すると「あぁ~」と、颯太は腑に落ちたような顔をした。

裕太は、いずれ頼まれることは、予感していた。

あの日のことを・・・母さんは、かたくなに、語ろうとはしない・・・ということも、

大いに、気にしていた。

それは、家族も同様だった。

知らせを受けて、単身赴任先から、あわてて帰ってきた父さんも、ついに、聞き出すことも

かなわなかった、母さんの秘密。

 

  岸本先生は、申し訳なさそうに、裕太の顔を見て、

「君からも、お願いできないだろうか?」

そういわれたら「ノー」と、確かにいえないね・・・

誰も気にしていないのだろうが、ひそかに傷ついていた。

岸本先生の、視線を感じる。

裕太は、ちらりと颯太を見た。

すると、颯太もうなづいて、こちらを見ている。

裕太は、ため息をついて、

「今は落ち着いていますが、ボクには何にも話してくれないんですよね・・・」

と言い、「もしも、ご期待に沿えないかもしれないのですが・・・」と続けた。

 

「裕太は、いつ、引っ越すの?」

その時、心配そうに、颯太がTシャツの裾を、引っ張った。

 

 

 

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