ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの微粒子に遺伝子を結合させ体内に運び込むことに、東京大がマウス実験で成功した。血糖値を抑えるホルモン「インスリン」をつくる遺伝子で試すと、糖尿病マウスの血糖値が低下することも確かめた。遺伝子治療への応用が期待できるという。23日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 研究チームは00年、ナノ粒子の一つで炭素でできた「フラーレン」を使って、サルの培養細胞内に遺伝子を入れることに成功している。

 チームは遺伝子が結合しやすくなるようにフラーレンを改良。これに目印役の遺伝子を結合させ、マウスの静脈に注射すると、肺や肝臓、脾臓(ひぞう)で遺伝子を働かせることができた。遺伝子だけを注入した場合は、どの臓器にもほとんど入らなかった。遺伝子の周りにフラーレンが付着することで、遺伝子を保護したと考えられるという。また、インスリンをつくる遺伝子をフラーレンに結合させてマウスに注射すると、肝臓などの細胞内に遺伝子が入っていることを確認、マウスの血糖値も低下した。マウスの肝機能や腎機能は正常で、副作用はなかったという。

 中村栄一教授(有機化学)は「このフラーレンは安価で大量合成できる。狙った臓器に遺伝子を運べる研究を進めて、がん治療などにも応用できる新たな遺伝子導入法開発につなげたい」と話す。【下桐実雅子】

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