ハイドン 交響曲「告別」
テーマ:音楽バッハ、ヘンデル、モーツアルトと続いたたので、今日は
ハイドンにするか。
あだ名を持つ交響曲も多くあるが、所持するディスクの
数はしれている。そこから、「告別」を選んでみた。
第45番の交響曲でハイドン40歳の作品。
あまり聴いてはいないが、この曲の印象は最初から
独特であった。あまりにユニークなので、楽譜を買った
くらいである。
ユニークさの筆頭はシャープ3つの短調。これは大変
珍しい嬰ヘ短調なのである。
冒頭の主題はラミドの下降が2回繰り返された次の楽句
は、レシミ、シミシと下降する。
このレシミ、シミシの下降旋律も、私にはユニークだと
言いたい。短調の主和音ラドミの属和音ミ♯ソシにレを
加えただけの、単純と言えば単純な旋律なのだが、これが
なかなか歌いにくい音程である。
これが嬰ヘと言う珍しい短調で書かれているので、この
旋律の与える独特さの度合いが増す。
調子によって何故感じが変わるのか? これについては
昔その理論を読んだのだが、難しくてよく理解できなかった。
旋律だけなら、移調・・例えばイ短調に・・しても音程の高さ
の違いだけのことなのだが、感じが変わるのは、どうも和音
に問題があるように記憶している。
この第1主題がこの楽章を圧倒的に支配しているので、
かなり異色ある雰囲気・・・不吉な感じ・・・に聞こえるので
ある。
ハイドンのこの交響曲の作曲にまつわる話は有名なので
ここでは割愛するが、この不吉感に始まって、ともかく全曲は
うら悲しく、もの寂しさが滲んでいる。
第2楽章は長調ではあるが、なんとなくもの悲しい。途中で
オーボエが加わると、その感が強い。
数回、楽節の切れ目にフェルマータが付いているところでは
ラドミソの和音にもなっていて、もの寂しい余韻を残している。
第3楽章のメヌエットは嬰ヘ長調と、これも珍しい調で、弱奏
で始まるから尋常でない雰囲気。そしてヴァイオリンの旋律に
タイがある点にも不思議な気分がかもし出されている。
第4楽章は2つの部分から成り、最初のプレストは嬰ヘ短調に
戻って、まあ普通なのだが、譜面を読むと一寸変わった旋律
というか、音程はややとり難いものである。 その点、やはり
聞いていて少し不思議な印象を受ける。
そして、第2部。ここが「告別」と言われる由縁である。
アダージォのなんとも侘しげな旋律で、管楽器が順次演奏を
終止し・・・ローソクを消して舞台から退場したとも・・・次に
コントラバス、チェロ、ヴィオラと順番に去り、最後にヴァイオリン
だけが残って最後の14小節をP、そしてPPで消えるように閉じ
られる。ああ、なんとも悲しい雰囲気で終わりますね。
これを聴いたエステルハージー公ニコラスは、ハイドンの意図を
理解して、楽団員たちのウィーンへの帰省を許し、ニコラス自身
もエステルハージーの別荘を去ることにしたという。
空前絶後の珍趣向が成功しただけでなく、また、単に悲しさの
ある楽想という以上の情感が漂っている点がすばらしいと思う。
普通は明るい曲想のハイドンを思うと、その感は一層である。
演奏:ドラディ/フィルハーモニア・フンガリカ(LP盤)







1 ■crest-my7 様
いつもありがとうございます。
ハイドン・・・、私は充分に聴き込んでおりませんが、とにかく、古典の音楽語法の中で、着想の素晴しさを感じさせられる素晴しい作家であることは動かし難いですね。
私も、もう一歩踏み込んで聴いてみたくなりました。
記事、ありがとうございました。