母の入院と私の戸惑い

みなさま、こんにちは。

長島和歌子と申します。

 

私と母とのお話を聞いてください。

 

現在、私は東京に住んでいますが

出身は九州で、実家には91歳の父と88歳の母が住んでいます。

 

兄弟は私を含め3人いますが、全員実家を離れているため、

両親だけが九州に住んでいます。

二人の健康の心配もありますが、何かあった時にすぐに帰れる距離ではない事にも

不安を感じています。

 

ある日、母が「胸が苦しい!背中が痛い!」と苦しみだしたので

父が救急車を呼び病院へ向かったそうです。

診断の結果は高血圧によるもので、こちらは薬を飲めば大丈夫との事でしたが

その時の検査で脊髄を圧迫骨折しているのが見つかり、

母はそのまま入院することになりました。

 

 

 

電話で父から母の様子を聞き「落ち着いているし、大丈夫!」との事だったので

安心していました。

 

ところが、翌日の晩遅くに母から私の携帯に電話がありました。

私「こんなに遅く、どうしたの?」

母「この病院、変!ここにいたらお母さん、死ぬ!」

私「えっ?」

母「死ななければ、この病院を出られないの。だからここは嫌!明日退院する!」

私「そんな事はないよ!」

母「いや、みんなそう言っているの。病院の人たちが言っているの。」

と、必死に訴えてくるのです。

私は、病院の人がそんなこと言うわけないし、

何かの聞き間違いか、母は気が動転しているのだろう、と考えて、

「何、言っているの、お母さん、大丈夫よ!」とだけ言って

あまり相手にせず電話を切りました。

 

 

するとまた翌日の早朝に母から電話がありました。

「この病院は絶対に嫌!死ななければ、この病院を出られない!すぐに退院する!」

と、何度も同じことを繰り返し、だんだんとパニック状態のようになっていきました。

 

それでも私は、母が入院してくれている方が自分が安心なので、母の話を取り合わず

「お母さんが家に帰っても、お父さんは看病できないじゃない!

だから、入院していてよ!!」と、説得し続けました。

 

でも母の訴えは一向に収まりません。しかも、日に日にエスカレートしていきます。

どうしていいかわからなくなった私は考えました。

そして、コーチングの講座で学んだ「聴く」のセンスを試してみることにしました。

 

一度、母の話を口出しせずに聴いてみよう。説得もやめよう。

電話越しに、母に寄り添うように、ただ母を丸ごと受け取ってみよう。

 

そう思って電話で母の言葉をただ受け取ってみたら、母の言動に変化が出てきました。

私は殆ど何も言葉らしい言葉を言っていないのですが、

心の中で「うん、そうなんだ!」「うん、そう感じるんだ!」と否定をせず相槌をして聴いていたら、母が落ち着いてきたのです。

 

そしていつもは「なぜ、わかってくれないの!?」と怒ってガチャンと

電話を切る母なのですが、その日は「じゃあね!」と言って穏やかに電話を切ってくれました。

 

翌日、突然私の仕事がキャンセルになり、九州に行く時間ができたので

急きょ母の病院に行くことにしました。

 

母の話をよくよく聞いてみると、

救急車で運ばれて来たため、ここがどこの病院なのか、

名前を聞いても知らない病院で、場所の検討もつかない。

それが不安でたまらなかったようです。

それに入院した当日は「ICU(集中治療室)」に入れられて、

病室の設備も大掛かりで、自分が重い病気なのかと思い、

色々なな不安要素が重なり、大きな恐怖へとつながったようです。

 

母の話を聴いて、「確かに気が動転しても仕方がない状況だったな。」

と感じました。

私が母の話を取り合わなかった事で、

どうやらますます母を不安にさせていたのかも。

 

 

運よく圧迫骨折の症状も軽度だったので、病院の先生と話し合い、

自宅近くの病院に転院することができました。

それからの母はいつもの母になり、今は退院して元気に過ごしています。

 

今回、私はこの経験から、

人の話を聴く時は自分の価値観にとらわれず、

相手に寄りそうように「ただ聴くこと」の大切さ、

を実感しました。

 

機能するコミュニケーションの効果を目の当たりにした出来事でした。

 

 

 

文:長島和歌子 企画・編集:高橋さやか

 

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