3月のブリッジは渡辺杯。試合形式は9bdのスイスペアでスコアリングはMPを20VPスケールに変換するというもの。

変換の程度は結局確認しなかったのだがどうやら55%程度で15VPくらい取れるらしく、アベレージ付近の数%がけっこうシビアなようだ。


というわけでスコア形式はシビアなMP、回り方は再戦なしスイス。pdは上級医。

約1ヶ月ぶりのブリッジで意気揚々と向かったのが、1日目は共に散々な出来だった。

一つだけいいボードを見つけたので紹介。


僕のハンドは


T8654

82

Q976

T9


オークションは右から


1NT 3C*

3D** 6NT//


*puppet stayman

**no 5M


Your lead?






僕はCTを選択した。フルハンドは以下。




相手はバランスハンドが向かい合って6に到達しているようだ。決して振り込まないリードを選択したいので、ダイヤ以外の3スーツが候補となる。テーブルでは黒いスーツが有力と考え、スペードと僅差でより振り込まなさそうなクラブリードを選び、普通にプレイをして相手はS2H3D3C4の12トリック。


スペードを出した人はどうなっただろう?

SJを引くとSQ、Kと進み、ディクレアラーはクラブでダミーに入りつつハートのフィネスを繰り返す。そんなことを続けるうちに僕の手がSTとダイヤの4枚目でスクイズにかかり、7メイクとなってしまうようだ。フィールドの約半分がNTを7メイクしており、6メイクに抑えた報酬は65%のスコアであった。


クラブは相手のメインスーツの見込みが高く、例えばAJ8xとK765が向かい合っているところにCTリードをしてしまうと大損となりそうだ。結果オーライではあるが、H8の方がより振り込みにくい選択であったかもしれない。


1日目はMP戦で作ってはいけない0点ボードを量産し、スコアはサブアベレージ。これはちょっと不甲斐ない、2日目は1日目と違う日にしよう。幸いスイス形式なのでちょうどいいところに潜れているじゃないか。


朝は四谷のサウナXX(エックス)へ。9時代だけど意外と客が多い。1日をスッキリ始められた、これは行けるぞ。


…そう意気込んで始まったのだけど、最初のラウンドは0.16VPと意気消沈となる出だしだった。



"ノータイム"




僕はSouth、オークションはプロのEastから、


1D 2D 2S* 4H;

5D 5H P P;

6D** P P ?


*クラブ、それなりに強い

**ノータイムだけど半笑い



ここでPdは6Hを選択、これにダブルがついてオークションは終了。DKリードをダミーで切ってHKで手に戻りS8。Aで勝ってCQ。黒い2Aを取られて1ダウンだと、私たちには10%強しかスコアが残らなかった。


実際6DはHAを取った後、ラフ&ディスカードのハートを続けても1ダウンする展開となっている。Northの手はディフェンスに適しておらず、Pdが保険をかけて6Hを置くのもしょうがないかなと思っていた。


ただよくよくNorth目線で僕のSouthの手札を並べて見ると、見え方が違って見えてくるかもしれない。

僕の手は間違いなくダイヤボイドで、なんとなく5=6=0=2気配である。そうならば基本的には私たちの5Hはほぼ出来ていて、守るべきスコアがある中で6Dの出来落ち怪しいビッドをされたというように考えることもできただろう(実際は、EWがクラブを触らなければ5Hはちょっと落ちそうであるのだけれども)。


判断はなお難しい。

こちらの5Hxとならなかった以上はダブルをかけたとして、守るべきスコアを上回るとは考えにくい。IMPであるならば6Hよりはパスが賢明な判断に見える。


MPならば…6HとXから良い選択をしなくてはいけないかなぁという、今の所の結論だ。


「プロ、ノータイムだったよね?絶対できると思ったよ。」


僕は半笑いを見逃さなかったのでテーブルプレゼンスからその判断はちと微妙な所だと思うが、だからと言って僕が向こうに座っていても、結果がどう転ぶかは分からない。


今回賞賛すべきはおそらくWestだ。

5Hへのパスはフォーシング風(諸説あり)であるが、取り決めがなんにせよダブルしなかったからこそEastの6Dを誘発し、NSにもっとも厳しいゲスを迫ることになったといえるだろう。(本気で守るとギリギリ落ちそうではあるが、)実際5Hxメイクがそれなりにいたようだ。



次のラウンドものっけから11%、0%、30%と始まったのだけど、残り6ボードで取り返してなんとか13VP勝ちに収める事ができた。そんな取り返したボードのうちからひとつ。



"こういうの"


T84

AQ9

A742

542


オークションは右手からフリーランで


1S 1NT;

2S 3S;

4S//


Your lead?






