ダメ営業七転八倒 -4ページ目

地盤と基礎形式の決定

 例えば、すんげー値の張る服を着ていても、靴がバーゲン品の1000円やそこらの安物だと、笑いものですよね。服と靴の話なら、まだ笑いを取りにいけるだけよいけれど(知らずにやっているとイタいが)、それこそGAに掲載されるような作家性バリバリの建物の基礎がヘナチョコで沈んでクラックが入って、なんて話だと、金がかかっている分、洒落にならないでしょ? 過剰品質になる必要は勿論まったくありません。でも、然るべき対策、工法を取った基礎にしないと、これはまずいでしょ、やっぱ。
 見積もりなんていう作業があるんですよね。だから、一個前のエントリーに対するじゅんさんのコメントのように、基礎決定に右往左往なんてこともあるのかもしれません。

 じゅんさんやaixさんがどの辺に住んでおられるのかは分かりませんが、こちら富山県のウチの会社が絡む物件の話としてお聞きください。
 まず、地盤調査。木造ならウチの会社はスウェーデンサウンディングで5万円。これは、建物全体の設計・施工の見積もりの前段階に施主さんにお願いしてしていただきます。設計士さんの紹介で施主さんと直接ウチの会社との取引となることもありますし、工務店さんがまず別枠で調査費だけ施主さんに請求される場合もあります。で、ウチはその報告書で基礎形式や地業(改良? 杭?)についての考察をさせてもらいます。で、施主さんと設計士さんや工務店さんの相談で、予算を鑑みてどうするか決定してもらうのですが、そのときになって、設計士さんや工務店さんのなじみの業者の中に適当な工法をできる方が居ない場合に限り、ウチで紹介させてもらっています。紹介マージンは殆どの場合いただきません。その代わり、その業者から逆に仕事をもらうことはあります。で、あとは、そういう地業を含めた見積もりを出せばいい、ということです。あまり、ウチは指定もの、特許ものの工法はお勧めすることはありません。本当はそういうきちんとした裏づけのあるものを欲しがる施主さんもおいでなんですがね。
 または、地盤調査以前に、付近の地質データの問い合わせからはじまることもあります。それから、多分、ということで、杭になるのか、コラム改良になるのか、表層改良になるのか、基礎幅を広げるだけでいいのか、大体目安をつけて、多少変動はあるという前提で見積もりを作られる場合もありますが、それはどちらかというと、RCの大きな建物の方が多いです。木造住宅では、大げさなことはできないし、必要ないときもあるのですが、その分表層5m以浅のデリケートなところでやるので、過不足のない基礎や地業のためにも調査は不可欠だと思います。特にまったく更の造成地ではしたがどうなのか、全然わかりませんし。

 さて、杭か表層改良かコラム改良か、はたまた個人的には好きではないけれどベタ基礎か。どれが安いのよ、という話。他の地域ではどうか分かりませんが、こちら富山県ではいつだったかっけ、F1の佐藤琢磨が自転車で優勝した…あ、あれは富山インターハイだった。そうじゃなくてそのちょっと後の富山国体のあと以来、建設土木業界は長期低迷期にあって、地業各社もすげえ仕事が無くて大ディスカウント大会になってしまったのです。新しい安く上げられる工法も出てきて、何は差し置いてこれが安いからいい、ということはなくなっています。あえていうなら、杭なら杭、改良なら改良の中にも高いもの、安いものがあるぐらいで。特に改良では機械が現場に入っていけるかとか、飛散する改良材など周辺への気遣いとかあるし、杭だってモノによっては振動のことがあります。値段よりもそういうことのほうを心持優先される設計士さん工務店さんが多いようです。

 まぁね、見えないところよりも見えるところにお金を使いたいっていうのが普通だろうし、安く上げたいって言うのも人の心です。でも、これは設計士さんや工務店さんのプロ意識にも関わる問題では無いでしょうか? うるさく言い過ぎると施主さんに嫌われてしまうけれど、誠意を持って説得すべきところは説得すべきです。施主さんに地盤や基礎についてきちんとした説明が必要なときは、きっとそれぞれの地域にそれをやってくれる地盤調査会社があるはずです。ウチもそうしていますから。

