【北京=矢板明夫】中国で麻薬密輸罪に問われ、死刑が確定していた武田輝夫(67)=名古屋市、鵜飼博徳(48)=岐阜県、森勝男(67)=福島県=の3死刑囚に対する刑が9日午前、中国東北部遼寧省で執行された。遼寧省高級人民法院(高裁に相当)は、瀋陽の日本総領事館などへ通知した。6日の赤野光信死刑囚(65)=大阪府=を含め、日本人4人全員の刑がほぼ同時期に執行された。

 武田、鵜飼両死刑囚は大連で、森死刑囚は瀋陽で午前9時(日本時間同10時)に処刑された。薬物注射によるものとみられる。

 北京の日本大使館のまとめによると、2010年1月1日現在、中国国内で司法当局に身柄を拘束されている日本人は44人。このうち29人が服役し、15人が公判中だ。15人のうち10人は麻薬密輸などの罪に問われている。北京の外交筋は「この10人の中から、新たに死刑判決を受ける者が出る可能性がある」としている。

 武田死刑囚は03年6月、中国人から覚醒(かくせい)剤5キロを買い、鵜飼、森両死刑囚は同年7月、それぞれ1・5キロと1・2キロを日本に持ち出そうとしたとされる。

 ■正式抗議見送り

 鳩山由紀夫首相は日本人3人に対する中国の死刑執行について、12、13両日の核安全保障サミットに合わせ米ワシントンで行う日中首脳会談で、遺憾の意を示す方針だ。ただ、中国側への正式な抗議は見合わせる。

 岡田克也外相は9日の記者会見で、死刑執行について「同じ日本人としていかなる罪があったとしても非常に残念な思いがある」と述べた。その一方で「それぞれの国の司法手続きを経て決まったことなので、冷静に対応しなければいけない」とも指摘した。

 政府内には今回の死刑執行について日本に比べて、刑罰が重すぎるとの批判がある。千葉景子法相は9日の記者会見で「(中国は)かなり刑事手続き、刑罰法規が日本、諸外国と違っている。日本人の多くが違和感、反発を感じることはあるだろう。日中関係を考えたときに懸念される」と述べた。

 このため、政府は「ワシントンでの首脳会談でまったく死刑問題に触れないのは不自然」と判断。首相が胡錦濤国家主席との会談で、4人の刑執行が相次いだ点について日本の国民感情を引き合いに「残念だ」と指摘する方向で調整している。刑執行自体については「内政干渉にあたる」として抗議しない方針だ。

 背景には、核安全保障サミットでの会談を皮切りに、5月で調整する温家宝首相の来日、上海万博「日本デー」に合わせた6月の鳩山首相訪中と、首脳間の相互往来が固まっているなかで、中国側との対立を強めたくないとの思惑がある。

 中国とはすでに中国製冷凍ギョーザ中毒事件や、東シナ海のガス田開発問題などの懸案を抱えていることもある。

 鳩山首相は9日夕、首相官邸で記者団に対して、死刑執行については「残念だ」とした上で、胡主席との会談について「ギョーザ、友愛の海といったことをお互いの協力の中で解決していこうと議論してきたい。首脳会談を頻繁に行いながら、懸案があればその懸案も解決してきたい」と強調した。

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