僕は、意外とこういうのが刺さるんだよな、と思いながらC2を選択した。

フルハンドは以下。




リードはEastのCAで勝って、スペード3回集めたのちD6。これをほぼヘジらずD2と出してみるとダミーからはDJ。

DQ勝って、PdはH5。HQ勝つ少し前に点数を数え終わっていたが、ディクレアラーはいくらなんでもHKをもっていそうだ。とくれば僕が出すのはC5しかない。ディクレアラーはCTを持っていたのでローをプレイし、CQに勝たせてもらい、HAもとって1ダウン。


展開だけ見るとEastは普通に不運だっただけに見えるけれど、フィールドで4Sがダウンしたのは2テーブルだけで、残りは4メイクと5メイクが半分ずつ。96%のスコアであった。こういうのでいいんだよ、こういうので。


リードの選択では、右手がスペード長そうな時スペードリードはほとんど振ることがないけど、それでも相手のトランプを出すのはいくらなんでも遅すぎるかなと考えた。自分の手はいかにも待ってればトリックが取れる類の手なんだけど、ダイヤの下が弱すぎて、ダイヤを開発されるとクラブかハートか消されてしまいかねない。であれば振り込み回避全振りのスペードよりもクラブかな、と思ったわけだ。ラッキージャッジメントだけどその後の展開も含め、運は自分で呼び寄せるものかなと思う。


それとこれ。



Northの1Cオープンから始まってSouth僕の3NT。リードはスペード。

クラブとスペードを4発取っててからはダイヤを2枚捨て。黒いスーツの8枚目でWestは少しヘジテーションしてH9を捨てた。ダミーからD4を引いて、DTを出してみるとDJ勝ち。DリターンをDAで勝ってHJ。


パーセンテージはHKなんだけど、Westが4=4=2=3シェイプのHQT9x+DJxの時、ヘジってH9を捨て、DJで勝ってダイヤを返すだろうか?


いやハートを返すのが普通だろう。

そう思ってH3を出すと、WestはHQ、HAと取って最後のダイヤをギブアップした。ジャストメイクは85%。


左手はHQではなくH9を捨てたためあまり関係なかったが、そもそも僕はヘジテーションをみて裏の赤い2Aはないなと思っていた。もしそうなら捨てるローはたくさんあるはずだから、あんまりヘジテーションする理由がない。ただどちらのAが左にいるのかわからなかったから一回DTを出して見ただけということだった。


後の4ラウンドで大勝(68.92VP)して前日のアベレージマイナスから6位にジャンプアップしたのだけど、驚くべきことにここは大したボードがない。いい波に乗っちゃうと得てしてそういうものかもしれない。1日目散々だっただけに良くここまで戻してこれたと少し嬉しかった。


終了後はフライトBの赤ちゃんkktペアと合流してイタリアン。彼らは1日目1位だか2位だかで、2日目失速したけど6位。6位テーブルだねだのなんだの言って盛り上がりその場をご馳走して頂いた。