徒然

 それとなく二級建築士の勉強始めていたりする。別に建築家になりたいわけでもないのだが、地盤調査だけに拘っていては、仕事の広がりも無いかもしれないと思って、建築のこと勉強したいと、ある建築家さんに相談したら、二級の勉強したらいい、とアドバイスをもらったから。
 思えば、広告の仕事やって、ゲームの仕事やって、わが人生谷あり谷あり…って、おい、谷ばかりかい!? っていうのはおいといて。
 
 それはそうと、中高の同級生のマツオカはこの春、いよいよ、自分の事務所をオープンさせる。そのマツオカの愛読書がGA JAPANという雑誌で。
 どんな雑誌かというと、あるHPで、こういう書き抜きを見かけてなるほどと思った。

         GA JAPAN       ROCKIN' ON JAPAN
ボス       二川幸夫       渋谷陽一
特徴       こだわりの建築雑誌  こだわりの音楽雑誌
根本原理     モダニズム      ロック
最近のリスペクト 妹島和世       椎名林檎
無視       ゼネコン(竹中以外) エイベックス
ポリシー     作家主義       アーティスト主義
定価       2400円        540円
入社倍率     2倍(?)       約1000倍

妙に納得したボクは、そうです。パンクロック世代。

面白いことやってます。

 値切られるんです。5万円の調査費。つらいです。ウチだって、いい加減な、前にも書いたいつか問題起こすような調査、したくないんです。
 で、考えました。以下、ウチのHPからC&Pします。どうですか?

 家を建てる事は人生の最大イベントです。イベントの一部でも作業参加する事は"自分達で建てた家"の意識を育み、良い家を安く作るために必要な意見を持つことになり真剣な打ち合わせが出来ます。とは言え、材木のほぞ穴掘りや、壁塗り・壁紙張りは作業工程や仕上がりにも関係し、素人が手を出せるものではありません。
 地盤調査はどうか、この作業は宅地が決まった後ならいつでも出来ます。敷地が多少広くてもわれわれプロがお手伝いすれば調査地点を適切に配置できますし、記録に残しておけば結果が有効利用されます。調査の結果は報告書としてお渡ししますが、原稿は当社で一括管理していますので不測の事態では再発行も可能な体制を採っています。
 戸建て住宅の地盤調査ではスウェーデン式サウンディングが主流です。特別な地盤でない限りこの調査法で地盤調査の目的は達成できます。この調査法は熟練技術者に助手と記録係りがチームを組めば1棟の現場調査は0.5日で出来ます。調査技士と調査機材を貸与しますから、夫婦でも親子でも助手と記録係を勤めて地盤調査をしませんか。弁当持参でピクニックがてら一日助手と記録係りを努めれば、その分だけ調査費用が安くなります。
 調査の結果は私共が整理し報告書にまとめ提出します。報告書では敷地を構成する土の諸性状とその特性にふれ、考えられる基礎形式や必要ならば付帯工事をついても言及することになります。それを基に工務店や住宅メーカーさんと住宅の基礎形式や掘削工事について検討を加えられれば、安くて良い案が出来ると思います。

 調査内容とその費用について
  1)全てを委託される場合           金50,000-
   スウェーデン式サウンデイング 4地点(深さ5.5mを基準)
   試掘        1地点(深さ2.5mを基準)


  2)機材1式と調査技士をレンタルする場合   金35,000-
     調査内容は1)に準ずる。


  ただし、機材だけのレンタルは調査結果に責任が取れませんので行なっていません。


苦肉の策です、実は。でも、面白いと思いません?

