2012年02月26日(日)

封切前夜の悪夢

テーマ:ぶらっと!
映画を作るのは楽しいが、プロデューサーとなると話は別だ。
企画段階ではバラ色の夢に酔えるが、資金調達で酔いは醒め果てる。
撮影では事故の心配で緊張を強いられ、完成の喜びは打ち上げの一瞬。
そして、上映の劇場が決まり封切りの前夜になると悪夢に襲われるのだ。

一昨日の夜(2月24日の夜)、僕は悪夢を回避しようと睡眠薬を飲んだ。
午前2時ごろ床に入ったが、心がけも睡眠薬も何の役にも立たなかった。
いつものように、確実に、悪魔は笛を吹きながらやって来たのだった。
なんと、封切りの初日、舞台挨拶の僕の前に観客はたった二人しかいない!
「こんな筈はない・・」マイクを握るがショックで声も出ないではないか。

「こんな筈ではない・・これは夢なのだ・・」
居たたまれなくなり、絶句してロビーに出るとスタッフの姿も消えている。
「みんな・・逃げたのか!」叫んだ途端に目が覚めた・・例の悪夢だった。
本当に嫌な夢だ。枕時計を見ると午前4時、汗びっしょりで気持ちが悪い。

以前、今村プロで今村監督と仕事をしていた時は、作ることが楽しかった。
配給や上映は東映や松竹がやってくれるので、良い作品つくりに専念できた。
21世紀になり、自主制作を始めてからは全てを自分たちでするしかない。
興業収入が悪ければ資金回収が出来ず、借金地獄の苦しみ待っている・・。
その時から、僕の封切り前夜の悪夢が始まった。

映画の独立プロダクションは殆どが零細企業体で、倒産件数も多い。
常に悪夢に脅かされ、倒産して家族離散は日常茶飯事。でも続ける者は多い。
その謎は不可解だが、映画制作には夢と自由があり麻薬のような魅力がある。
これはTV局の下請会社から来たプロデューサーの言葉だが、僕の場合は違う。

映画の製作費を集める方法は色々あり、大手の映画会社からだと下請けになる。
自らが幹事会社になり、幾つかの企業が出費する制作委員会方式もある。
以前は、投資会社が集めるファンドも在ったが、殆ど還元が無いと分かり撤退。
いずれも、良い作品を作る努力をするほど我が身が細り見合わないシステムだ。

僕は制作費の50%を自分で拠金する。ここで自己借金が派生するが仕方がない。
残る50%は、作品の賛同者に1万円位の小口の拠金をお願いして作品のDVD
を贈る。僕らは通常販売のDVDは作らないしTV局には売らないので、
賛同者向けの貴重な私家版DVDである。
それでも尚も製作費が不足すれば広告としての協賛金を集め、助成金を申請する。

自主制作の映画を上映できるのは、都市圏に残るわずかな名画座やミニシアター。
売り上げは折半で広告宣伝費は制作側の負担だから収入は僅かである。
これでは到底資金回収できないので、我々は全国のホールでの地域上映を行う。
しかし、地域上映を広げるためには、都市圏劇場での成功や評判がカギになる。
だから冒頭に書いたように、劇場封切の前夜、僕らは悪夢を見ることになる。

今まで悪夢が正夢になったことはない。初日はファンや関係者が来てくれるからだ。
今回の「だんらんにっぽん」も午前の第1回は満席だったが、これからは大変だ。
作品は良くても広報宣伝が乏しいと情報が広く伝わらない。そこが辛いところだが、
自主制作の場合は良さが浸透するまで長期戦で続けていくしかないのが現状である。

さて、僕が悪夢に脅かされ、借金を抱えてまで自主映画に拘るのは何故なのか。
他人、友人からも問われるが、大手制作会社やTV局の下請けになれば著作権も
興業販売権も相手に持っていかれる。これは資本の原理で仕方がないことだ。
「映画が実現しただけで幸せじゃないか」そう諭してくれる人も居るが、正しい
と思う反面僕には同調できないから悲しい。

僕は映画を作る以上、制作側が作品の本質を死守する主体になるべきと考える。
そのためには制作側が著作権や興業権を持ち、時間がかかろうが自ら上映をする。
制作費の回収が長期に及ぼうが犠牲を伴おうが、制作者は自立するしか未来はない。

日本の映画のスタッフはここ40年、安い給与で貧乏に我慢して生き続けてきた。
清貧に甘んじる人生も悪くはないが、女房や子供を犠牲にしては救いがない。
今こそ、僕ら映画のスタッフや関係者は必死に自問すべきときだ。知恵をだし状況
を変えて世界に繋げていく努力が求められているのではなかろうか。

70越えの悪夢は少々身体に堪えるので、そろそろ決別したいと思っている。
ホラー映画も良いが、ホラー人生はチットも楽しくないからである。




記録映画『だんらん にっぽん』フォトレポート

映画「だんらんにっぽん」のチラシ

記録映画『だんらん にっぽん』フォトレポート

ポレポレ東中野の初日。

記録映画『だんらん にっぽん』フォトレポート

小池監督と南医療生協の創立者・岩城医師を囲んで。

記録映画『だんらん にっぽん』フォトレポート

2008年、「いのちの作法」北上市での自主上映会。
1日2回上映で2500名の入場記録。
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