二軒目、コーヒーでも飲む?いやもう一杯飲もうとPdと2人で入った串焼きで。


me「朝サウナ行ったけど出だしマジで散々だったね」


Pd「そう。サウナ行ってなんか、脱水と低血糖でふらふらだったよ。俺サンマルクでパン食べなかったじゃん。それも良くなかったと思って。」


me「あー確かに今朝イマイチだったよね、てか昨日も…なんていうか別に、僕が良いわけではないんだけど。」


Pd「スロースターターなんだよね、午前悪いのはいつものこと。コンディショニングが上手くいかないんだよね。」


フルタイムで仕事やってると前日から自分を整えるのってなかなか難しいんだよね。サウナが解になるというわけではないってことか。


me「漢方いいよ、僕は柴胡加竜骨牡蠣湯やってる。」


Pd「実際抑肝散とかあるかなと思うんだよね」


医者トーク。

話は続く。


me「大人になると休日もフリーじゃなかったりするわけじゃん。そんな中なんとかひねくり出したフリータイムでブリッジするの、尊いよね。」


Pd「そうなんだよ。1日目内容が残念だっただけに、今日ちゃんと稼いで入賞できて俺はhappyだよ!もし今日もダメだったらがっくりだけど」


1日目は約50%、とはいえ内容が酷かっただけにしみじみ上機嫌。


現実問題フィールドを見るとキャリア的に敵わないペアって数ペアしかいないはずで、本来スイスなら優勝候補の一つとして上の街道を走らなくちゃいけない。だけど今回はおこぼれなんちゃって入賞、口が裂けてもあるべきところに落ち着いたと言えるはずもなかった。


ともあれ結果オーライ、またやろーねと約束してにこにこと帰宅した。


先日記事にした"4.5クラブ"というボード。


ゲームルーズはいかがなものかと思ってBridgeWinnersに投稿していたのだけど、久々に見たらついにMichael Rosenbergが降臨した。




これに、



辺境でブリッジしている僕にとってRosembergは、ヒーローというか神さまみたいなもので、結構嬉しい。とりあえず今年度No.1。


因みにRosembergは5Cを選んだ模様だった。ふーん。

day2はday1と打って変わってスコアが良かった。データムで見ると午前は0.32IMP、午後は1.75IMPとあったのだけど、裏は逆に昨日と真逆のスコア。結局チームとしてはサブアベレージに落ち着いた。


そう言えばday1の残りがあったのでまずはそこから。



"お手製システム"



僕の手は


KT84

AKQ

QT65

63


オークションはPdからフリーランで、


1D 1S

2D 2H*

3D* ?


*1RF

**11-12, 2- spades


plan your bid.






3NTか5Dの選択。僕は3NTが出来る手で5Dが落ちる手よりその逆の方がはるかに多そうだと思ったので5Dを選択した。


フルハンドは以下。



5D by Eastはハートリード。HA勝ってトランプ集めて、ハートでダミーのクラブを捨てられるので6メイク。裏は4H、良いコントラクトだがハートのバッドブレイクがあり-1。非常に良いスコアである。


1日目、しんみちの初めて入る魚系居酒屋にて。


Pd「これ現状のシステムではハートを示せないんですよね。」


このシステムでは、3Hはinv.に乗るH4D6の手。リバースはしないくらいだからそれなりに限定される。


2Hがハートを保証するシステムとそうでないシステムがあって、Pdはナチュラリストだから2Hには3Hと言いたそうだ。

一方そうでないシステムでは2Hの所で3Cが1RFになるんだけど、僕は3Cはナチュラルにして、3NT以下でダイヤのグッドサポートを持ったハンドを示して3NTと5Dを選びたいから、このシステムを採用してもらっている。


うちの1m-1M;2m後のシステムは、一番低いビッドを1RFとしてシンプルチェックバックっぽく答えるものを採用している。実際のシーケンスを例にすると、


1D 1S

2D 2H*

?


*1RF

?=

2S S3, bad

2NT S2-, good

3C S3, good

3D S2, bad


いいところは2Sで止まれるところ、S5D4の8点くらいで(goodなら5Dやる覚悟で)advanceできること、3D未満でスラムトライを示せることが多いことなど、悪いところはそれなりに杓子定規に判断しなくちゃいけなくて、NTのサイドが微妙になりうるところか。本当は3H,3Sを使ってS3ありショートありなどを示すことができるともっと良いのだけど、それはそれでちと疲れそうで採用していない。


このシステムは2015年にsuigenとどっか行った時作ったシステムで、入念に準備したのに10日間一回も出なくて驚いた記憶がある。


テーブルでは一番スペース奪われる3Dが返ってきたので判断が難しいところだったけれど、点足りないなら5Dでしょ感のあるハンドだったので適切な判断を下すことができた。


「ま、今回はうまくジャッジしたので、とりあえずアグリーメントは継続ということで」


そんなこんなでお手製システムはまだ存続ということに相成った。



さてday2に入ろう、まずは午前から。

僕は終日East。



"4.5クラブ"



Both Vul. 4th seat.

あなたの手は


K

T3

9643

K87654


オークションは左手から


2H X 3H P

P X P ?


plan your bid.