因みにウチの会社のアドレスです。mgr@siren.ocn.ne.jp
HPのURLは 
http://www5.ocn.ne.jp/~mgr/

地盤調査やりなよぉ~ その2

 先週は現場が立てこんだので、更新を休んでしまった。ウチは宅地の調査だけでなく、土木工事の現場管理のための試験なんかもやっていたりする。また、同じボーリングっていことで、鉄塔のアースのためのボーリングとか。
 さて、そんな先週だが、高岡の中心市街地からそれほど遠くない新しい住宅造成地の調査にも行って来た。実のところ現場はボクの家の近所なので、昔からどのような土地だったか知っているのだが、少なくともボクが今の家に越してきたときにはそこは金属工場だった。工場跡地となると、今は法律で売却の際、売り手が土壌の汚染調査を行わなくてはならないということになっている。そのへんは大丈夫だった。また、化学工場とか金属工場でも大きな炉みたいものをもっているところだと、ゆうがいではないにしろ、発生した滓なんかを捨てていたりして、そこれがまたガンガンに硬かったりしたりすることが多いのだ。が、もとあった工場もそんな規模が大きいものではなく、そのような心配も無かったのだが…。
 広い敷地内で11箇所のスウェーデン・サウンディング。大体2区画に1本ぐらいの割合で行った。川と鉄道に挟まれた形のその造成地は、すべての地点で見事なばらつきを見せてくれた。もちろん傾向はあるが、いずれにしろ、何らかの対策というのは必要であると思われる。そのような結論である。

 さて、この造成地に限らず、今後地盤に何の対策も必要ないという所はどんどん少なくなっていく物と思われる。理由は簡単。良好のところから既に造成され売れてしまっているからである。また、軟弱なりに建設予定の敷地の四隅の地盤の様子が一定しているのであればまだしも、殊、富山県の西部、僕が住んでいる高岡など、硬い地盤と軟弱な地盤が入り組んでいて非常にややっこしい。隣家のデータすらあてにはならない。奇しくも、今日打ち合わせした設計士さんも、(高岡など県西部は特に)まさに建築予定地で調査しないと怖くて仕方ないとおっしゃっていた。
 それが仕事だからと、何度も繰り返すが、地盤に関しては勘と経験で大丈夫、などというのは、是非ともやめていただきたい物だ。

 調査費が数万円、それに対策を立てるとして、aixさんのところでやったEAZETの如く指定ものの杭ならともかく、表層改良、コラム改良、基礎底面積を広げる、等など、予算なりに対策はあるもので、平均して数十万円とする。例えEAZETであってもaixさんのところの工事では220万だったそうで。その辺を上限と考える。
 一方、いざ、不同沈下が起こってしまった、として。ウチでやる沈下修正工事は今までやったうちで一番安くあげたのが30万なんていうのもあったが、それは極めてレアなケースで、大体ちゃんとした効果があがるようなことをやりたければ、2、3百万から数百万。それでもウチなど、恐らく同じ工法の全国平均よりは安いはずである。さらに大掛かりな工法のことを聞くことはあるが、その値段は押して知るべしである。そして、ウチがやるのは基礎までのことで、建物自体の柱や梁の歪み、戸などの修正、壁を作り直す工事が必要で、場合によっては、施工者の責任で建て直し!!ってことにもなりかねない。最低数百万は修正にかかる。そして負った心のダメージ、プライスレス。

 ということで、ひとつ宜しく。

地業あれこれ

 aixさんの女性建築家の卵?業務日誌
の中の2月8日のエントリー、見積りモレ(汗)の話。まぁ、なんというか、次がんばれ、なんですが、恥ずかしながらイーゼットという杭、初めて聞きました。多分有名なんでしょう。杭には認定物、特許物というのが結構多く、杭は杭なんだけど、それぞれ、俺のところのがすごい、って感じで、見ていて面白いです。
 
 不良債権処理がもたついて、大トヨタに助けてもらうことになった、かの大手ハウスメーカーも使っているという、Res-Pという杭があります。ほら、足場材の60mmの単管パイプ、あれを杭に使うわけです。叩いたり回したりなだめすかしたりして支持層まで挿入していくわけですな、専用の機械で。回転かけるというのがミソ、というか、特許のキモらしいですわ。
 対候性というか、経年劣化はどうなのか、ということなんですが、今日日の足場パイプにはメッキがしてあるので、心配することはない。

