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2012-02-12 19:06:06

ブランド構築の鉄則-6&7 ユナイテッドアローズ

テーマ:マーケティング


ソーシャル&CRMブランディング・ワークスへ、ようこそ!

ブランディング戦略を組み立てる上で欠かせない3つの柱があります。
毛利元就ではありませんが、その柱に「3本の『や』」という名前を
付けました。

「約束」「役割」「やり方」です。

「約束」は、一般的には「ブランド・ミッション」と呼ばれるものです
が、「ミッション」を辞書的に「使命」と訳してしまうと顧客との関係
性が薄れてしまうので「約束」のほうがより適切なのではないかと、
考えた次第です。
企業から顧客に対する「約束」と、組織内における従業員の業務遂行に
おける「約束」の両方を意味します。「コミットメント」に近いのかも
しれません。

「役割」は、「ブランド・パーソナリティ」や「ブランド・ロール」と
も言えるもので、ブランドの「約束」を実行するために必要な組織の
機能や従業員の資質を統合したものと考えてください。
逆の流れで考えれば、「役割」を果たすための判断基準が「約束」とい
うことになります。

そして「やり方」は、ブランドが顧客に対して果たすべき「役割」を、
「見える形」にして伝達する方法です。広告や店舗設計や接客など、
顧客との接点におけるコンテンツの創り方やメディアの使い方は、全て
「やり方」に集約されます。

ですから企業側からの視点だと、ブランディング活動は「約束→役割→
やり方」となりますし、顧客側からの視点だと「やり方→役割→約束」
という流れで企業のブランディングを認識することになります。
以前お伝えした「知らせる→好かれる→頼られる」と同じ流れです。


さて、そこで本題。

先日の新聞広告に、ユナイテッドアローズの全ページ広告が掲載され
ました。(*green label relaxingのものです。)
不要のメンズ・スーツを下取りすることによって、東日本大震災の復興
支援の寄付を生み出そうというものです。

ユナイテッドアローズは、震災直後からこうした取り組みを立ち上げ
ており、写真のような被災地復興支援活動の一環としてのTシャツの
開発・販売も行なっています。

http://www.united-arrows.co.jp/special/2011moving_on_together
/index.html


もちろんユナイテッドアローズに限らず、さまざまな企業が同様の活動
を行なっていますが、肝心なのは、自社商品の価値と支援活動の結び付
きです。

少しドライ過ぎる表現を許して頂きたいのですが、「震災復興」という
目的(=社会貢献)の限定性を、いかに自社商品の持つ属性に活かすこ
とができるか、という戦略思考です。
ただ寄付をすればいいというものではなく、自社の強みを活かすことに
よって(他社以上に)実現できる復興支援は何か、ということです。

アパレル産業に限って言えば、その価値は「デザイン」や「素材品質」
や「価格」ということになるのでしょうが、その販売する「仕組み=
やり方」もまた価値の一部なのです。

(*私は、中心価値と周辺価値という言葉で区別しています。)

「デザイン」や「素材品質」や「価格」という中心価値の軸に反応し
なかった顧客が仮に「社会貢献」や「環境志向」という周辺価値の軸に
反応してユナイテッドアローズというブランドに関心を示したとしたら、
それは直接的な販促戦略ではないにせよ、結果的には顧客との接点の
拡大に成功したことになります。
その意味でも、このユナイテッドアローズの「やり方」は正しいのです。

誤解をしないで頂きたいのですが、社会貢献をビジネスのネタにせよと
言うのではありません。企業は経済活動を通じて社会貢献をするのが
最上位のミッションです。
その意味で、今回のユナイテッドアローズの広告は、確実にブランド
力の強化に結びついているということです。


つまり、

●ブランド構築の鉄則-6

 ブランドの価値は、周辺価値によって強化される。


●ブランド構築の鉄則-7

 ブランドの周辺価値には、必ず社会的価値が含まれる。


どんなに優れたブランドも、その中心価値だけで存続することは困難
です。よくUSPという言葉で、企業や商品の「強み」を定義するこ
とが説かれていますが、(それはもちろん必要なことです。)その
USPを支える周辺価値がしっかりしているからこそ、中心価値が力を
発揮することができるのです。

中心価値は、基本的にその商品やサービスが帰属するカテゴリーに求め
られる経済的価値であり、周辺価値の一部には、今回紹介したような
(あらゆるカテゴリーにまたがる)社会的価値が含まれているという
ことです。
2012-02-05 19:43:38

ブランド構築の鉄則-5  / キットカット

テーマ:マーケティング
ソーシャル&CRMブランディング・ワークスへ、ようこそ!




