夫の反応を想定できなかったこと、いざという時の為に証拠を十分に集めておきたかったこと。
そして何より夫のスマホを勝手にのぞいてしまった事への罪悪感。後ろめたさ。
スマホのパスワードを変えられた時の為に、自分の指紋認証登録もしておいた。

黙ってしばらく泳がせるのも一つの方法だが、私にはできなかった。一週間が限界。

昨夜夫に不倫バレの告白をし、柄にもなく、夫の前で涙を見せながら「もうこそこそと、その女には連絡を取らないで」と伝えた。

その頃には毎晩夫が寝た後、夫のスマホをチェックするのが習慣になっていた。
告白翌日の深夜、夫のスマホを見て絶望的な気持ちになる。

朝の夫からの
「おはよう。今家を出ました。今日は〇〇へ出張だから昼はこちらから連絡します。夜は20時からフリー」

1分も経たないうちに女からの返信

「パパーラブラブおはよう。昨日はパパと暮らしてた頃を思い出して眠れなかったよ。やっぱりパパがいないと死んじゃう。死んじゃうよ〜。今、電話してもいい?」

ひとまず、LINEトーク画面を写真に収めた。

不倫バレの告白の日以降、夫はLINEトーク履歴を削除するようになる。告白以前の履歴は今だに保存されたまま。

当然女に、不倫バレを告白し、妻にバレたからもう会えない、と別れ話をしてるかと思いきや、全くそんな素振りを見せず、いつも通りの会話。

そして昼休みの長電話。

女とのLINE履歴を見つけた時以上の衝撃が身体中を駆け巡る。

週末も同じく深夜夫のスマホを調べてみると…
なんと、昨夜女は仕事を早退し、私達の住む町にやってきていた。金曜日夜のデート。
予約したフレンチレストランのURLが貼りつけられている。

私の職場からもそれほど離れていない、有名なフレンチレストラン。

会社の飲み会と聞いていたが、あまり酔ってなかったし、帰宅も早かったため気付かなかった。

どうしよう、どうしよう。

後に気づく事になるのだが、追い詰められ切羽詰まった私は、いわゆるサレラリ状態に陥っていくのである。

よその女、しかも20歳も若い女からこんなにも愛のメッセージを送られている夫の価値が急激に上昇し、はっきり言って冷め切っていた夫婦であったが、そんな事は忘れて「あぁ、私はこんなにも夫の事を好きだったんだ」なんて気持ちになり、それこそ居ても立ってもいられない気持ちに苦しむ事になる。

不倫相手の女は今時の美人である。

妻である私より一回り以上も若く、ストレートな物言いや、行動的なところが私と真逆である。

ただ不思議な事に相手の女に憎しみや嫉妬の気持ちはなく、ただひたすら夫への愛情(?)が上昇していくのである。