 で、ウチもやっているわけですよ、調査会社なんだけど、建設業の免許、一応とって、ちょこちょこした杭工事。上のRes-Pではない、亜種とでも申しましょうか。何しろ、ロイヤリティー払ってまでそんな工事もしたくないし。使うのが同じ足場パイプなんですがね。Res-Pのような回転をかけるわけではない、小さくって面白い機械があるんですわ。それ使って。特許はとってません。安いのがウリです。
 ウチは、改良屋さん、杭屋さんからも仕事の紹介なんかしてもらうので、あからさまにバッティングするようなことはしないのです。それほど手を広げるつもりもありませんし。
 ある調査で、支持層に傾きがあって、地盤改良ではちょとまずい。でも、杭屋さんに出張ってもらうほど大げさでもないし、それこそ、工事機械が入れないような現場、というのがありまして、それじゃこういうのやってみようか、とはじめたのが最初です。
 特許をとってないこともあって、なんか異様に安くあがってしまったのでした。それに地盤改良だと、次の工程まで2,3週間あけなきゃいけなくなるけど、この工事ならウチの作業が終わった、次の瞬間からOKということで、やってみたら、結構ウリが多かったと。

 
 そんなこんなで、杭ひとつみても、いろんなのがあるんだな、と、楽しいのですが、住宅建築における、地業には、変りダネというか、素人感覚からすると、ちょっとびっくり、というのは結構あります。
 土木の世界のことなんですが、道路の路体盛土の代わりに発泡スチロールを敷き込む工法があるのを聞いたことをある人は多いと思います。
 それならば、軟弱地盤の改良体の変わりに発泡スチロールをつかったらいいのではないか? という発想で、そんな工法。
株式会社PLG
 コロンブスという名で、いろいろ地業を提案しておられるが、その中のひとつ。言ってみれば、トロトロな地盤に浮かぶ発泡スチロールのお舟のうえに家が建っている、そんなイメージ? 構造計算書をつけて保証までしてくれるというのだから、いたせりつくせりなのですが、ただひとつ、工事残土、発生します。その始末、当然お金かかります。

 もうひとつ。日建ウッドシステムズclub.com/index.htmlのジオクロスというのもおもしろい。不織布を縦横に敷き詰めて程度にオーバーラップさせて強度を出し、考え方としては基礎の底面積を増やし単位面積あたりの荷重をへらしてやるという、ベタ基礎に近い考え方だと思う。
 個人的な好みなのだが、前にも書いたとおり、ベタ基礎というのはそれだけで、少なく見積もっても1.5倍は建物の重量が増えてしまうので、好きではない。(って、好き嫌いの問題か?)これなら、うまくいけば軽い重量でベタ基礎と同じ効果を得られることになる。
 ただ、この工法、うちの会社では推薦した事はまだない。というのも、表面波探査との親和性が高いらしいが、そもそも、表面波探査をうちの会社としては宅地調査の方法としては信用していない。日々技術は進歩するだろうから、折につけ、この調査方法についてチェックは入れているが、今のところ、表面波探査で万全な調査が出来る自信がないので、ウチではやっていない。
 また、この工法の案内があったのは2003年の夏ごろの話。特許のこともあるのだろうか、爆発的に拡がった工法とはなっていない。つまり、実際のところどうなのか? という不安は確かにある。でも、おもしろいよな~と思う。

 ひょっとしたら、これは知ってるよ、という方も多いかもしれない。また、もっと面白いの知ってるよ、という方も。よかったら、どんなのか教えてください。

 何卒、良しなに。

内断熱? 外断熱?

