「10月になったから袷にしなきゃ」
10月にはいると必ず耳にするこの言葉。
本当にそうなのか疑ったことありませんか?
明治時代、それまでの太陰暦(旧暦)から、太陽暦(新暦)に切り替わることで、洋服の衣更えが定められましたが、和服の衣更えは定められませんでした。これは 役人・軍人・警察官の制服を洋服に定めたものであり、その洋服の時期を定めたものです。
太陽暦6月1日 - 9月30日が夏服、10月1日から翌年5月31日が冬服とされた明治政府の通達になぜか和服も併せてしまったのが大間違いです。
ちなみに、六月一日と十月一日というのは旧暦でも礼服の衣更えの日でありました。
※当ブログでは漢数字の月日を旧暦、アラビア数字の月日を新暦とさせていただいております。
ちなみに、四月一日を「わたぬき」と読むことからわかるように、この時期に褝(ひとえ)にするのは周知の通りです。
旧暦の六月一日は新暦だと6月後半~7月上旬になります。
旧暦の十月一日は新暦だと10月後半~11月上旬になります。
そりゃ、10月だからといって袷にしていたら暑いですよねw
ところが、旧暦は月を基準にした暦のため、季節が若干ずれることがあるため、これを補助する暦が生まれています。それが二十四節気です。これは礼服よりも普段着の衣更えに向いています。
ですが、現代では、旧暦の衣更えよりも、この二十四節気の衣更えに合わせる方が合理的といえます。
二十四節気は当blogで連載している「こよみ」で主に紹介していますが、
1.立春⇒袷
2.雨水⇒袷
3.啓蟄⇒袷
4.春分⇒袷(人形仕立て)
5.清明⇒袷(人形仕立て)
6.穀雨⇒袷(人形仕立て)/紗袷
7.立夏⇒褝/紗袷
8.小満⇒褝/紗袷
9.芒種⇒褝/紗袷
10.夏至⇒薄物
11.小暑⇒薄物
12.大暑⇒薄物
13.立秋⇒薄物
14.処暑⇒薄物
15.白露⇒褝
16.秋分⇒褝
17.寒露⇒褝
18.霜降⇒袷(人形仕立て)
19.立冬⇒袷(人形仕立て)
20.小雪⇒袷
21.大雪⇒袷
22.冬至⇒袷
23.小寒⇒本袷
24.大寒⇒本袷
という流れになります。