カフェバー|credo|下高井戸駅1分

バータイム店主による日々雑感


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「餅は餅屋」という言葉があるように、その道のプロに任せてしまったほうがなにかといいことが、このごろ明確に分かってきた。

 

 店のフードメニューの根幹となっている食材のいくつかはプロの手によるもので、それらを全国から取り寄せている。これを読んでいるお客のなかにはどんなものを使っているのか気にしている人がいるかもしれないから、今回はわが店の取り寄せ事情を書いてみたい。

 

 まずはドレッシング。もう長いこと受託製造工場に依頼して作ってもらっていて、この工場のおかげでドレッシングの店頭販売と通販ができるようになった。

 

 知り合いのタイ料理屋に紹介してもらったのがおよそ5年前。もとはしょう油の製造工場で、さまざまな食品のOEM供給を手がけている。ラーメン店用にチャーシューやしょう油ダレなども作っているそうだ。

 

 こちらのレシピをもとに、原材料の調達から加工、製品化までを行うという。うちのようなチビ店の少ないロットでも、「かまいませんよ」と二つ返事で引き受けてくれたときの社長の顔はいまでも覚えている。

 

 生パスタも特注である。あるきっかけで知り合いになった沖縄そばの店主が数年前に麺づくり専業の身となって地方に移住。水にこだわり、国産小麦を100%使用した生麺を、わが店に送ってくれているのだ。

 

 店ではボロネーゼをのせて提供しているが、実はさらにうまい食べ方がある。

 

 茹であがったパスタに、すぐさま玉子を投入。そこにだししょう油(普通のしょう油でも)をたらして急いでにまぜる。さめてしまう前に特急で食べてしまう。ただそれだけ。

 

 洋風かま玉うどんというか、和風カルボナーラというか。ぼくは手でちぎった焼きのりも加えてまぜてしまう。見た目はまぁアレだけど、これがびっくりするほどうまい。この生パスタは自宅にもたくさん冷凍保管されている。店から帰った午前4時ごろ、「うひひ」などと言ってこれをすすっているのだ。

 

 コーヒーも取り寄せに切り替えた。若い店主の「コーヒー豆屋」のもので、バータイムで出しているのもこれだ。アルコール特有のにおいが充満する深夜のカウンターで、このコーヒーがふわりと香ると、「おっ、なかなかいい店だな」と内心思っている。

 

 話は変わるが、会社勤めの頃、心療内科に通ったことがあった。名刺交換の際に手がふるえたり、めまいが続いて困っていた。医者は「おそらくストレスです。カフェインの強いコーヒーはひかえるように」と言った。神経を高ぶらせるカフェインはよくないという理由だった。それ以来、コーヒーを自分からは飲まなくなってしまい、数年経つと、もうコーヒーはいらない体になってしまった。

 

 カフェバーの店主が実はコーヒーを飲まないということを、これまで客には内緒にしてきたけれど、この取り寄せた豆で淹れたコーヒーがわれながらうまいので、再び「コーヒー飲み」になったことをここに報告したい。

 

 まだ客のいない夜の店内で、コーヒーを淹れる。カフェタイム担当の妻が菓子作り用に保管しているホワイトチョコをひとかけ盗む。コーヒーを飲む。チョコを少しかじる。またコーヒーを飲む――これが大変よろしい。

 

 ほかの店に真似されたらいやだな、とちょっと迷ったけれど、そんなみみっちいこと考えてはいけないな。みんなの商売活性化のために会社名・屋号、所在地を書いておく。ドレッシング製造は丸三食品(山口県)、生麺は首里製麺(石川県)、コーヒーは余白珈琲(大阪府)。勝手に書いちゃったけど、問い合わせがたくさんきてしまって仕事にならなくなったらゴメンナサイ。

 

 

2017年1月16日
バータイム店主

 

 

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 ひとり酒を覚えたのは24歳のころだ。仕事帰りに、いっぱしな顔して飲み屋の扉を開けるわけだが、店からしたらずいぶん若いのが来たなと思っただろう。店側の軽い驚きと、「よく来た、よく来た」という歓迎の気分は、自分も店をやっているからよく分かる。