 直接ウチの会社の業務とは関係ないが、工務店とか建設会社とか回っていて、で、その関係のHPとかも良くみて、で、よく売り言葉になっているのが、「内」と「外」の「断熱」やら、空気循環やら。
 いっぺん、腰入れて勉強せんといかんかな、と思っていたのだが、いろいろブログをあさっているうちに、こういうのを見つけた。

良い住まいについて考える

 やはり、というか、どちらかに、決定的なメリットがあるわけではないらしい。穿った見方をすれば、高価な部材をより多く使用することになる外断熱が今は優勢なのかもしれない、と、ボクは感じてしまったのだが、まぁ、ここだけではなく、他のサイトとかもよく読んで行こうと思う。
 業種は違うが、スタンスがウチとこと似ているなと感じた。

てこずりはしなかったが疲れた

 昨日は春を思わせるような天気だったが、今日はみぞれから雪になって、というような天気。別に、さ、だからって、この時期だからいいんだけどさ、やっぱ、いい天気のほうがいい。で、軟弱地盤のスウェーデン祭り。結果、思ったほど悪くはなかったです。ほどほどのところで支持できそうな層があったので、まぁ、そこまでコラム改良か何か、って結論になりそうな予感。

 ウチのような弱小ブログ、リンク張りまくって、トラックバックもしまくって、で、そちらから実に来ていただけるようにするしかないのだが、そんなわけで、帰り間際、関連業種の方のサイト、ブログを中心に探しまくってるわけです、面白いところ。  
 で、探してきました、こういうところ。


外断熱住宅で【長生きするための家造り】に成功する!

 工法にはまぁ、好き好きがあるのですが、施主さんが自宅の建築のプロセスを発表しているのがいい。施主さんがこれだけ意識を高めて、ある意味、自分の家の建築に積極的に関わっていく(ブログに書けるぐらい)というのは、逆に欠陥住宅を防ぐ有効な手段だと思われる。
 こちらの会社の「地熱利用」というのは、たいへんユニークだ。こちらの会社のある千葉と違い、富山は積雪があり、この考え方が応用できるか分らないが、今度営業回りするときに、工務店さんとかと話するときのネタにさせていただこうと思う。

久々の現場


 今年初めての現場作業でありました。氷見で宅地の地盤調査。氷見というのは…ぶっちゃけ軟弱なところです。軟弱でなくても地震とか起きたら液状化を起こしそうな土質をしたところが多いです。丘陵部も地すべりとか起こしやすいです。夏は夏で富山県で唯一水不足を起こす、そんなところです。
 そんな書き方をしたら、よくもまぁ、そんなところに住む人がいるなぁ、と言うことになるのですが、ブリおいしいです。魚、最高です。と言う感じです。なかなか人が住むところを探すと言うのも難しいです。
 なんて、別に深刻になるほどのことは無いのですがね。全部で10点のスウェーデン調査。1点10メートルの指定。疲れます。そこまでロッドが入っていくわけですし。午後からの作業となりました。あしたに持越しです。

 予断は禁物なんですが、正直、かなりの軟弱地盤を想像していました。万全を期すためには地盤改良も必要かもしれません。多少、浅い部分で耐力にバラツキがあるようだからです。まぁ、あした全部やらないとわからないんですがね。極端なバラツキが無ければ案外大丈夫かもしれません。

 会社に帰ってこのエントリー打っています。お腹すきました。今日はここまで。別にサッカー、どうなっても、それほど興味が無い非国民ゆえ、慌てて家に帰ることも無いのですが。限界です。

 それでは。

地盤調査やりなよぉ~


地盤調査の必要性が言われ始めたときには、やらなきゃいけないのかな、と思ってウチなんかに調査の依頼をしていたのだが、いつのまにやら地盤調査をやらなくなってしまった工務店がある。スウェーデン調査など、地盤調査ということでやったことは一度も無い、という工務店もいる。地盤調査会社の営業としてはゆゆしき事態。

