ウェブ人間論

ウェブ人間論
梅田 望夫, 平野 啓一郎

「ウェブ進化論」の続編ともいうべき「ウェブ人間論」を読む。梅田望夫氏の「ウェブ進化論」は今年のベスト級の新書で、実は2006年の夏頃にやたらと本のタイトルでお目にかかった「WEB2.0」の火付け役となった新書なのだ。注目の梅田氏と個人的に偏愛する作家平野啓一郎との異色の対談集となっている。特に平野の存在がそうさせているのだが、ウェブ進化が本に及ぼす影響について少なかず論じている。この新書で私が読みたかったのもまさにこの「本のウェブ進化論」であって、WORDSGEARの購入に迷っている私を後押してくれるフレーズを期待した。

 書店員であるから、IT経営コンサルタントの梅田氏よりも作家・平野の考えに近いだろう読前は思っていたが、まったくの逆で梅田氏のほうがウェブ優位性を他では主張するものの、本に関しては音楽業界のレコードからCDへの移行の成功例をもとに紙の本は生き残ると主張する。作家である平野のほうが、いまよりももっと安価な専用端末が発売され廉価でダウンロードできるようになったら
「紙の本は出版されるが、本が出版されたという事実を実体化させる象徴的なものでしかなくて、装丁はどうでもいいという人はダウンロードで手にいれるようになる」という。書店出版サイド
の立場にいる平野が、もう紙の本の将来について退廃的な考えを持っている現状は否定できない。作家の未来もウェブや電子書籍と大きくかかわるはずだから。
 今後のウェブの世界で生き、人間はどう進化していくか多くの示唆に富む良書である。最近の新書の売れ筋が「格差社会」「ワーキングプア」とか読んでいると苦しくなるのが多いなか、本書は未来の展望は非常に明るい。



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