 

 20年も前のことだから、スマホどころか携帯電話も持っていなかった。みんな手元にそういったがものなかったから、カウンターのひとり酒の様子はいまとちょっと違うものだったように思う。24歳の自分が、ひとりで酒を飲みながら何を考えていたのかはもう忘れてしまったけど、店によってはメニューなんか眺めながら、2時間ぐらい平気で飲んでいた気がする。

 

 バーのような店で飲み始めたのもこのころだった。よく行ったのが東京・高円寺にある店で、バーなんだけど、喫茶店のようなスナックのような不思議な店だった。エプロン姿のやせぎすのマスターがひとりで酒を作ったり、フライパンを振ったりしている、小さくて落ち着く店だった。

 

 秋葉原にある印刷会社で使いっぱしりのような仕事が終わると、総武線でそのまま高円寺駅に向かうようになった。

 

 店は一杯ずつショットの形で酒を提供していたが、顔見知りの客にはボトルキープも許していたみたいだった。同じ酒を何杯かおかわりしていると、「ボトルのほうが安いから、入れるといい」とある夜、マスターが言った。このときは、常連の仲間入りをしたみたいでうれしかった。ボトルキープしたのは「マイヤーズラム」だった。

 

 マスターはたしか40歳前後。ガキんちょのぼくの話をよく聞いてくれた。腹が減っていると言うと、ピーマンとソーセージを塩コショウで炒めたものなど、メニューボードにない料理を作ってくれたりもした。

 

 印刷会社を辞めるまで約2年間通ったが、その間に誰かを連れていったことはなかった。いま思えば、会社の上司とも、親兄弟とも異なる目上の人間との会話が楽しかったのだろう。高円寺でひとりで飲み屋を経営している男の「モノの考え方」に少なからず影響を受けていた気がする。

 

 あれから幾星霜――。ぼくは当時のマスターより年をとり、ひょんなことから飲み屋を始めてずいぶんたつ。高円寺で出会ったマスターのようなふるまい、店の空気に近づくことができているかどうかは自分じゃよくわからない。けれど、当時のあの店の姿は、いつもわが店の目標のひとつなのである。

 

 

2017年12月19日
バータイム店主


※年内の営業は12月29日まで。30日から翌年1月4日まで休みます。

 

 

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◆10月中旬
 一週間の限定期間で、わが店は弁当屋になった。知り合いの事務所から仕出し弁当の注文を受けたのだ。

 

 事務所はその間、大きなタタカイに挑んでいくという。寝食をともにするスタッフの食事を用意する時間も惜しく、人数分の弁当を届けてくれないかという依頼だ。日替わりでメニューを作り、食材や容器を仕入れた。毎朝の調理と盛り付けはやってみるとなかなか楽しい作業で、店でランチを担当する妻は味付けなどでいろいろ勉強になったようだ。

 

 大変だったのは、その弁当の宅配業務であった。その1週間はいまいましい雨が毎日ずっと続いた。車を持たないわが店はバイクで宅配するしか手立てがない。宅配用ボックスなどない普通のスクーターである。弁当が濡れたり、こぼれないように運ぶのに骨が折れた。合計で70食。なんのトラブルもなく毎日届けることができてほっとした。聞けば、知り合いの事務所もその大一番を乗り切り、タタカイに勝ったという。よおし。

 

◆10月下旬
 まったくよく降った秋雨のおかげで、わが店はすっかり干上がってしまった。

 ん? 雨なのに「干上がる」ってなんか変だな。まあ意味は分かりますね。

 

 週末に集中してこのまま年末まで雨が降り続いたら、ウチなんてたちまちつぶれてしまうだろうなと本気で考えた。フーテンの寅さんが「テキヤ殺すにゃ刃物はいらぬ。雨の三日も降ればいい」と言ったけれど、われわれも雨に殺されてしまうようなもろい商売の中にあるのだろうといまさら思ってしまった。

 

 だけど、大雨だろうが大雪だろうが繁盛している店はゴマンとある。そうした人気店とはなにか根本的なところでずれてしまっているのだな。かといって、いまさらどうしていいか皆目わからない。やっぱりバカなんだなおれは――と誰もいない店で思ったりした雨の夜であった。