受験シーズンも峠を越えて、いよいよバレンタインシーズン。


最近では、本来の「告白」の意味合いも薄れて、「友チョコ」が全盛の
ようですが、これも市場のカジュアル化現象のひとつかもしれません。


こうしたチョコレート市場で、ここ数年元気が良いのが、ご存知!
「キットカット」。


2002年に「きっと勝つ」という受験の縁起担ぎをからめた販促戦略
がヒットし、いまや受験生の必需品。パッケージにメッセージ枠を付け
ることで、いろいろな用途に対応できるようになっていることは、皆さ
ん既にご承知だと思いますが、サイト上ではこれをさらに進化させた
「チョコラボ」なるものまで開設し、自分の写真やメッセージを込めた
「オリジナル・キットカット」を作れるまでにしています。


また、いまや全国で40種類以上あると言われる「ご当地シリーズ」の
製品化も含めて、コミュニケーション・ツールとしてのチョコレート
というポジションを確立しています。


「受験」「愛の告白」「旅行のお土産」という全く異なる市場に、
「キットカット」は適応しているわけです。


商品としての基本的な品質が満たされていることは当然ですが、参入
する市場でその商品にどのような位置づけを与えるかで、消費者の反応
が大きく変わるということは、この事例からも良く分かります。


*「キットカット」が参入しているのは、チョコレート市場ではなく、
  受験(生)市場や恋愛市場や旅行(出張)市場だということです。


*プロダクト・アウトとマーケット・インと読み換えて頂いても結構
  です。


*「愛の告白」にダイヤモンドを贈るケースと比較すると、その位置
  づけの違いが分かります。






つまり、


●ブランド構築の鉄則-5


 ブランドの価値は、参入する市場によって変化する。




*アンゾフの「製品/市場マトリクス」にも通じる部分ですね。






「(本来の?)愛の告白」としてチョコレートを贈る際には、チョコ
レート以外の(より高額な)品物を添えるという人が多いことからも、
チョコレートが果たす「記号」としての役割の範囲が分かります。


著名なショコラティエによる高額なチョコレートを贈ったり、有名な
アパレルブランドとのコラボレーション・チョコレートを贈るという
のも、その著名性や高額にこそ「意味」があるのです。


手作りチョコを贈るというのも同様です。「手作り」という行為に
「意味」があるわけです。


「モノ」に「意味」を持たせるのは、付加価値戦略の定石です。


あなたが、自分の「告白」をより強固なものにしようと考えるなら、
チョコレートにどのような「意味」を与えるべきかを、よく考えてから
にしたほうが良いということです。
2012-01-29 20:11:56

ブランド構築の鉄則‐4 / 東京電力ふたたび

テーマ:マーケティング
ソーシャル&CRMブランディング・ワークスへ、ようこそ!


1月25日から開催されたのダボス会議で、27日、環境NGOの
「グリーンピース」などが主催する「地球に害を与え人権を侵害した」
企業を選ぶ「無責任な企業ランキング」の発表が行なわれ「東京電力」
は、結局、「2位」でした。


中間集計では「1位」だったのですが、わずか1000票の差で、
ブラジルの資源メジャー「バーレ」に敗れました。


(*「2位」でもダメなものはダメなんです。)




前々回のメルマガで、下記のようなブランドの鉄則を書いていました。




 「ブランドの社会的価値は、その経済的価値に優先する。」




つまり、どれだけ経済的な便益を提供していたとしても、その商品や
サービスが社会的不利益をもたらす場合は、ブランドとして存在しえ
ないという意味です。


(例えは極端ですが「地下経済」はその代表格です。)


その時点では、私は「東京電力=TEPCO」をブランドと捉えてい
たのでそのような「鉄則」を書いたのですが、今回少し疑問に感じる
部分があったので、きょうはそのことについてお伝えします。


それは、「選択する権利」です。


現在の日本では、電力のほとんどは地域の電力会社に依存しており、
ほとんどの電力会社は独占企業と言って良いでしょう。いわゆる地域
経済の主軸を担う「顔」であり、知られ過ぎるほど知られた存在です。
地域の経済団体の役職のトップに君臨することも珍しくありません。


それが今回の原発事故でその権威は失墜し、まさに自らの顔に泥を
塗ってしまったわけですが、だからといって事故以降、東京電力の
供給エリアで東京電力以外の企業や団体から「新しい電力」を購入
することができた人がどれくらいいるでしょう。


電力ベンチャーからの購入に切り替えた人、あるいは太陽光パネルや
コジェネレーションのシステムを導入したというような人は、ほんの
わずかのはずです。


もちろん金銭的な問題もありますが、それ以上に、そこには「自由な
選択肢」がないという問題があるからです。


ブランド構築のステップとして「知らせる・好かれる・頼られる」と
いう3つの段階を私は唱えているのですが、東京電力の場合、「知ら
せる=知られる」「頼られる」ことはあっても、購入するプロセスや
購入した結果として「好かれる」という顧客との関係性が実現できて
いたのかが疑問なのです。




(「役所」や「政府」を知らない人はいませんが、これらは選択する
ことができないサービスですから、ブランドにはなりえませんね。)




「選択して購入する」という意識を持たない市場での話なので、顧客
の側にも「好きになる」という認識もなかったのでしょうが、おそら
くこれからは「選択する」という行為が、電力市場においても重視さ
れるようになるでしょう。


エネルギー市場というカテゴリーにおいて重視される価値としては、
「経済性(価格)」「安全性」「環境性」などが考えられますが、
こうした基本的な価値以上の「何か」を生み出さなければ、消費者に
「選ばれる」存在になることはできません。




つまり、




●ブランド構築の鉄則-4


 「選択を伴わないところにブランドは存在しない。」




 ポジティブな言い方をすれば、


 「ブランドは、積極的な選択を生み出す。」




ということになります。


「東京電力」がブランドであるか否かが明らかになるのは、まさに
これからのように思います。

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