地盤調査の必要性がうんぬんされだしたのは、特に瑕疵補償制度が整備された前後。多くの工務店が、確認申請や公庫の融資に必須になると思っていた。実際、銀行の融資では地盤調査結果が必要なところもあるし、品確法でもこれがないとどうしようもない。しかし、それがなければ、家を建ててはいけない、とか、家を売ってはいけない、なんて事にはならなかったのだ、極端な話。
ひたすら低価格の建売住宅が売り、という不動産/工務店というのがいて、たまに、うちに地盤調査を依頼してくるのだが、「地盤調査済みです」という事実だけが欲しいらしく、実際、ここが建売のために購入する土地というのは、正直安いなりの、という土地なのだが、当然、調査結果も「何らかの対策が必要」という結論が出てくるのだが、あろうことか、それでは困るから鉛筆なめてくれ、と頼まれたことがあった。とんでもない。調査会社として信用に関わってくることであるので、丁重にお断りした。
とりあえず調査は行うのだが、上に書いたように営業材料、ウリ文句のひとつとして調査した事実だけが欲しい、というパターンもある。一応調査はするのだが、調査の重要性、意義をよく理解されていない。……営業のオレの責任か……_| ̄|○

調査をやらない根拠として、こんな感じの地盤だったら、こんな感じでいいだろうという、経験からくる勘、というのが有るようだ。経験という物を尊重することには吝かではないが、しかし、新しい造成地は地盤が実際どんな物かわかりはしないのだ。随分と危険な話だ。断言する。
スウェーデン調査こそやらないが、基礎工事の前に重機で試掘してみて基礎をどうするのか決めるという工務店もある。まぁ、これならば、かなりましかな、という気もしないではない。が、しかしこれにも盲点があるのだ。

次の機会には、調査結果が予断と違っていて、あぁ、調査やっておいてよかったね、なんていう具体例もあげていきたいと思うが、どんなことが多いかというと、四隅4点、もしくは中央もやって5点、予想していなかった、支持層の傾き、地盤のバラツキというのが、案外と多い。試掘を四隅でやるのであればそれで間違いないと思うが、実際そうしているのだろうか?

結局のところ、地盤調査の必要性が言われたときに、各調査会社が満足してもらえるような仕事をやらなかったということも有るのかもしれない。
思えば、先日の3万円調査の調査報告書。確かにあのような内容であったら、調査なんかしてもしなくても同じじゃないか、なんて思われても無理はない。或いは、地盤改良付きなんてことになると、ほんとにそんな工事、必要なの?なんて疑問を感じてしまう時も多く有ったのかもしれない。
ウチの仕事を省みて見る。住宅地盤調査ということで現在のパッケージで始めてから、最初のころは、日程の調整でゴタゴタしたことがあり、離れていった顧客があった。値段で3万円所に流れていったところもあった。色々反省するところはあるのだが、この何年かはかなり出来上がった調査を提供できていると思う。
しかし、現場調査と、調査報告書、このパッケージ自体には自信があるが、それ以上に何かソフトの部分で何か出来そうなこと、5万円を頂く以上何かやっておかなくていけないところ、改善すべきところがあるような気がするのだ。それを探すのはボクの仕事なのだろうが。

これから家を建てる人へ。工務店の方が「必要は無いでしょう」と言っても、それでもちゃんとしてください、と言ってください。ホント地盤って調べてみないとホントにわかりません。または見積り書に10万円ぐらいで地盤調査費を計上していながら、あろうことか、ちゃんと試験を行っていないメーカーがかつてありました。今はどうかわかりませんが。できれば、地元の調査会社に直接依頼されて、現地立会いされることお奨めします。

どっちを選ぶ?

どっちを選ぶ?

