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2012-02-17 18:42:52

利益相反と特別代理人

テーマ:成年後見
Aさんが亡くなりました。配偶者はおらず、相続人は子であるB、C、Dです。Bは精神障害があり、Bの成年後見人に弟のCが就任しています。不動産、預貯金等Aさんの遺産を分割することになりました。

子であるB、C、D全員が遺産分割協議をすれば遺産を分割することができます。しかしBは協議の内容が理解できません。Bの後見人であるCは、相続人でもある自分の固有の地位を利用し、CさんとDさんだけで遺産分割協議をすることができるのでしょうか?

これはできません。これではCに圧倒的に有利な協議がなされてしまう危険があります。Cは簡単に自分に都合の良い協議をすることができてしまいます。このような状態を「利益相反」と言います。BとCの利益を相反させてしまうという意味です。そこでこのような場合、家庭裁判所でBの特別代理人を選任し、特別代理人、C、Dで遺産分割協議をすることとなります。

では具体的にどうするかというと、家庭裁判所に特別代理人選任申立をします。申立書に、遺産分割協議の案を添付することになっています。予め協議内容を上程し、それを家庭裁判所が判断することになるようです。特別代理人が就任したからといっても、その代理人が恣意的に協議することはできないようです。

これから後見制度を利用する方が増えてくると、このような問題がより多く生じることが考えられます。
2012-01-30 09:41:49

面倒な仕事

テーマ:相続
1月は色々な仕事の動きがありました。その中でも、受託した案件で面倒な仕事がありました。死亡した両親の戸籍を取得するというものでした。

亡くなった方が不動産を所有しており、遺産分割をして不動産の相続登記をするのであれば我々司法書士の「職務上請求書」を使用すれば楽に戸籍を集めることができます。しかし今回は亡くなった方が不動産を所有しておらず預貯金や保険金の還付のため戸籍が必要になったため実務上は「職務上請求書」は使えないと考えます。そのため依頼者の方から委任状をもらって戸籍をとることにしました。
委任状の他に身分証明書のコピー等を添付する必要もあり面倒なうえ、死亡した両親が転籍を何度も繰り返していたものの、事務手数料は非常に少額なものになるので受託する事務所がないことが予想されました。どうやら依頼者の方もいくつかの事務所を当たられたようで受託してもらえなかったようです。
その方の話を聞いていて、面倒で安価な仕事だけどやってあげないと依頼者自身もっと困ることになると判断し受託しました。案の定面倒な処理でした。

戸籍を引き渡した後、依頼者の方が仰いました。「こんな面倒で安い仕事を受けていただきありがとうございました。私の友人にここの事務所を紹介してもよろしいですか?」嬉しいお言葉を頂戴いたしました。

何でも受託できる訳ではありませんが、処理をすれば片づく仕事だったので受託させていただきました。今回のような心がけや執務姿勢も大切なことだということを依頼者の方から勉強させられました。
2011-12-26 10:50:09

後見制度支援信託1

テーマ:成年後見
しばらくの間ブログを更新できずにいました。仕事の都合でもありました。

さて、この2ヶ月で何よりも嬉しかったのは、私のブログをよく読んでくださっている方がお仕事のご依頼をくださったり、相談のお電話をくださったりしたことでした。嬉しい一方で少し考えさせられることもありました。読者の方の中には、すごく内容をよく読み考えてくださっている方がいらっしゃるということが今さらながら認識できました。
私のブログは、基本的には私生活を書かず、司法書士の業務を通じ法律業務の情報を提供することを目的としてきましたが、こんなによく読まれていることを考えると、「こんなブログでいいのだろうか?」と若干反省と後悔の念が生じてきていました。今後もっとしっかりした内容を提供しないといけないと切に感じています。

前置きはそのぐらいにして本題に入ります。昨日、私の所属する(公社)成年後見センター・リーガルサポート東京支部の研修が神保町の一橋ホールでありました。研修テーマは「後見制度支援信託」でした。

今年のはじめあたりから「後見制度支援信託」という言葉をちらほら聞く方もいらっしゃると思います。成年後見業務関係者は特にこの言葉に敏感になっていることと思います。

民法上、後見人になれるのは司法書士などの専門職だけではなく親族も後見人になることができます。近年、親族が後見人になった案件で、後見人が預かっている被後見人の財産を横領してしまう事件が非常に多く、判明しているだけでも被害額は22億、1日600万円が横領されているという事実があるようです。講師として招かれていた最高裁判所の家庭局課長の方が非常に心配そうな面持ちで現状を説明くださっていました。

この現状を改善し、被害を少なくするため、親族を後見人として就任させる場合、日常生活に必要な金銭を残したまま、大半の財産を信託銀行に預けさせ、勝手に財産を使えなくするシステムを構築したようです。もちろん、被後見人の医療費に多額の出費が必要な場合には、信託銀行から引き出すことができますが、この場合には事前に家裁に報告書を出し、家裁が承認し「指示書」が出ないと預金をおろせないシステムになっています。いわゆる事前チェックを徹底したシステムです。このシステムが「後見制度支援信託」と言われるものだそうです。要は、ほとんどの財産を信託銀行で凍結し、簡単に引き出せない仕組みです。

原則として、今後申立がなされる「親族が後見人に就任する」案件につき、来年からテスト的に開始するようです。今我々が担当している案件について「後見制度支援信託」に強制的に移行を求められるわけではないようです。

我々司法書士の関与ですが、モデルケースとして①家裁が親族後見人と職業後見人という複数後見人を選任する②職業後見人が財産調査をして支援信託制度を活用できるかを判断のうえ家裁に意見を述べる③支援信託制度を活用できる場合は、どの信託銀行へ預け入れるか等を検討④信託銀行に預け入れた後、職業後見人は辞任、親族後見人が財産を管理⑤親族後見人が財産管理を継続する、ということになるとのことです。

そして、新たにリーガルサポートが実施した研修を受講した会員につき「支援信託名簿登載者」として家裁に提出し、名簿に従い仕事を依頼するという形になるようです。この関与は弁護士と司法書士が行うとのことです。自己破産の際の「破産管財人名簿」で弁護士が管財人に選任されるのと同じ様な感じなのでしょう。

高齢化社会を迎え、この分野は流動的な要素が多く、これからも責任重大です。


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