演出ご挨拶その2

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こんばんは、今回の公演で演出を務めました朴です。

公演終了のご挨拶が遅くなり申し訳ありません。風邪で体調を崩し、書こう書こうと思っているうちにこんなに遅れてしまい、丹羽くんが〆の挨拶をバッチリ書いてくれた後に記事を投稿ということに相成りました。丹羽よごめん。みなさんも風邪にはお気を付け下さい。

繰り返しになりますが、劇団ダダン有志公演『カリギュラ』に関わってくださったすべての方々にお礼を申し上げます。演劇は二人以上の人間がいないと成立しません。その「二人以上」になってくださったみなさまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

今回の公演は、二年前にぼくがふとしたきっかけで『カリギュラ』を読み、後輩に紹介したことから始まりました。ですがそれは本当にきっかけでしかなく、公演を打つことができたのは、『カリギュラ』に心打たれた優秀なる後輩、林さん(公演では貴族を演じてくれました)が熱心に準備を進め、公演の運営もしっかりとやってくれたおかげです。そもそもこの上演を企画したのはぼくではなく彼女です。彼女抜きではこの公演は企画されることも実現されることもありませんでした。まさしく縁の下の力持ちだった林さんは、この公演の一番の功労者です。彼女がぼくをこの公演に関わらせてくれたことを、本当にうれしく、ありがたく思っています。

俳優、スタッフにとにかく彼ら彼女らなりのアイデアを出してもらい、ぼく「たち」にしかできない『カリギュラ』をつくる、ということが今回の公演の方針でした。演出、照明、音響、衣裳、舞台美術、宣伝美術(フライヤー)などのアイデアは、ほとんどぼくではなく俳優やスタッフの皆が出してくれたものです。劇団ダダン有志公演『カリギュラ』は俳優、スタッフの主体的な取り組みの賜物でした。今回すばらしい演技やスタッフワークをみせてくれたダダンの団員たちは、今後のダダンの公演でも主体的に演劇づくりに取り組み、よい舞台を作ってくれることでしょう。劇団ダダンの今後の演劇活動にどうかご期待ください。

さて、演出としてぼくが目指したのは、最初のご挨拶にも書きました通り「演劇にしかできない形で不条理を表現すること、言い換えれば、笑いと不気味さに満ちた空間を劇場内に作り出すこと」でした。「笑いと不気味さに満ちた空間」を作り出すため、演技、舞台美術、小道具、照明、音響などについてはそれぞれいくつも仕掛けをつくってもらったのですが、ご覧になられたみなさまはどう感じられましたでしょうか。「あれはなんだったんだろう?」と、ときおり思い出して考えていただければ、これ以上の喜びはありません。

今回の上演をご覧になって「不条理」に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、アルベール・カミュの『異邦人』『シーシュポスの神話』『カリギュラ』の不条理三部作をぜひお読みになってください。これらの著作には、「生きるとはどういうことか?」「人生に意味はあるのか?」という人間にとって最も本質的かつ重要な問いへの、真摯な言葉が刻みつけられています。哲学エッセイ『シーシュポスの神話』で、不条理に関する論証を終えたカミュは「いまや、問題は論証ではなく、生きることだ」と書きました。今回の公演で、ぼくたちはこのカミュの言葉に倣い、『カリギュラ』を論じるのではなく演じ、生きました。手前味噌ですが、良い舞台ができたと思っています。劇団ダダン有志公演『カリギュラ』に関わってくださった方々、観てくださった方々、舞台づくりに関わってくれたダダンの皆さん、そして俳優とスタッフのみんな、本当にありがとうございました。

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