 地盤調査屋の営業、つまり住宅建築業界のはしっこで、この世界を見たときに、このごろ良く思うのは、つくづく定型的な正解というのはないのだな、ということである。

 これから家を建てるつもりでいろいろ勉強されている方なら、まぁ、木造で家を建てるといっても、工法も大きく分けて二つ、つまり在来の軸組みというやり方と、木製パネルを使うやり方があるというのは御存知の通り。その二つの工法を併用するというやり方も含めて。
 住宅品質確保法という法律がある。これは強制力を持ったものというよりは、ひとつの品質の基準みたいなものである。その辺、まず勘違いしていた、ボク自身。
 同級生で、この春独立して設計事務所を開くヤツがいるのだが、彼いわく、この法律もいい加減なもので、たとえば、何十年経験をつんだ大工が丹精込めてほぞなんか切ったりして組み立てた家よりも茶パツのアルバイトの兄ちゃんが圧搾空気を使うピストル型の釘打ち機でパシュンパシュンいわせて組み立てた家のほうが、品質が高いという評価がなされている、そういうシロモノだというのだ、この法律は。ちょっと考えれば軸組み工法よりパネル工法のほうが質が上ということのように思える。実際には軸組みであろうと、ちゃんと書類を作成し審査を受ければパネル工法と同等の評価は受けうるのだが、軸組み工法はパネル工法に比べてデザインに自由が利く、というのが仇になり、審査が煩雑にならざるを得ない、というのがあり、結果、軸組み工法にとって不利な法律になってしまった、ということであろう。
 パネル工法というのは、きわめて現代的なやり方といえる。工場で作られたパネルをマニュアルに沿って組み上げればそれほどの熟練度がなくても一定以上の品質が確保できる、何度も述べているが、ある意味トヨタ的であり、ファーストフード的ともいえる。感覚的にそこはかとなく拒否感がないでもない。そういう人も多いはずだ。実際、品確法というのは大手ハウスメーカーの営業材料でしかない、という考え方も出来ないではない。
 しかしながら、その土地土地で根を張る工務店にも、必死にそんなザルみたいな法律を守ろうと営業努力しているところもあれば、本家で法律に適合しても、話にならない手抜き工事で問題を起こすフランチャイズもいたりする。もっとも、最近ではそんなひどい施工業者はそうしたフランチャイズや下請けからしめだされているだろうから、問題が起きる可能性はかなり少ないのかもしれない。
 何が言いたいかというと、住宅品質確保法、これ自体、絶対な物ではない。確かに将来売却の可能性があるときはそれに適合するかしないかで、リセールバリューは大きく違ってくるだろうが、自分の終の棲家として考える場合、それがないからといって、必ずしも不安のある住宅であるとはいえない。良い住宅かそうでないかを分けるところはもっと別のところにあるらしい。

 材木の話。
 ある設計士さんのところで世間話をしていたとき、親父さんと二人で材木屋、といっても、現在は床材に特化した商いをやっておられるらしい、そんな男性と同席することになった。
 10年前、商売に行き詰って死にそうになっていたのだが、外材を輸入元から直接仕入れ、サンプルは自分の仕入れたものから納得のいく形で切り出しそれを使う、そんなやり方で、現在は親子二人でやって、年商1億純益1千万という商いをやっておられるのだそうだ。特別大もうけというわけではないが、家族でやる規模としては十分で、かつ、働くのが一番面白いぐらいの商いと思われる。つまりのところ、土地の問屋を通さない、中間マージンがいらない分、安く施主さんに提供できる、自分で輸入もとで品質を確認できる、そんなところが彼の武器だ。実際、安くて質のいい商品を提供できること、最近では床暖房が流行なのだが、それに合わせたフローリング材というのはなかなかあるものではないらしいのだが、その辺も彼が輸入元と直接掛け合って、小回りの利いた商品開発を可能にしているのも彼の強みだ。
 取引のある工務店の話。こちらは、富山県産の材木を積極的に使用しているというのが売り。食品では地産池消という言葉がはやり。それの建築版と考えれば分りやすいか? コストはどうなんだろう? とか、いろいろ考える。HPのコピーには地元産の木を使うことが己ず、風土に合った住宅を作ることになる、そのようなことが書いてある。感覚的な話であるが、しかし、こういった動きにシンパシーは大いに感じられる。ビジネスという面で見ると、いろいろ辻褄が合わなさそうなそんなこともありそうだが、建築に携わるものとしての社会的使命感というか、自持が見ていて心地よい。
 上の材木屋さんもこの工務店も、自分のやり方を信じ、このやり方が正解なのだということを証明するために…やっているわけではないだろうが、しかし、輸入材だからよくない、ということも、それに比べて県内産の材木が高いのでよくない、ということも、これだけを取り上げて言い切る事は出来ない。

