幹「あのさ、喋る自販機ってあんじゃん?」
裕司「ええ。買った後『ありがとうございました』って言う…」
幹「あれって可笑しいよね」
裕司「そうですか?」
幹「ジュース1本買っただけで『ありがとうございました』は大げさだよ、こっちは好きで買ってるだけなのに」
裕司「まあ、そうですけど」
幹「しかも、たった100円ぐらいのことで音声をわざわざつけるってさ…。100万円なら分かるけど!」
裕司「100万円の自販機ってステキですね」
幹「そうかあ?」
裕司「高級羽毛布団とか」
幹「どうやって持って帰るんだよ!?」
裕司「まず、どうやって布団を入れるかですね」
幹「自販機に?」
裕司「ええ」
幹「物凄い圧縮しないとな!」
裕司「(笑)。ぺったんこになりそうですね」
幹「取り出すのも大変だろ!?」
裕司「ですね。入り口が狭いと悲劇です…!」
幹「破れたらどうすんだよ!?」
裕司「辺り一面、羽毛だらけ…」
幹「最悪だっ」
裕司「買いづらそうですね…!」
幹「その前にどうやってカネ入れるんだよ、100万円だぞ!?」
裕司「それはもう、束で…」
幹「札束で!?」
裕司「ええ」
幹「そうか……よしっ!ちょっとカネ貸せ裕司、オレが買ってきてやるっ!」
裕司「羽毛布団を?」
幹「うん!!」
裕司「親切ですねぇ」
幹「だろ!?カネ貸せ!」
裕司「分かりやすい嘘で親切だと言ったんです!調子に乗るんじゃない!」
幹「ちっ」
裕司「あれ、軽やかな音が」
幹「気のせいじゃん?」
裕司「確かに聞こえましたが」
幹「そういえばオレ、そういう自販機でジュースを買ったんだけどさ」
裕司「えっ」
幹「買ったよ」
裕司「羽毛布団を!?」
幹「違っジュースって言ってんだろ!ジュースを買ったの、普通にっっ!」
裕司「100万円で!?」
幹「ちげぇよ!そんなんだったら買わねぇよっっつか、そんな自販機あったらまず世間が大騒ぎだよ!!」
裕司「で、どうしたんです?」
幹「ビックリしたんだよ!」
裕司「100万円だったから?」
幹「そう、100万円で!ってこの、世間知らずのクソボンボンがっ!!そんなワケねぇだろっっ!!」
裕司「(笑)」
幹「とにかく話を聞けっ!」
裕司「はい(^^)」
幹「普通にジュースを買ったの!なのに、それだけなのに、自販機が『お疲れ様でした』なんて言うからさっ」
裕司「えっ?」
幹「買った後に『ありがとうございました。お疲れ様でした』って」
裕司「ええーッ?」
幹「なんだそれ??って思って」
裕司「優しいですねぇ!」
幹「どこが!?こっちは全っ然疲れてねぇのにっ」
裕司「(笑)」
幹「ジュース1本買うだけでそんなに疲れると思ってんのか!?」
裕司「(笑)。心配してくれてるんですよ、きっと」
幹「気ぃ遣いすぎっ!!」
裕司「(笑)」
幹「オレ、そんなに疲れやすくないしっ!」
裕司「タフガイですもんね」
幹「(笑)!えっ、オレってそんなイメージ?!」
裕司「はい」
幹「ウソつけっ!」
裕司「(笑)」
幹「てゆうかさ、ジュース買うこと自体そんな疲れるような作業じゃないじゃん?なのに『お疲れ様』って」
裕司「お金入れてボタン押すだけですもんね」
幹「そうだよ!よっぽど押さないとでてこないってワケでもないのにっ」
裕司「ボタンがすごく上の方にあるわけでもないんでしょう?」
幹「そうだよ!ジャックと豆の木みたいに登らなきゃいけないワケでもない!」
裕司「(笑)」
幹「なのに、なんでっっ」
裕司「そう言っておかないとマズイからじゃないですか?」
幹「なんで??」
裕司「…舌打ちする人がいますから…」
幹「!」
裕司「怖いですからねぇ~あれは…!」
幹「オ、オマエ、さっきのをずっと根にもってたのかっっ!!」
裕司「(笑)。高級羽毛布団を買わせてあげたいですよ、自腹で…!」
幹「やめてくれっっ!」
裕司「(笑)。布団圧縮機もつけてあげますよ…!!」
幹「いらねえーっ!それこそ余計な気遣いだっっ!!」
裕司「(笑)。上に登って買ってくださいね」
幹「登らねぇよっ!」
