今回は、2級キャリアコンサルティング技能検定の実技面接試験を受検される方々に、

私なりに何か参考にしていただけるようなことはないかと考え、
ひとつの視点を書いてみたいと思います。
 
 
昨年9月にCVCLABを立ち上げ、
少しづつキャリアコンサルティングの講座等を実施させていただく中で、
特に2級を受検される方にご質問をいただくことがあるのですが、
 
《検定試験は事前にロールプレイケースを読んで相談者の問題がどこに設定されている等、ある程度見立てて試験に臨む方がよいでしょうか?》
 
このようなことを聞かれることがあります。

色々、事前に準備をすることは学びに繋がることであれば大切なことだと思います。


でも、残念ながら何がよいかはわかりません。
それは受検者の方々の様々なお考えで良いのではないかとお返しするしかないのです。


しかし、
キャリアコンサルティングをご一緒に学ぶ仲間として、
キャリアコンサルタント職を担う自分としてお伝えする必要があると思うことがあります。


これから書くことはあくまでも私の考え方であり、
実際のキャリアコンサルティングを現場で実施する上で心掛けていただけたらと思いそれを記します。


検定試験の対策等でどうかという視点ではありません。
 
 
クライエントとの個々の契約によっても異なりますが、
概ね、クライエントの問題は、
クライエントと会って初めて相談内容を聴かせていただき問題を把握していきます。

会話を通して行ったり来たりしながら応答確認を重ねて徐々にクライエントを理解していくプロセスが、
クライエントとの関係構築や問題把握・共有に大きな影響を及ぼすのです。
 
 
このプロセスはキャリアコンサルティングに相当に重要なので、
クライエントのお話を聴く前からケース内容を具体的に想定するとか、
問題がどこにあるかを見立てておくなどキャリアコンサルティングではあり得ないことです。


私の場合、
実際のキャリアコンサルティングで面談時間が1人15分という場合もあります。
2級面接試験は20分なので私の面談時間はそれより短いことも実際にあるのです。

それでもクライエントの問題を面談前にこちらで想定して臨むことなどないですし、
関係構築、問題把握、目標設定から共有化、そして方法を具体的に企画提案して、クライエントから次の面談のお約束をいただくことも多くあります。
 

我々は日頃からクライエントの様々な問題に適切な対処が出来るように、
様々なケースを通して学びを続け、視点を鍛える勉強を重ねたりしてイメージトレーニング等を行いますが、
トレーニングの場ですら、キャリアコンサルティングを実施する前から
 
「このクライエントはここが問題だろう」
 
などといった視点は持ちませんよね。

※論述過去問の逐語記録を使わせていただきながら、
実際のキャリアコンサルティングを検討していく場合などとは異なります。


例え同じケースでロープレを行う際も、
クライエントの問題を決めつけていたら個々へのキャリアコンサルティングが成立しないと私は思います。


検定試験でも、
面接試験はキャリアコンサルティングが実践的に出来るかどうかが大切であると捉えて、
私は実際のキャリアコンサルティングを行いました。
そのような考え方で受検したのです。


試験前のロールプレイケース事前情報の扱いについては、
そのケースの中で、私自身が情報を持っていない点、または、私が弱い点に焦点を当てて、
事前の面談準備として最新情報にアップデートして、
相談に来てくれたクライエントに20分という貴重な時間の中において面談での価値提供が出来るよう、
様々なシーンでひとまずの情報不足にならないように努力をしました。


受検前も後も、
様々な状況をイメージトレーニングすることは今でもずっと行っています。


2級技能検定試験はキャリアコンサルティングが熟練レベルで基本的に出来るかどうかということにあると思います。


私の過去問等のケースを使う面談練習は、
構造的に面接を展開していくための基本的な要素を取り込んでの訓練であり、
クライエントの問題を予め決めているようなことは一切していません。
 

目の前のクライエント本人に、
事情や状況、そして本人の感情等、実際に聴かなければわからないし、

そのクライエントにとってどの部分が一番の不安定要素であるのか、

そして、例えば事例が似ていたとしても、
クライエントによって全く異なる点がその人にとっては重要な問題だったりもします。
 
要は、同じ事例でも人の捉え方や感じ方、個性や特徴は百人百様です。


これを対処出来、クライエントに前向きな変化等が出ることがキャリアコンサルティングの大きな効果のひとつです。

クライエントの個別の問題が捉えられなかったらキャリアコンサルティングの基本的なことが出来ていると言えないと思うのです。

 
先ず、クライエントにお話を聴くことが出来るのが最初の入口であり技術でもあります。
 
また、クライエントそれぞれの感情や捉え方等を受け問題把握していくことが大事なので、
 

それが無いまま、
 
「クライエントの問題はここに設定されている」
 
などというキャリアコンサルタントがいたら、
私がその方のクライエントだったら辛いと感じます。

 
キャリアコンサルタント職は、
相談者のお話を聴けることが最初の重要な仕事で、
検定試験でも私は一緒だと信じています。
 
ただし、
お話を聴いただけで終わったり、
感情を受け止めていっただけでは、
クライエントのニーズを満たせるとは思えませんので、
クライエントの問題解決のためにも戦略的に積極的なかかわりや多少の対決等を含めて、
具体的に展開をしていくことも重要です。
 