Pdは4Cを選択しそれが流れる。

フルハンドは以下。



もう見た目通り5Cはバキバキ凍っていて、なんなら6Cも良いコントラクト。6メイクは+170でプッシュ。


テーブルでは変わったハンド持ってるねとか皮肉を言ってしまったが、Westの判断は難しい。


初手3Hにパスせず4C言っちゃうと楽とノンプロは言うが、3NTを越えているとはいえ、この手でそれはどうなのかという感じもする。2回目のチャンスでは5Cも悪くなさそうだけど、ハートが2敗と思うとダイヤノールーザーがそれなりに厳しそうな感じもする。抑制の効いたSouthの3Hレイズが光る。


Bridge Winnersのpollでは、初手4Cと初手パスからのあとで5Cはほぼ同率。

フルシーケンスを提示した上でのpollなので、「あとで4Cか5Cか悩むくらいなら先に4C言うことにしよう」と考える人もいるだろうから、初手4C優勢と見ていいだろう。


初手パス派から、"4.5クラブはビッドできないから5をビッドする"というコメントをくれた人がいた。なるほどね。



これは取決めをしたボード。



Neither Vul. 2nd seat.

僕の手は


K98652

654

94

87


オークションは右手から


P P 1NT* X

XX* ?


*11-14 BAL

** S+DかH+C


自分は弱いけどまぁ相手が繋がるやろ、と思ってパスすると


P P 1NT* X

XX* P 2D*** X

P ?


***D5+、自発的な逃げ。



Pdのダブルはバリューであろう、18点くらいからダブるかもしれない。

ちとバリュー足りないんだけど、左右がスペード持ってなさそうなので…3Sくらい?いやそれはないか。2Sとすると、


P P 1NT* X

XX* P 2D X

P 2S P 3NT

P ?


僕のスペードが何枚と伝わってるかは微妙だけど、Pdは2回目ダブルから入っているからランニングマイナーなどは流石にないだろうと思われる。最低6-2フィットの4Sに戻してオークションは終了。


AQ

AJ9

AK52

QT53


K98652

654

94

87


4S by 下。
ディフェンスは左手がクラブAK取ってD6。DA勝ってNorthはD8。SAQ取ってボスフォローにちょっと一呼吸。どうやって手に戻ってスペードを集めるかが問題だ。

Southは自発的にダイヤを言っているから、DA,K,ラフはDKをNorthに切られるかもしれない。一方Southのクラブは、エスケープに採用しなかったことから、2枚の可能性が十分にある。

僕はDのスモールカードにヒントをもらいDAKラフとした。
D6を4th bestとすると、見えてないD3を持っていだとして最大5枚。またD6がブロークンな6枚ダイヤから出ていると仮定すると、右手からDQかDJがプレイされるはずだ。ダイヤは5-2で、右手にアナー+D8があるに違いない。

DKはラフされず、もう一度ダイヤを出すと右手はショーアウト。安全に切って、SKで集めて10トリック。フルハンドは以下。


実際SouthのクラブはAK、加えてSJxxも持っていたので、脳死でクラブを選んでいたらダウンだった。


Pdの2回目のアクションはダブルより2NTが優勢か。とはいえ2回目のダブルにゴリゴリのテイクアウト手しか入っていないとは考えにくい。クラブ5枚あればスペードが2枚のこともあり、僕の2Sに3NTが返ってきたなら2=3=3=5などのスペード2枚手が濃厚になってくるだろう。


取り決めとしては、ちょっとシチュエーションが違うけど、ダイレクトに3NTをオーバーコールした場合の4way TRFと4Cの5-5Mが決まりました。もはや関係ない?



"報われたかった"



次はディフェンスのお話。


Q6542

6532

Q8

87


オークションはオポーネントのフリーランで、左から


1S-2H;3D 4C;4S//


PdのリードはCJ、ダミーは


-

AQJ84

T9

AQ9653


T1:CJ,3,7,K

T2:SA,3,H4,2

T3:SJ,K,H8,4

T4:C4,(少し悩み、)5,8,T

T5:ST,C2,C6,5

T6:S9,H7,HJ,Q

T7:?


なんか、クラブの様子が変だぞ?

SQ勝って、そろそろ決断の時間。

plan your defense.