裕司「取り出す時、気をつけてくださいね。入り口、ポストみたいになってますから」
幹「狭すぎ!!」
裕司「支払いはキャッシュでお願いします…!!」
幹「買わねぇーっっ!!」
裕司「(笑)!」
とある牛丼の専門店。
だが店内は高級レストランのような雰囲気。
シャンデリアが輝く店内を、タキシードを着た店員が優雅に行き来している。
足元は、ふっかふかの赤い絨毯。その下は、ぴっかぴかの大理石。
店内を見渡せば、有名な絵画とデカイ壺、黄金のマーライオンが飾られている。
「……なんじゃこりゃ……」
「いらっしゃいませ」
「あ、あの…」
「初めてのお客様でいらっしゃいますね?」
「は、はい…。あの、ここって牛丼屋…」
「左様でございます。どうぞこちらへ…。お席にご案内いたします」
「は、はい…」
客、ダンディーな店員とともに移動する。
「どうぞ」
「ど、どうも…。椅子ひいてくださるんですね」
「当然でございます」
客、恐縮しつつ…座る。
「ご注文は牛丼でよろしいですね?」
「は、はい」
「お好みでスープのひたし加減を調節できますが、いかがいたしましょう?」
「す、すうぷ?」
「つゆだくでよろしいですか?」
「あ、そういうこと。は、はい、それでお願いします」
「トッピングはいかがいたしましょうか」
「トッピング?」
「半熟卵、生卵、ネギ、キムチなどございますが」
「あ、じゃあ半熟卵で」
「かしこまりました。当店では卵はウコッケイを使用しております」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ウコッケイではご不満ですか?ではダチョウの卵を…」
「普通のでいいよっ!」
「普通…といいますと?」
「鶏の卵だよ!それでいいよ!ウコッケイの卵って1個500円するんだろ!?そう聞いたことあるぞ、冗談じゃねえよ!値段、はね上がるだろ!?」
「本当に…鶏の卵ごときでよろしいのですか」
「ごときって言うな、十分だよ!」
「では、そのように致します…少々お待ちくださいませ」
店員、一礼して優雅な足どりで厨房へむかう。
「…お待たせいたしました」
「ずいぶん待たされたんだけど」
「注文をうけてから釜で飯を炊きますので」
「炊いとけよ!!」
「炊きたての方が美味しいですから」
「それならそうと先に言っといてよ、退屈しちゃったよ!」
「申し訳ございません。ピアノの生演奏はお気に召して頂けなかったでしょうか…?」
「眠くなっちゃったよ!」
「申し訳ございません」
「ま、いいや。早く食わせて。腹へったよ」
「どうぞ、こちらでございます…」
店員、優雅な手つきでフタをあける。
「おっ、旨そう~!」
「…お客様。つゆだくの加減は、こちらでよろしかったでしょうか」
店員、器を傾けてつゆを客にみせる。
「わざわざ確認するんだ!?」
「いかがでしょうか、お客様」
「い、いいんじゃない?」
「お気に召して頂けて何よりです。ではごゆっくり…」
「ちょっと待って!」
「はい」
「この箸…なに?」
「黄金の箸がなにか?」
「普通のでいいよ!!」
「では漆塗りの方をお持ちいたします」
「いや!待って!」
「はい?」
「安く済ませたいから牛丼屋にしたのに、こんなの出されたら意味ないよ!普通のにしてよ!」
「ご安心ください。当店では良心的な価格設定にしておりますから」
「いくらなんだよ?」
「こちら最高級の霜降り和牛を使っておりますので、しめて1万8千円となります」
「たけぇーッッ!!!」
「あの素材でこの値段ですから、かなり良心的ですよ…」
「卵と箸にあんだけ文句言ったのに結局たかくつくのかよっっ」
「カード払いできますよ」
「そういう問題じゃねえっ!!」
「分割払いは受け付けておりませんが…」
「なんでだよッ!?!!」
「まあ、せっかくですからお召し上がりください」
「注文しなかったことにしてくれ!オレは帰る!!」
「そういうわけには…」
「ちょっと遠いけど普通の牛丼屋にするわ!つか、もう、そこらのコンビニでなんか買って食うよッ」
「フッ、庶民が…!」