キャリアコンサルタントが自分の戦略通りに進められるように予め型を作って、
そこにクライエントの悩みを当てはめていこうなどとすれば、
それは違和感があるだけではなく、
きっと大きな抵抗を感じるのではないかと私なら思います。


 今一度、
キャリアコンサルティングの理論と実際等のスタンダードな参考書や、
キャリアコンサルタントとしてご自身が学んできた基本書等を見直して面接の訓練に取り組んでいただけたらと思うのです。


このブログを読んでいただいている読者の皆様を心から応援しています。


頑張ってください。


CVCLAB/小林幸彦
AD
前回に引き続き、
第5回1級キャリアコンサルティング技能検定の論述選択過去問を使わせていただき、
事例指導でのネットワークや環境への働きかけについて検討します。


事例3の、

問3 この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワークや環境への働きかけは何か。また、なぜそれが必要であるか根拠を記述せよ。

この質問の環境への働きかけを今日は考えていきます。


昨日のネットワークの考え方では、

この事例相談者が、
様々なネットワークを活用して具体的な継続学習機会を増やしたりスキルアップが出来たり、他の専門家との繋がりや紹介、
コンサルテーションを受けることが出来る等の重要性に気づきを促していく働きかけを示しましたが、

今回は、この事例相談者が対応する相談者の周囲の環境へ働きかけていくその効果を踏まえて検討してみます。


相談者の環境へ働きかけを行うことによって、
相談者の問題が軽減したり解決出来たり、
または環境を変化させていかないと相談者の問題が解決しないという場合など、
環境への働きかけもとっても重要です。

相談者の環境にかかわる関係者が相談者へ協力してくれる等の変化によって、
相談者の問題解決にどれだけの影響を及ぼすか、
キャリアコンサルタントは常に考えておく必要があります。


事例相談者の立場によって、
相談者の周囲に直接働きかけが出来る場合と、
相談者を通して相談者の周囲へ働きかけが出来る場合とがあります。


具体的な事例で検討してみることが、
後に事例を概念化して考えられると思いますので、
先ず、この事例相談者が作成した事例で具体的に考えます。


この事例相談者の活動領域は需給調整機関ということなので、
直接的に相談者Cの職場環境に働きかけを行うことはハードルが上がりますよね。

現実的なのは、
相談者Cを通した形で環境へのアプローチを検討していきます。


相談者Cは、
出向後1年前に転籍していて、この期間ですっかり疲れてしまい、自信をなくしてしまったと発言しています。


例えば、相談者Cのモデル的な存在がいると問題解決に繋がる手がかりが得られるかもしれません。

前任者はどんな働き方をされていたのでしょうか。


社長や前任者を含めた関係者に色々と聞き、
アドバイスを受けることもひとつの手段であり、
相談者Cがそのように行動している姿は、
周囲への働きかけに繋がって、周囲が協力的に変化していくことがあります。


社長だって相談者Cの深刻な状況を真から察すれば、
会社のためにもそのままの環境にしておくことはないと思います。


母親の持病については、
家族と一緒に担当医や専門家、専門組織等のアドバイスや情報等を受けることなどで、
奥様や子ども達がより協力的になってこれまで以上にお手伝い等の役割分担をしたり、
今後のことを踏まえて外部資源を使うことなども家族で検討が出来るかもしれません。

家族で色々と調べ始めることで様々な対策が取れると思いますし、何より家族と話し合いが出来ると、
相談者Cの精神的な一面が安定する効果が期待出来ます。


さらには、
長年勤めてきた銀行時代の先輩や同僚への働きかけによって、
同じような経験を持っている人や同じ状況に立たされているメンバー等に出会えるかもしれません。

そのような方々の協力によって思わぬアドバイス等が得られるかもしれませんし、
相談者Cにとって参考に出来ることも色々と見つかるかもしれません。


相談者Cが転職を視野に入れたいということであれば、需給調整機関等、
中高年の転職サポートを行なっている官民組織団体等のガイダンス受講やグループワークへの参加等、
諸々組織団体への接触によって関係者の支援を得られることも期待出来ます。


そしてここで大事なことは、
相談者Cだけの話ではなく、

「この事例相談者が相談者を支援する」

という点です。



上記は相談者Cの環境に特化した働きかけを検討しましたが、
この事例相談者がこの視点を現場で活かすには、
事例指導の中で、事例を概念化していく必要があります。


この事例相談者には、
上記のような視点を相談者の環境に合わせて検討していくことの必要性に気づきを促していきたいと思います。


CVCLABでは論述と面接の講座を実施しています。

現在、8月以降の受講者様の日程調整をさせていただいていますので、
ご興味のある方は以下のホームページからお気軽にお問い合わせをいただけたらと思います。
※恐れ入りますが7月度のご予約は終了となりました。


