その頃俺は21、2くらいかな…無職で万年貧乏な時代だった。だが今時っぽく危ないもん売って生活費を稼ぐようなアタマもなく、家賃分現場仕事して後は知らねって感じの毎日。チャリンコでヘッドフォンしてどこでも行ってたな~、いつも腹すかしてたけどそれはそれで楽しかったぜ。


ちょっと前に連絡先交換したはいいけどお互い電話することもなかった三木道三は天才的なダブで徐々に名前を売り、この頃には伝説のMIKI-FMで爆発していた!ヒップホップ人脈も巻き込んだグウの音も出ない構成と架空のFMという興味深いコンセプトで新時代のラガの到来を高らかに宣言していた。


韻を踏んだ歌詞のパワーをレゲエ界にも存分に知らしめたと思う。やる側と聴く側の双方に「気の利いた語呂合わせによる言葉の化学反応」の魅力と可能性を充分アピールし、三木君は日本中を巻き込むことになる「例の曲」に向かってキャリアを積んでいった。やるな~あいつ!俺はなんだか誇らしく、そしてホントは悔しかった。


そして次の決定的なムーブメントもやはり西からやって来たのだ。その頃毎日YSK(ユースケと読もう)とつるんでた俺はいつもやつのカーステから流れるミックステープでラガ情報をチェックしていた。そしてある日、今まで聞いたこともないスキルフルな日本語ラガが流れて来て俺はシートがのけ反るほどの衝撃を受けた!


誰だこれ!?三木君じゃないな…。そのまま聴いているとまた違う日本人のダブ…あれ?これさっきのやつとまた違う。…つーかこいつもまたカッケーじゃん!次は?うおっ、シンガー!しかも女!やっば、歌うまっ!!…とドンドン聞いたことない声とフローの歌い手が俺の耳を襲った。な、なんなんだこいつら!?ヤバスギル!!


しばらく口も聞けないほど放心状態だった俺はやっとの思いで聞いた、「YSK、誰なのこいつら?ハンパじゃねーじゃん!」するとやつはニヤリと笑いこう言った。「トキワ。」トキワ!?そう、トキワが俺の人生にやってきた!NG!ジャンボ!タカフィン!プシン!リョウザ!ボクサー!西の天才ラガ集団がシーンに革命を起こしに来たのだ。





いいねいいね~次で終わろう!その五を待て!