 

◆11月上旬
 このブログは全国に6人いる読者(自分調べ)のために続けている。読者といったってもうお客じゃなくなった人もいるから、おれは一体何のためにこんなことをしているのかと書くたびに思う。少し前に店にやってきた幼なじみにこのことを話すと、かれは「個人でフェイスブックをやりなさい。いいからそうしなさい」ときっぱり言った。でもなあ。

 

 フェイスブックに載せるような写真がそもそもないのだ。店と自宅の行き来、あとは買い出しや仕込みの地味な毎日。写真が映えるような趣味もペットもない。これには個人的なヒガミが大きく反映されているのだけど、フェイスブックとはうまく付き合えないだろうなという妙な自信がある。始めたとしても、きっと見栄っぱりな写真とコメントを投稿してしまって、あとでこっぱずかしい思いをするだろうなと思う。

 

 幼なじみはこうも言った。「おまえがいくらがんばって書いたって、一人でも多くに読んでもらわなきゃ意味がないんだぞ」と。フェイスブックねえ……。

 

◆11月中旬
 いじけたようなことばかり書いて、秋をやり過ごそうと思っていたら、おお、そうだった、今月で開店7周年ではないか。頼りない足取りだけど遠くまできたもんだなぁという思いと、7年やったウチが辞めたって困る人なんてそれほどいないだろうという思いが半々。うーむ。やっぱり今年の秋はいじけてばかりいるな。

 

 店が入居しているビルには店子がとうとう3階のウチだけになってしまった。1階と2階のテナントがなかなか決まらないようである。真夜中に目の前の道路からビルの3階を見上げると、ポツネンと取り残されたユーレイ店のようである。けっこういい感じではないか。なかにはいじけた店主もいるぞ。

 

 この間の三者面談で、中学生の息子が数カ月も部活に顔を見せないが、どういうつもりなのかと先生が言っていたそうである。「ユーレイ店の息子はユーレイ部員か」と、妻に言ったら無反応だった。

 

 8年目もどうぞよろしく。


2017年11月21日
バータイム店主

 

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 次男坊がどんどん成長している。いま6歳。そのくらいの子どもが日々成長するのは当たり前じゃないか、という声も聞こえてくるが、体の発達というより、コトバや感情の変化のことである。それを見るのが最近の楽しみのひとつになっているのだ。
 
 話す言葉が変わってきた。最近は「しかもさぁ」とか「つまりさぁ」などといっぱしなことを言う。6歳のチビすけが「つまりもヘチマもあるか」と、つい吹きだしてしまうのだが、すると「どうして笑うんだよっ」と怒って、すぐさまパンチしてきたりする凶暴な男なのだ。
 
 分からない言葉を質問してくることも増えた。炭酸飲料のテレビCMで「はじける○○」というフレーズがあった。それを見ていた彼は「おとーさん、はじけるって何だ?」と聞いてきた。うーん。CMを見ると、炭酸が「はじけている」ということと、とび跳ねたりしている出演俳優の「はじけっぷり」をかけ合わせているようで、なかなかむずかしい質問だった。「そうだなぁ、これはむずかしいな」と正直に言った。
 
 すぐ横でいっしょにテレビを見ていた長男(13歳)に助け舟を求めた。「なあ、はじけるって何だろ?」と聞くと、やつは間髪入れずに「シュワシュワ~のことだよ」と弟に向かってシンプルに言った。次男坊はにやりと笑って合点したようだった。ほう、やるじゃないか。こういう場合、子どもに任せてしまったほうがいいようである。
 
 感情面でも変化を感じることが増えてきた。保育園に通う小さな彼にも「いやな気分の一日」があるようで、家に帰ってからも少し元気がない夜がまれにある。
 
 なにかの失敗を笑われたり、からかわれたりしたことに気持ちをひきずっているようだった。「そんなやつら、おしりのあたりをケトとばしちゃえよ」と言って元気づけると、「ちがうよ、そういうのじゃないんだよ」と言う。それ以上、言葉は続かないが、オトナのくせに全然分かってないなあという顔だった。
 
