読者の皆さまには、いつも私のお話を楽しみにしてくださいまして、ありがとうございますひらめき電球


さて・・・今日9月28日は、原作でいうところ、琴子のお誕生日

琴子のお誕生日記事用に、去年と同様、ブーケのような画像を探したりしてモタモタとして

いたら、なんととんでもないコメントを見つけちゃったんですよ!( ̄▽ ̄) ニヤ


前記事、舞台「イタキス」のコメント欄をご覧になりましたか?・・・

まったくぅ~~changaさんったら、まさに今日がその日だって言うのに、あんなリクエストし

てくれちゃって・・・(≧m≦)ぷっ!

ハイ!・・・あのコメント見つけたとたんに思いっきり火がついたのは言うまでもありませんひらめき電球


絶対に、琴子のお誕生日の間にアップするぞ~~と、たぶん今までで最短の2時間ちょ

っとで、お話を書き上げました~ヾ(^▽^*おわはははっ!!


changaさん、気に入ってくれるかな~はてなマーク

思いもかけないリクエストのお陰で、琴子のお誕生日記事が、グレードアップしました。

ありがとうございます(*^^)v


急いで書き上げたわりには、そこそこまとまってると思うけど、どうでしょうかね・・・

スーコンに心奪われて、コメくれなかったら怒っちゃうぞ~~にひひ



読者の皆さまも、まずは、読んでみてください・・・ある年の琴子の誕生日エピです。

どうか、お楽しみいただけますように・・・音譜


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



   ~虹色のリボンで~


「ねえ、入江君~?今日は本当にどーしてもダメ?」
玄関先までオレを送りながら、琴子が上目遣いに聞く。


「もう、何回言わせるんだよ・・・今日だけは絶対にダメだ!いい加減にあきらめろよ」
オレは、あからさまにうんざりした表情を浮かべて答えた。


「わかってるよ・・・最後の最後で、もしかしたら気が変わるなんてこともあるかな~って思

っただけ・・・」
琴子が口を尖らせながら、ブツブツと言う。


「仕事なんだよ。そんなことあるわけないだろ!」
オレは、呆れ顔で答えると、ドアを開けて外へ出た。



今日は琴子の誕生日。
しかし、今日は大きな手術の予定が入っていて、また泊まりになりそうだ。


毎年、オフクロの派手な演出に辟易しながらも、必ず一緒に過ごしたこの日だったが、今

年ばかりはそうもいきそうにない・・・
手術が決まってからというもの、琴子が不機嫌なのは言うまでもないが、オフクロやオヤ

ジまでもが不満を漏らす始末。
こちらにしてみれば、患者が生きるか死ぬかの大手術なのに、この家の家族には、その

重みは琴子の誕生日パーティーの方がずっと重いというのだから、説得する気にもなれ

ない・・・


オレは、門を出ると玄関のドアの前で手を振っている琴子を一瞥してから歩き始めた。
そして、バスに乗り込んでシートに腰をおろした瞬間、オレはとても大事なことを忘れてい

たことに気がついた。




”琴子、誕生日おめでとう”


家を出るときに、そのひと言を言ってやらなかったことが、ずっと胸に引っかかっていた。
毎年のお祭り騒ぎに、今年は参加しなくて済んだと、内心ほっとしていたはずなのに、
玄関先で手を振っていた琴子の寂しげな顔が何度も目の前にちらつく・・・


手術も終わり、ICUとオフィスや医局を往復しながら、オレは何度か携帯を手にして、琴子

に電話かメールをしようかとも思った・・・しかし、ただ”おめでとう”と言うだけで、結局帰っ

てやれないのだから、明日家に戻ってからでもいいような気もして、そのたびに携帯をポケ

ットにねじ込んでいた。



オフィスの窓から外を見ると、折りしも外は激しい音をたててどしゃ降りの雨だった。


―オレのいない誕生日で、琴子が泣いているのかな・・・


オレは、随分と自意識過剰な考えに、思わず自嘲気味に笑いながら、どんよりとした雨雲

を見上げていた。
すると、今まさに雨を降らせている雲の隙間から、急に太陽の光が射しはじめ、音を立て

ていたはずの雨が、オレの目の前で唐突に止んだ。


そして、あっという間に雲が流れ去った後、眩しい太陽の下にそれ(・・)は現れた・・・


オレは、この時ばかりは躊躇することなく携帯電話をとりだすと、すぐに琴子に電話をか

けた。


「もしもし、入江君?」
何かを期待するように、琴子の弾んだ声が返ってくる。


「琴子?お前今どこにいる?」
オレは、高揚してくる気持ちを抑えるように、抑揚なく尋ねた。


「えっ?部屋だけど・・・」


「誕生日のプレゼントやるから、すぐにテラスに出てみろよ」


「テラス?・・・」


半信半疑な声が電話の向こうから聞こえ、琴子が立ち上がる気配があって、窓の開く音

が聞こえた。


「出たよ・・・」
琴子の声が返ってくる。


「病院の方角、見てみろよ・・・」


唐突に上がった雨・・・木々の葉にたまった雫が、太陽の光に反射してプリズムのように輝く・・・
そして、その太陽の下には、まるで奇跡のように、大きな弧を描いた虹がかかっていた。