受講者様のそれぞれのペースや考え方、方針を大切にして学んでいただけるように、
主にマンツーマンでの講座(家庭教師的講座)を実施しています。
※型にはめるような内容は私は実施出来ないので予めご了承ください。


また、私の事情で恐縮ですが、
個人で限られた時間の中で行なっているため、日程調整等においてご不便をお掛けするかもしれません。

しかしながら、講座内容は受講者の方々にご満足をいただけるように日夜努力し現場の成功事例の実践スパイスを多々取り入れ工夫を凝らしています。

ご縁をいただけることに感謝し、
皆様の貴重なお時間を最大限に活用して濃い内容をご提供させていただきます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

CVCLAB/小林幸彦

AD
今回は、キャリアコンサルタントがクライエントを支援するために必要なネットワークや環境への働きかけを考えてみます。


前回までと同様、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験の論述選択問題を活用させていただきます。


第5回の事例3(需給調整機関分野)にある

問3 この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワークや環境への働きかけは何か。また、なぜそれが必要であるか根拠を記述せよ。

この問いを検討します。


先ず今日は、
《この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワーク》
を考えてみましょう。


この事例相談者というのは、
事例3の事例記録を作成した当事者(キャリアコンサルタント)のことです。


私の場合、目の前の事例相談者に活用出来そうなネットワークを検討するときは、
この事例相談者が弱かった点やその原因等に焦点を当て、
事例相談者や事例指導者のネットワークを思い浮かべて事例相談者の問題を解決していく視点で考えてみます。

また、そのネットワークは既存のものに限らず、これからこの事例相談者が構築していくことが出来るものも含めて考えます。


その目的は、
この事例相談者が、ネットワークにかかわることによって、自身の弱かった点を克服出来たり、継続的に自己研鑽出来たり、
要は、この事例相談者の成長支援に繋がることです。

結果、
この事例相談者が相談者を支援するために必要な能力を高められるという視点です。


このような考え方で検討するとすれば、
昨日まで考えてきた、この事例相談者の問題の本質を基本にして、
どんなネットワークが有益であるかイメージが出てくると思います。


事例指導者視点の問題として、
相談者Cが支援して欲しいことを「転職」と捉えてしまっていて、相談者Cが訴えている事柄や状況、感情について話を広げられていないために、相談者Cの問題について明確化出来ず、この事例相談者は相談者Cの問題の核心を掴めていない。その状態で事例相談者の価値観で方策を提示しているので相談者Cは納得が浅く行動化に繋がらない状況。


以前、問1の検討で、
上記のように私の考えを纏めていました。


この内容から、この事例相談者の場合は、
事柄や感情への応答が弱く、結局、意味への応答に繋がっていません。

結果、相談者Cの問題把握が出来ていないままに、事例相談者の思い込みで方策を提示していたことが重要なポイントになると思います。

すると、
先ずは問題を正確に把握するための訓練が必要ですよね。

傾聴のトレーニングを積極的に実施している諸団体や学習情報を配信している専門組織団体にアクセスして、事例相談者に合った講座等に参加していくことが有益だと考えられます。
勿論、スーパービジョンやグループスーパービジョンを受講したりすることも効果的なことだと思います。

このようなことをネットワークの認識や形成と言えます。

この効果は講座を受講したその時だけのスキルアップに留まらず、関係機関との情報交換や専門家同士のネットワーク構築に非常に役立ちます。

また異なる側面では、

この事例相談者の場合、相談者Cへ3ヶ月もの間支援を続けているにもかかわらず、価値提供が出来ていません。

厳しく言えば、
場合によってはこの事例相談者の能力範囲を超えているとも言えるわけです。

このようなことは誰でも起こり得ることを考えて、
この事例相談者には適切なタイミングでリファーを検討出来るネットワークを持っていることも大切です。

このネットワーク構築を行う必要性に気づきを促す活動もネットワークの認識と実践になります。

倫理面も十分に認識させ、相談者の承認を得て、他の専門家への紹介の実施が出来るように日頃からネットワークを整備しておく必要があり、これは行政、専門組織機関へのアクセスを常に積極的に行い、また、キャリコンサーチや技能士会のネットワークを活用する方法も視野に入れておくと良いです。


そして上記はキャリアコンサルタントの任務範囲を超える場合も同様です。


さらには、
事例相談者よりも高いスキルや経験を持った専門家、
また、異なる分野の専門家にコンサルテーションを求めることが出来ることも重要なネットワークとなります。

事例相談者が相談者を対応するにしても、キャリアコンサルティングの中で、他の専門家の意見が必要な対応もあるものです。
リファーとは異なり、自身が専門家のアドバイスを得た上で責任をもって対応するということです。


以上のようなことを、この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワークとして考えられれば実践的で良いのかなと私は思います。

次回は、
この事例相談者が相談者を支援するために必要な環境への働きかけを考えてみます。
AD