパを友人の紹介で飲んだ時は、
あまりに衝撃的で、どんな人が造っているのかと
その場で質問攻めにしたほど。
私の場合、素晴らしいものに出会ったとき、
この産地に行ってみたいということを超えて、
この人に会ってみたい!と強く思ってしまうのです。
口に含んだ瞬間、高いアルコール度数の中にも、
「こんなに柔らかくて、香り豊かなお酒があるのか!」と
度肝を抜かれ、一気にその魅力にとりつかれました。
そして、同じ蒸留酒である焼酎を、
こよなく愛する宮崎県人のフーデリーのお客様とも
その感動を共有したくて、
おそらくスーパーマーケットでは世界で初めて?
レヴィーのグラッパを販売したのでした。
今ではプレミアム度が増し、価格も高騰し、
手に入りずらくなったため、販売していませんが、
彼のグラッパを取り扱っていたことは、
今でも私達の誇りであり、大切な思い出です。
ワインの醸造過程で不要となる、
仕込みの途中で除梗されたぶどうの絞り滓を
蒸留してつくられるのが、イタリアのGrappaグラッパです。
蒸留所のある、ネイヴェ市は、ピエモンテ州クーネオ県にあり、
ワインの銘醸地として有名で、
世界的に名高いバルバレスコやバローロも近く、
ワインの有名産地なのです。

訪問した際、ネイヴェ市副市長のAdelino ICARDI氏が
案内してくださり、現在製造をしているファブリッツィオ氏から、
レヴィー生前から変わらない、グラッパ造りを教えていただきました。
まず、周辺のカンティーナ(=ワイン醸造所)から
持ち込まれていた新鮮なヴィナッチャ(=ぶどうの絞り滓)は、
いったん庭に掘られた穴に埋められ、
いわば天然の冷蔵庫で保管され、徐々に使います。
赤ワイン用ブドウ品種のバルベーラ種やドルチェット種、
ネッビオーロ種が持ち込まれるそうです。
レヴィのお父さんの創業当初から80年以上を経過した、
直火式のカルダイアと呼ばれる銅釜を含む
蒸留装置アランビッコを使用しています。
3時間から3時間半かけて100度で蒸留され、
ヴィナッチャに含まれる水分とアルコールの二つの揮発成分は
加熱によって水蒸気となります。
アルコールが気化した蒸気を再び純度の高いアルコールとして
液化させるために、冷却装置である銅製のパイプと蒸留塔で液化し、
そこから直接パイプで樽に移された後、
2年~5年にわって樽熟成されます。
樽の素材がトネリコとクリ材の場合は透明に、
アカシアとオーク材の場合はコハク色に、
材質の成分が滲み出て仕上がるそうです。
最終的には、アルコール度数が50~60度になるよう
加水の上、瓶詰めされます。
a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111123/08/decopro/70/d3/j/o0800060011628207959.jpg">

毎年、10月初めから3月~4月まで少しづつ蒸留され、
今年は67回目の蒸留となるそうです。
直火の蒸留機の火は一度火を入れると絶やさず
春まで燃え続けます。

一枚一枚手書きのラベルのグラッパ
アルコール抽出を終えたヴィナッチャは、
抽出の際の燃料にまわされます。
そして、最後に燃やしたヴィナッチャの灰は、
ブドウ農家に引き取られ肥料として活用されるそうなのです。
この一切無駄のない循環にも感動。
ラベルを描くアトリエに入ると、
壁一面に世界中から訪れる訪問者と撮られた写真や、
いろいろな絵が掛けられていました。
レヴィが好きだというフクロウの小物が、部屋中に置かれています。
もう一つ、ファンの間では有名な?虫を捕るから、と
そのままにしている幾重にも張られたクモの巣やクモは今でも健在で、
窓際の机の前にチョコンと座ってラベルを書いていたレヴィが
今もまだ、いるかのようにそのままで使われていました。

レヴィと友人だったという
ネイヴェ市副市長 Adelino ICARDI氏と アトリエにて
レヴィのイメージの中にある景色や人を、絵や詩で紡ぎ、
ひとつとして同じものが存在しないレヴィの手書きラベルをまとった
グラッパには、世界中にファンがおり、亡くなってしまった今では、
プレミア価格で取引されています。
残念ながら今は、印刷のラベルのみですが、
今も同じ作り方で引き継いでくださる方が
いらしてくれていることが嬉しくてなりませんでした。
有名人たちのメーッセージのところに
私の名刺も一緒に添えさせていただいて
いつもレヴィーのアトリエに心だけでも
寄り添っていたいので(笑)

「私は、ゼロからはじめて、今でも見習い」と語る生前のレヴィ。
大量生産や目先の流行とは縁のないところで、
昔ながらのやり方、手作業で、
世界にひとつだけのグラッパを造り続けてきた80年の人生で、
彼は何を思い日々過ごして来たのだろう。
生前に蒸留された貴重なグラッパを飲ませていただきながら
「本当の豊かさとはなんだろう?」と宮崎から遠くはなれたこの場所で、
深く考えたのでした。
成熟社会における国や地方のあり方として
GDP(国内総生産)などの経済的尺度だけでは表すことのできない
「新しい豊かさ」をどう展開したらよいのかのヒントが、
イタリアの地方には、多く隠されている気がしました。
宮崎の素晴らしい生産者たちがそうであるように
このような生産者=人こそが、
ネイヴェ市の宝石であり宝物であると思うのです。
ロマーノ・レヴィRomano Levi Grappa 生前のレヴィが見れるVTRです
http://www.youtube.com/watch?v=X9SxP37cssg