 赤ん坊から少年に移行していく「はじまり」なのだろうか。いままでとはなんだかちょっとちがう感情が心の中にあって、だけど、それがうまく言葉にできないんだよ、といった顔つきがちらりとのぞく。
 
 クラスで一番体が大きく、力の強さをアピールしてきた次男坊だったが、そうした「感情の変化」に伴ってか、最近は苦手意識を自覚するようになってきた。
 
 彼はまだ顔を水につけられない。水泳教室に通っている友だちに対して遅れを感じているのかは分からないが、君も水泳教室に行ってみるかい?と聞いたら、「おれはやらない。別なことをやっていくんだ」などと静かに言うのである。
 
 自転車に乗ったこともない。同じくらいの子どもがすいすい乗っている姿を見て、きっと簡単なのだろうと思っていたらしいが、先日ようやく始めた練習ではサドルにまたいだだけで横に倒れてしまった。これにはちょっとショックを感じたようで、その夜は口数も少なくすぐに寝てしまった、とあとで妻から聞いた。
 
 あの小さな体で、いろんなことを感じるようになっているんだなあ、といささか感心している。長男のときは「心配」のほうが先立ち、こうした気持ちの余裕はなかった。
 
 小さな挫折や悩み(と言ったら大げさだけど)に対して、これから彼がどんなふうに気持ちの中で折り合いをつけていくのだろうか――なんて少し考えてみる。
 
 親父は余計な手だしをせずに静かに見守ろうと思っている。
 
 
2017年9月27日
バータイム店主
 
 
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 飲食店のくせに定休日を週に2日とっているから怠惰な店主と思われているけれど、ホントに休息しているわけではないからね。

 

 その曜日はもうひとつ手がけている昼の仕事が夜まであるため、店の休みは仕方がないのである。「昼の仕事とは一体なんなのだ」とお客に聞かれると、「編集仕事のひとつです」とあいまいな返答をしている。別に隠しているつもりはないけれど、うまく伝わるかどうか分からない変な仕事だからだ。

 

 自分が昔いた小さな出版社から仕事をもらっている。簡単に言うと、編集部員やライターが執筆した原稿をチェックして完成形に近づける役目である。文字の間違いなどを正す校正仕事というより、彼らの書いたものをもう一段、読みやすく、分かりやすく、気の利いたものにするために手を入れる仕事だ。自分で書くわけではないから、どうも仕事の説明がしにくい。

 

 この仕事とぼくの存在は、社外におおっぴらになっていない。黒子として原稿や誌面の質的アップに寄与していくのである。外でさまざまな人に会って取材し、記事で名前をさらしている書き手が「会社の顔」であるから、記事は彼らが自力ですべて書いたものとして読まれなければならない。そう考えると、さっき、この仕事を「隠すつもりはない」と言ったけど、やっぱり隠していたほうが何かと都合がいいのかもしれない。

 

 その原稿チェック仕事が、今週は山のようにあって目が回っている。印刷会社が夏休みに入る前に通常サイクルよりも早くたくさん作っておかなければならない「お盆進行」というやつである。ついこないだの月曜に店を臨時休業としたのもそのためだ。

 

 出社しない日や帰宅してからも会社からは原稿がのべつ送られてくる。大げさでなく、自宅のファクス付き電話機はほぼ24時間、受信を知らせるランプが点滅している。この3日間は食事の時も、便所にいる時も送られてきたファクス用紙と赤ペンが必ずかたわらにあった(いやホントに)。たまに「本日15時までの戻し希望」などと書いてあるものがあり、それが20分後だったりするから油断ができない日々が続く。

 

 その日のファクスが途絶える午前1時ごろに急いでシャワーを浴びる。ビールを開ける。すばやくウイスキーに移行する。1時間ほどは、ファクス付き電話機のすぐ横にイスを置いて、そこで飲んでいる。「もう鳴るなよ、もう鳴るなよ」と電話機をにらみつけながら、やがて飲むピッチが強引に上がっていく。


2017年8月9日
バータイム店主


※8月17日(木)は夏休みとします。

 

 

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