フルハンドは以下。


これはPdのディフェンスプロブレム。僕目線で語ってみよう。


僕はEast、リードの選択はダミーのメインスートっぽいハートかクラブの2択。いきなりHTリードをするとなかなかQをフィネスできないというのはあるが、ディクレアラーがHAを持っている時はお振込みかもしれず、また実際そうであるようにフリーフィネスされてしまう可能性を考慮してやめた。


それよりもダミーエントリーを攻撃するクラブの方が良いと判断し、ディクレアラーのクラブが短そうなのでCJを出すことにした。このハンドではCJの効果が見えてこないけど、仮にディクレアラーがKx、ダミーがAT987などと持っていたら、CJは良いリードとなる。


ディクレアラーはリードを手で勝ってSA,SJ。僕のSK勝ち。


こちら目線ではクラブもハートもコミュニケーションを切らなくてはならないが、T1にPdからカウントシグナルが出ていると考えると、UDCA的にクラブだけはコミュニケーションを切らなくてはならないだろう。C4と続けてみる。


ディクレアラーは少し悩んで手のCTで勝ち、ST。ここでC2を捨てるとパートナーの瞳孔が開いた(ような気がした)。そらそうだ、さっきまでオポーネントのクラブは6-3fitで、コミュニケーションは切れないものと見えていたのだから。


テーブルではSQをすぐ勝ち、ダミーとのコミュニケーションを切るためにハートリターン。ディクレアラーは手のダイヤをHQとHAで2枚捨てて、クラブ。ラフ、オーバーラフ。

S2敗D1敗でメイクとなった。ここで問題、Pdはスペード勝った後、何を返すべきだったのだろう。


Pdにとってディクレアラーのシェイプは6=1=4=2か7=0=4=2かのゲスとなっている。前者ならばハートを返さないと必ずメイクされ、後者なら逆にハートを返すのは損しかない。


T5でスペードを1巡ダックしてディスカードを見ても本質的にはわからないのだが、実際にはオークションをよく見れば気づいたかもしれない。


というのも6=1=4=2形でハート返して落ちるパターンは、ディクレアラーに最大でSAJTとDAJ、CKしかアナーを期待できない。その場合オークションは、1S-2Hに3Dでなく2Sを返すのが一般的だろう。


オークションを正当化するためにディクレアラーにDAKxxを置くと、ハートを返しても返さなくても最初から出来ているので、その手はディフェンスから取り除くのが手筋である。


また相手のオークションは情報として質が落ちるが、カードプレイは何よりも雄弁に語る。ディクレアラーはT4のクラブコンティニューで手で勝つかダミーで勝つか少し悩んでいたが、もしディクレアラーが6=1=4=2だったらそんな時間は発生するだろうか?6=0=5=2でダミーのHAを取るべきか悩んだのと考えるのが合理的推論だっただろう。


これら複数のヒントから、Pdはスペードかダイヤを返すべきだったと思われる。


「ところでCJリードびっくりした?」

「途中までディフェンスやる気起きなかったです。」

「あれはTさんリスペクトなの」


この記事のHJリード同様、「報われたかった」という結果に終わってしまった。


なおスペードを返したとして、ディクレアラーがトランプを集めてDAと出した時、Pdは僕にDJ76xを期待してDQを捨てる必要がある。そういう意味では、よく噛むとなかなか味のするディールだったのではないかと思う。



次はPass-Double inversionのボード。



僕はEast、オークションは


P 1H 2H P

2NT* 3H 4D 4H

4S 5H P** P

X//


*minor ask

**平凡な手ならXを要求


僕の2NTは両方のマイナーサポートとバリューを意味するが、今回は4Sを置くことを前提に前向きな意味合いで使ってみた。

仮にPdが


AKQxx

x

Kxxxx

Kx


から少しでも良くなれば6Sが良いコントラクトになるし、万一クラブがフィットした時は5Hで売ることができなくなるだろう。


実際のオークションでPdはダイヤに魅力のあるマイケルズ形を伝えられたので、フォーシングパスシチュエーションで自分の手を平凡な手と判断し、ちょうど良いところに収まることができた。

もしクラブかハートのどちらかがボイドだったりもう少し強かったりしたら、パスの代わりにXを置いてスモールスラムの提案をすることができただろう。



"倍プッシュ"



このラウンドはユースとの対戦。

彼らは初日最下位みたいなところから始まっていたが、2日め昼にはほぼアベレージで、私たちの直下の順位につけていた。


本気のアベ争いだねとか言いながら何個かハンドをこなし次のボード。



僕はEast、オークションはPdから


P P 1S 2C

P 2NT P 3C

P 3NT ?