「今なんてった!!?」
「またのお越しをお待ちしております…!」
「二度と来ねえよーッ!!!!」
幹「あのさ、好みは人それぞれだと思うんだけどさ」
裕司「ええ」
幹「0から9までで、どの数字がすき?」
裕司「数字・・・ですか」
幹「うん、言ってみてよ。あ、漢数字じゃないほうね」
裕司「一、二・・・ではなく、1、2・・・のほうですね」
幹「うん。どれがすき?」
裕司「僕は・・・」
幹「ありきたりなのはナシね!」
裕司「えっ」
幹「1番になりたいから1がすきとか、ラッキーセブンの7とか、そういうのはナシね!」
裕司「どれだっていいじゃないですか(苦笑)」
幹「それを踏まえて、さあ、どれがすき?!」
裕司「答えづらいんですけど^^;」
幹「オレはねえ」
裕司「聞いてくれないんですか!」
幹「2がすき!!」
裕司「そ、そうですか!」
幹「裕司はどれがすきなの?」
裕司「あ、きいてくれるんですね!僕は」
幹「そうそう、なんで2がすきなのかというと」
裕司「聞いてくださいよ!!」
幹「いや、言い忘れてたから」
裕司「ま、まあいいですよ。聞きますよ」
幹「裕司のすきな数字は?」
裕司「あ、先に聞いてくれるんですか?僕はですね8が」
幹「あ、やっぱり先に言おうかなっ!」
裕司「勝手にしろッ!!」
幹「まあいいや、先に言いなよ」
裕司「い、いいのか」
幹「うん」
裕司「だったら言うが邪魔するなよ・・・」
幹「あっ!」
裕司「なんだッ?!!」
幹「こういうのって、性格がでるから気をつけてね!」
裕司「えっ?!」
幹「例えば、7がラッキーそうだからすきってヤツはと~んでもなく単純だし、8がすきってやつはと~んでもなく古風でヒネクレ者でスケベだからっ」
裕司「な、なんでそうなるッ?!」
幹「どうせアレでしょ?8は漢数字にしたら八って形で末広がりで縁起がいいとか思ってんでしょ」
裕司「あ、ああ」
幹「古風じゃん!おまけにさっきオレが『漢数字じゃないやつで』って言ったのに漢数字を視野に入れちゃってるところが、頑固でひねくれてる!」
裕司「だとしても、スケベは関係ないだろ!?」
幹「あるよ!8からハチを連想したんでしょっ」
裕司「えっ」
幹「虫のハチだよ!あれは、ケツがプリッってしてるからね!スケベな上にケツフェチだよ!ぷりっぷりのケツがスキっ!」
裕司「ずいぶん決め付けるな・・・!」
幹「決め付けじゃなくて、事実だよっ!」
裕司「ま、まあ、ぷりっぷりのアレは嫌いじゃないですが」
幹「でっしょうー?!ほら当たったーー!!」
裕司「そういうお前のはどうなんだよ?!」
幹「えっ」
裕司「お前だってプリッケツがすきなんじゃないのか?!」
幹「違うもん、オレは2がすきなんだから」
裕司「じゃあ2のすきなやつはどんな奴なんだ、えっ?!」
幹「2はね・・・安定志向」
裕司「安定志向?」
幹「うん。思い浮かべてみてよ、ほかの数字を。1、3,4,5,6,7,8,9・・・支えが甘いんだよ」
裕司「支えがあまい??」
幹「その数字を支える下の部分がね・・・一本しかないか、丸いかどっちかなんだよ。ちょん、とつついたら倒れそうなカタチしてる」
裕司「あ・・・言われてみれば」
幹「2だけなんだよ。土台がしっかりしてるの」
裕司「あ、なるほど」
幹「そう。だから安心。だから『安定志向』ってワケ」
裕司「へえ~・・・」
幹「それに『ナンバー2』ってカッコイイよね、トップを虎視眈々と狙ってるカンジで野心があって♪」
裕司「そうか、お前ナンバー2なのか」
幹「初めから1番であるよりも、やりがいがあっていいと思うっ」
裕司「だったら俺が1番てわけか」
幹「えっ」
裕司「だってそうだろ?クラウドは2人しかいないわけだから、お前が2番なら必然的に俺が1番・・・」
幹「ちょ、ちょっと待ってよ!それはおかしいよっ!!」
裕司「いや、何もおかしくないだろ?」
幹「こんな、頑固で古臭いプリッケツ好きがクラウドのナンバーワンなんてえーーー!!!」
裕司「ずいぶんな言われようだが」