 ここ数年、工務店に話を持ち込まず、まず設計士に相談する施主さんが増えているらしい。設計、監理を設計士に任せ、設計士のアドヴァイスを受けながら家を建てていく上での各工程を行なう施工業者を決めていくというやり方である。ボクの巡回先の設計士さんが加盟している団体でこういうのがある。

オープンシステムネットワーク会議   http://www.open-net.jp/contents/index.html

 まさしく、上記のようなやり方をなさっている設計士さんの団体だ。
 何年か前、ある建材フランチャイズの施工のひどい手抜き工事具合を告発するHPを目にしたことがある。確かに、ひどいシロモノだった。その後、そのような企業告発に対して、企業側に有利なようにインターネットに関する法律が整備されてしまって、そのような告発ネタのHPは影を潜めてしまったが、家を建てる上である時期、施工者に対する不信がずいぶん高まった時期があったかと思う。そこで、設計士が主導権をもって家を作るというスタイルがはやる必然があったわけだ。思えば、設計と施工が独立するというのは理にかなったやり方と、感じられる。
 工務店、ビルダー側にしてみれば、見くびられたものである。そこで、最近ではこういうのがある。お付き合いのある設計士さんがこちらにもいる。

ARCHITECTS STUDIO JAPAN   http://www.asj-net.com/

 家を建てる上で、設計士にまず相談する、というのは、ボクにしてみれば一番理にかなっていると思われるのは、何も、ボクの父が一級建築士だったからというだけではない。しかし、それにもリスクはあるようだ。何も分らない施主さんに設計士を紹介する業者がいるらしい。そこに支払う中間マージン。トータルな意味で建築をマネージメントを誰がするのか? 設計士、と思われる危険。そういうのが得意な設計士ならいいが、すばらしい設計図をかけても、その辺のマネージメントが得意でない設計士がいる可能性は十分ある。結果、施主さんはトータルな工事費を安く上げられると期待しているのに、そうはならなかった、というケースもあるというのが、ARCHITECTS STUDIO JAPANの言い分。実際のところ、どこの馬の骨とも分らない「紹介業者」に中間マージン持っていかれるぐらいなら、自分たちが早いうちからコミットしていこうという、工務店の思惑が見て取れる。餅は餅屋という自負がある。設計士をデザイナーとして捉える、いわば建築のDCブランド化の動きを取り込もうということらしい。しかし、設計と施工の独立性はどうなのだろうという懸念は残る。実際に家を建ててみないと本当のところは分らない。

 ずいぶん生臭い書き方をしてしまったが、要は、施主さんが満足できればそれでいいわけであり、上記二つのやり方、欠点というのは、それぞれあくまでリスクでしかない。いい出会いがあれば、どちらのやりかたでも問題は起きないはずだ。 
 一個前のエントリー、「適正価格」というところでも書いたが、十全の工事とそれに見合った適正な工事費というのが大事。安くなるらしいから、と、それだけの意識でまず設計士さんに相談する、あるいは安さだけに注目してハウスメーカーの言われたとおりにする、というと泣きを見る可能性が高くなってしまうということだろう。
 ウチの会社のホームページでも書いていることなのだが、ほとんどの人にとっては家を建てるというのは一生一度の大イベントなはずなのだ。当然、とても高額な買い物となる。安く上げたいのが人の気持ちだが、そのためにもまず、意識を高く持つことだろう。安さより何より、一つ一つ納得して進められるやり方を。当然、すべての人がプロ並みの知識など持ちようもないし、それぞれの仕事があるのだから建築現場に張り付いていられるわけでもない。その辺はそれぞれ自分の事情を考えながら、どこまで、「お任せ」にできるのか、そして、本当に「適正価格」なんていうものはわかりにくいものではあるけれど、閾値に満たないぐらい値切ってしまえば、手抜き工事になってしまう可能性は、どんな良心的な施工者の手で行なわれたってありうるのだということ。

 家を建てるというのは、やはり、他の消費財を買うのとはちょっと違う。なんかあれば、クレームで、なんて事前に軽々しく考えないほうがいい、例え、今の法律ではそれが可能だとしても。