2006-08-01 17:11:13
一目瞭然
テーマ:坊さんいつだったか、或るお家の法事が終わって、お別れの挨拶を交わし玄関から外に出ると、家の数人の人たちも一緒に見送りにと出て来られて、そこの婆さんがまた丁寧に頭を下げてお礼を言われるものですから、私も恐縮しながらそれ相応に応えておりました。この家の前は広々した露地になっていて、そこには手入れをしたばかりのような小奇麗な庭園があり、その脇には畑がありました。
丁度その時、その畑や庭で遊んでいた4、5人の同じ年頃の子供たちが私たちの所に駆け寄って来ました。多分、孫たちなのでしょう。その中の一人の男の子が「帰るんか」と婆さんに抱きつきながら尋ねました。
「おいね。あんた達も、ご院さんに“有難うございました”とお礼を言いまっしね」。私はそのような会話を聞きながら自分の車に乗り込むと、別の男の子が大きな声で「でっけぇー!」と、車の中の私を指差し叫びました。
すると、その子より年下の子が「ほんとやー、豚さんだー!」って言うのです。私は一瞬ムッとしたものの、その場は何も聞こえていない振りをしておりましたら、婆さんは余程ばつが悪かったのでしょう。「あら、何てことを、面目ねぇ。さぁ、さぁ、あんたらあっちへ行こう(行きなさい)!」と、追い立てるように両腕を横に振りながら言っています。
さぁ、何故に私が豚に見えたのか、それは頭が大きく、顔が色白だからだと思います。私の車はレヴューといって、軽四のような小型車で、大柄な私がその車に乗ると、どうもそれがアンバランスでもあり、外から見ると車内が大きな顔で一杯のように見えるらしいのです。そう云えばあの時、婆さんは下を向いて、自分の口に手を当てていましたなぁ…。全く、子供の目は正直なものです。
さて、これもいつ頃だったか、私は北陸大谷学園の代表者として、地元銀行の主催の会合に出席するために、私の車で会場に着いたところ、会場の入口近くでは赤い棒を持った人が二人、来場車両の誘導をしている様子です。私の車を見つけたその内の一人が、ウィンカーを出しているにも拘わらず、目の前で両手でバッテンのサインをして無理矢理止められてしまいました。
そして、私に怪訝な顔で「こちらにご用でしょうか?」と窓越しに覗くように訊くのです。でも、その後、漸く中に入れてもらえて分かったのですが、周りの止めてある総ての車が、所謂、黒塗りの車や、高級車ばかりだったのです。それは、サラブレッドの中にポニーがいたようなものでした。
住職の口癖 辛抱する木に、花が咲く。
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