幹「認めないっ!オレは認めないからねええええええーーーーっっ!!!」
裕司「そんなにいやか?!!」
幹「イヤあああああああーーーー!!!」
裕司「だったら、こうしよう!ぷりっケツの美女を8人つれて来いッ!そしたらナンバーワンにしてやるからッ!!」
幹「そうまでして、プリッケツが見たいのかっ?!」
裕司「見たいな!」
幹「つか、そんなにたくさんのプリッケツがほしいか?!!」
裕司「欲しいな!!!」
幹「つか、そんなにいるワケねえだろ、プリッケツが?!!」
裕司「じゃあ、諦めるんだな・・・!」
幹「くっそおおおお~・・・・!」
裕司「フッ」
幹「・・・っていうかオマエ・・・」
裕司「ん?」
幹「頑固で古臭いスケベだってのは否定しないんだな」
裕司「あっ!」
幹「素直な性格だわ、結局・・・・・」
裕司「(笑)!」
幹「あったかいものが飲みたい・・・!」
裕司「寒いんですか?」
幹「ついでに懐もあったかくなればいい」
裕司「どんなついでで(笑)」
幹「裕司がきっと叶えてくれるっ」
裕司「なんでですか^^;」
幹「オレにホットココアを与えるついでに、万札の束をポッケにねじこんでくれるに違いない・・・!」
裕司「万が一にもないですよ、そんなコトは」
幹「万が二くらいなら・・・うん、二万円でいいからっ!」
裕司「はい分かりました」
幹「ホント?!!」
裕司「・・・なんて言いませんよ」
幹「ちっ」
裕司「あれ、いま軽やかな音が聞こえてきましたけど」
幹「舌打ちって言うんだよ」
裕司「自分が100パー正しいのに舌打ちされたのは、初めてです」
幹「思いやりがないな、裕司は・・・」
裕司「冤罪っていうんですよ、そういうの」
幹「2万円でいいって言ってあげたのに・・・!」
裕司「『安くしてあげた』かのように言ってますけど」
幹「優しいんだよ、オレは」
裕司「優しいなら相方から金をまきあげたりしませんよね」
幹「裕司にイイコトをするチャンスを与えてやってんだから・・・優しいじゃん!」
裕司「タダで2万円せしめようとしてる奴のどこが優しいんだ?ずうずうしいって言うんだ、そういうのを・・・」
幹「ダメ~?」
裕司「駄目に決まってるだろ、甘えても無駄だ」
幹「こんなに安くしてあげてるのに~~?」
裕司「『安くしてあげてる』って、あてつけがましい」
幹「スッッゴク安くしてあげてるのにっ?!」
裕司「じゃあ、もとはいくらなんだ?」
幹「100万くらい」
裕司「有り得ねえッ!!!」
幹「束って言ったじゃんっ!」
裕司「言ったって渡すワケねえだろッ本気でもらえると思ってたのか?!言ったもん勝ちなのか、お前の中では?!」
幹「夢はまず、言ったモン勝ちっ!」
裕司「夢のままでおわらせとけッ!」
幹「夢っていうか・・・目標!」
裕司「自分で稼げ!!言い方かえても駄目だッ!!」
幹「目標っていうか・・・計画??」
裕司「また言い換えたッ!」
幹「これならいいでしょ?」
裕司「俺の財布を軽くする計画ッ?!」
幹「ウン」
裕司「いいワケないだろ、タチの悪いッッ!!」
幹「いまから2万円増える『予定』」
裕司「言い換えても無駄ッ!予定は変更になることもあるッッ」
幹「じゃあ、『増えます!』」
裕司「言い切った!!」
幹「いまから、裕司くんの財布からボクの財布に2万円が贈られます!!」
裕司「ピシッとウソをつくな!!」
幹「もう変更はききません、広告うっちゃいましたから」
裕司「出版業界みたいなこと言うなッ!」
幹「2万円もらわないと、終われません」
裕司「追い詰めるなよ!」
幹「入れるだけ入れてください、ボクの財布に!とりあえずっっ!!」
裕司「とりあえずって、あとで返してくれるんだろうな?!!」
幹「返します!!」
裕司「ホントか?!!」
幹「返す・・・予定!!」
裕司「おいッ!!!」
幹「予定は、予告なしに変更になる場合があります・・・」
裕司「誰が渡すかーーーーッ!!!!」
幹「・・・・ちっ!」
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