電話の向こで、琴子が息を飲む気配がする・・・
オレは、静かに囁くように聞いた。
「見えるか?・・・」


「う、うん・・・」
すでに涙声になった返事が返ってくる。
そして、思いもかけない言葉が、受話器の向こうから聞こえた。
「入江君、今朝はごめんね・・・仕事なんだから仕方がないってわかってたんだけど、やっぱ

りこんな日は、一緒に過ごしたくて・・・」


そんな素直に謝られたら、こっちだって何か言わずにはいられない・・・


「オレの方こそ、大事なこと言い忘れてたよ・・・琴子、誕生日おめでとう」
オレは、目を閉じて琴子の顔を思い浮かべながら小さく囁いた。


「ありがとう・・・とっても綺麗な虹だね。入江君と一緒に見られてすごく嬉しい。ああ、この

虹が渡れるならすぐにでも入江君のそばに行けるのにね・・・素敵なプレゼントありがとう」
琴子が、はしゃいだ声で答えるのを聞きながら、その表情すらもしっかりと浮かんできて、

オレは思わず顔が緩むのを感じていた。


「なあ、琴子?・・・ちなみに、今日のケーキは?」

「えっ?・・・えーと、フルーツいっぱいの生クリームのケーキだよ!入江君の分はちゃんと

取っておくからね」


「今夜食べたい・・・」
オレの口は、自分でも驚くような言葉を言っている。


「えっ?・・・」

琴子が、呆けた声をあげる。


「でも、オレは帰れないしな・・・」

「ね、ねえ・・・それって、そっちへ行ってもいいってこと?」
オレの謎かけをしっかりと解いた琴子が、半信半疑に尋ねる。


「オフィスに来るか?」
オレは、自分から白旗を揚げたことを、しっかりと認めながら琴子を誘っていた。


「い、行くーーー!!」
もちろん、琴子が、断わるわけがない・・・まるで悲鳴のような返事が返ってきて、オレは思

わず顔をしかめながら受話器を耳から離した。


家でのパーティーが終ってから来ると言って琴子が電話を切ると、窓に写った自分の顔を

見て、思わず頬を引きしめる。
結局、この何年かですっかりオレの心も変化していることを認めざるを得ないと、あらため

て思いながら苦笑いが込み上げた。


窓の外には、少し消え始めた虹が、雨上がりの街にまだその姿をとどめている。

オレから琴子への今年の誕生日プレゼントは、虹色のリボンをかけた二人きりの時間・・・

そんなひとときを、琴子が一番喜ぶことを、オレは知っている。



琴子は、まだ家のテラスに立ってこれを見ているだろうか・・・


―いや、違うな・・・


きっと、今頃琴子はオレの電話のことをオフクロに話しながら、ケーキを箱につめて、ここ

へ来る準備を始めているに違いない。


一刻も早く、オレに会うために・・・
一秒でも長く、誕生日を一緒に過ごすために・・・


そして、結局はそれが、オレにとっての願望であることにも間違いない。


―そうでなければ、虹を見たくらいで、琴子に電話をすることもないからな・・・


琴子が来るまで、あと5時間といったところか・・・オレは腕時計を見て時間を確認すると、
もう一度しっかりと顔を引き締めて、ICUへ向かった。


次にこのオフィスに戻ってくる時には、琴子の弾むような笑顔とケーキの甘い香りがオレ

を待っていることを確信しながら・・・


そして、オレはとっておきの気持ちを込めて言う「誕生日おめでとう」・・・と。



                                          END


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


さて、いかがでしたか・・・はてなマーク


急いで書いたので、荒い感じですみません。

この記事ばかりは、9月28日の日付でアップすることに意義があると思うので・・・


ここのところ、やたらとアマアマ直樹を書いてきて、このお話もかなり甘いですね~ドキドキ

まあ、なんだかんだ言っても、いつでも琴子のわがままを聞いてやる直樹ですから、うまく

かわしたと思いながらも、結局は気にしてるってことですよね・・・


琴子のお誕生日に、こんなお話もアリと思って読んでいただければ幸いですひらめき電球



次回もどうぞ、お楽しみに音譜



                                          By キューブ





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