僕はダブルを選択してそれが流れる。

ディフェンスはハートを上から4つとってPdからスペードリターン。SAには一応ノンカモンをだし、DQにはローを出したが、ディクレアラーは諦めて上から8トリックをクレームした。


試合が終わった後すこし話す機会あり。

フルハンドを見ながら、


「これ基本、正当な出来目なくて良かったね。」

「何も試せなくなるところでした笑」


単純にオーバービッドを咎めただけのように見えるが、僕はダブルに「倍プッシュ」の役割を持たせた。


落ちる時はめちゃ落ちることが見えてれば、ビッドのみならずカーディングや以降のボードでも有利に働くことがある。4Cへのコンバートは許す予定であったから、ダブル掛ける側と掛けられる側のプレッシャーに大きな収益機会がある。


これで"分からせる"ことができたかと思った次のボード。



オークションは若者のフリーランでNorthから…あれどんなだっけな?

結局5Dが6メイクして-620。いかにもスラムルーズという感じだったのでやはり僕の倍プッシュダブルが効いたかな?と思ったら、裏は大変なことになっていた。


裏のオークションは


1D 1S

3C 3NT

4C 4S*

4NT** 5D***

P**** (X*****) P

5S (X******)//


*普段こういうクラブのadvance cueをしてくれる人ではない

**勝負の謎RKC

***なんにせよ0枚

****渾身のパス

*****謎ダブル

******にっこりダブル


Northのノンプロの混迷が伺える経過だ。


曰く4Sで雲行きが怪しくなり、5Dに渾身のパスの後Eaの(謎)ダブルを見て6-0ブレイクに違いないと思ったノンプロは、4Sに微かなナチュラルの灯を見つけてコンバート。一番ダメな7枚フィットを選択して5Sxは2ダウン。


このボードはスコアをつけに行ったらノンプロが怒り狂っていたから、オークションだけ聞いたあと裏のEastに事情聴取をした。


「君これさ…」

「あぁー、春季リジョナルでチームメイトなのに申し訳ないことをしたなと」


申し訳ないこと?


「いやー5D出来そうだけど、コントラクト変えてくれそうだなと思ってダブりました」


ははは、こやつ。


「4Sはできてんの?これ」

「多分10トリックあります」

「すると何、Northは3NTのパスでプッシュ、4Sのパスでプッシュ、5Dのパスでプッシュ、5Dxのパスで+9IMPとなる4回のパスを逃して-15IMPになる5Sを選択したってわけか。」

「そういうことになりますね笑。」

「2回目のダブルはにんまりだったでしょ」

「いやー悪いことをしました」


これは悪い顔しちゃうね。倍プッシュの仕方は裏の方が上手でした。しかしノンプロ、いつも一撃がでかいわね…



そしてこのボード。



オークションは僕から


P P 1S X

XX 2H P P

2S P P 2NT*

P 3H//


*テイクアウト


きな臭いオークションでNSどちらが競るべきかは微妙だが、Northは所与の条件下で素晴らしい2NTコンピートを選択した。


プレイはスペードの2回目をダミーで切ってHJでフィネス。ここでCJと進むと4メイクした気配ではあるが、実際はスペードを切りに向かい3メイクにとどまった。裏は2Sが怪しくメイクされていたが、DKリードから1ミスか、あり得なくはない話だろう。


この直対が痛く、われわれはアベレージから遠ざかり彼らを押し上げる結果になってしまった。ささやかな景品を獲得し終戦。




この日は良いスコアだったんだけど、なんで1日目から上手く出来なかったんだろうと後悔しきり。終了後は三井ガーデンホテル一階でイタリアンを食べて、Pdと歩き、満を辞して赤坂の東京サウナへ。


素晴らしいセッティングと絶妙な値段設定で満足し、そのあと来た道を戻る形で水道橋まで歩いた。たくさん話して、歩く途中で缶ビールを2本ご馳走し解散。早く終わるとそんなこともできて良いね。