難燃剤と脳抑制剤 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

・グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年8月26日
難燃剤と脳抑制剤

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
Flame retardants - brain retardants, 26 August 2014
http://braindrain.dk/2014/08/flame-retardants-brain-retardants/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年9月16日
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 【2014年8月26日】火災から守るとして有用であると思われている化学物質は、実は変装した悪魔かもしれないし、変装した脳汚染化学物質かもしれない。

1970年代からこれらの化学物質は、建設用資材や家具から電子機器筐体まで、様々な製品中で使用されてきた。

いわゆる難燃剤は、火災を防ぎ人の命を救うと言われていたが、シカゴ・トリビューンの報道は、それが”誤解”であることを明らかにした(訳注1)。

その化合物は非常に安定しているので、いったん環境中に放出されたり、人の体内に吸収されると長い年月そこに残留する。

この化学物質を胎児と共有した母親は、さらに母乳を通じて乳児にそれらを与え、その結果、子どもはこの化学物質を母親より高い血中濃度で蓄積する。

 ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs) と呼ばれる臭素含有難燃剤への早い時期の暴露は、カリフォルニアとニューヨークの子どもたちの知的障害に関連している(著書"Only one chance"第6章も参照のこと)。

今月、オハイオ州シンシナティとからの新たな研究が、これらの物質は脳の発達を遅らせるという証拠に加わった。

研究者らは、 2003 年から 2006 の間に生まれた 300人以上の子どもたちが検査を受け、その母親らは妊娠中に血液サンプルを提供した。

一般的なペンタ-PBDE である BDE-47 は全てのサンプルで検出された。他の要素を調整した後、BDE-47 暴露の10倍の増加は、知能(IQ)の 4.5 ポイントの低下と関連していた。

今年の初め、PBDEs は実証された発達神経毒素としてリストされた(訳注2)。

 難燃剤の毒性の証拠は1980年代から蓄積されている。

欧州連合は2004年にこれらの難燃剤(ペンタ及びオクタ-BDE)を禁止した。

アメリカでは連邦政府の法は制定されていないが、合計15の州が、難燃剤の使用を制限する新たな法を採択した。

それらの大部分はペンタ-、オクタ-、及びデカ-のBDEに関するものであった。しかし、それで話が終るわけではない。

 関連する臭素化合物、塩化 Tris 化合物((TCEP, TCDPP, TCPP)、短鎖塩素化パラフィン、三酸化アンチモン等を含む他の難燃剤が現在、市場に出ている。

それらのあるものは有害で、発がん性さえあることが知られているが、しかし、ほとんどのものについて、これらの代替物が脳の発達を害するかどうかの利用可能な証拠は存在しない。

 カリフォルニアの皮/布張家具可燃性基準である TB-117 は改訂され、家具製造者らは化学物質を使用せずにこの基準を満たすことができる。しかしこの基準は難燃剤の使用を妨げるものではなく、したがって有害な難燃剤を制限し、新たな難燃剤が加わることを阻止することが、まだ必要である。このことは欧州連合(EU)でも同様である。

テレビ筐体へのロウソク耐燃要求は2009年に初めて採択された(CENELEC EN 60065)が、加盟国の多数投票により2013年に削除された。

現在、難燃剤支持者らは、コンピュータやその他の電子機器等の筐体に”ろうそく要求”を適用するよう圧力をかけ続けている。イギリスは、家庭内家具に化学物質難燃剤の使用を求める裸火基準をまだ保持している唯一の国である。

 化学産業界の見解は、”北アメリカ難燃剤連合”とか”火災安全プラットフォーム”等のような純真な名前の活動グループを通じてのロビー活動により宣伝されている。

彼らの目的は、現在約40億ポンド(180万トン)規模の世界市場の成長を守ることである。

一方、規制のための立法の動きは遅いが、市場は動向に注目している。

アメリカのいくつかの州が禁止した後、大手小売業のウォルマートは、アメリカの化学産業がPBDEの製造を中止することを働きかける同社の政策を発表した。

またアメリカで最大の健康保険組織カイザーパーマネンテ(Kaiser Permanente)は最近、難燃剤を使用しない家具を購入することに決めた。

 これらの展開には、なんらかの最適のための余地はある。しかし、悲しい事実は、1970年代に適切な安全措置なしに不必要な化学物質が健康保護のためとして市場に出され、その結果、子どもたちの全世代がこの化学物質に暴露し、その後に、科学がこの化学物質は子どもたちの脳を損傷するということを報告したことである。

これに対して化学産業は、再び適切な安全措置なしに代替物質を市場に出すことに熱心である。恐らく彼らは、脳に影響を及ぼす抑制剤を持っているだけでなく、彼らの脳の中にも思考抑制剤を持っているのであろう。



訳注1:シカゴトリビューンの記事
Chicago Tribune 2012年5月6日 難燃処理発泡材はなんら火災安全の便益をもたらさない

訳注2:発達神経毒素
The Lancet Neurology, Volume 13, Issue 3, Pages 330 - 338, March 2014 Neurobehavioural effects of developmental toxicity by Dr Philippe Grandjean MD
・・・2006年に我々は体系的なレビューを行い、5種類の産業化学物質を発達神経毒素として特定した:鉛、メチル水銀、PCB類、ヒ素、及びトルエン。2006年以来、疫学的研究が6種の発達神経毒素を追加した。:マンガン、フッ化物、クロルピリホス、DDT、テトラクロルエチレン、及びポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)・・・