sekatoki

夜のライブにはまだまだ時間もあることだし、

それなら映画でも観にいきませんかと、

私は先輩を誘って名古屋駅近くの小さな映画館へ。

これが川井郁子さんライブの前に見た

映画のお話です。

お久しぶりのその映画館は、

薄暗くてお世辞にもキレイとはいえないが、

澱んだ空気、濃厚な時間、良い意味でそれが

この映画には似合っているように、

私は感じたのですよね、『世界はときどき美しい』>>


38歳の野枝は絵画教室のヌードモデルを仕事にしている。

彼女は自分をモデルにした絵の前で自らを語る、"世界はときどき美しい"。

大阪は新世界、酒屋を梯子して、毎日ふらふら飲み歩くおやじが一人。

人は彼を蝿男と呼ぶ、"バーフライ"。

セックスの後のカップル、ふたりの会話はどこか噛み合わない。

彼女はひとり、別のことを想像してみる、"彼女の好きな孤独"。

天文台に勤務する柊一の、彼女・朋子のお腹には、

避妊のしくじりで産まれてくる子供がいるのだが、"スナフキンリバティ"。

ひとり暮らしをしている花乃子は、母と兄と共に父親のお墓参りへ。

浦安の実家で久しぶりに食卓を囲み、彼女は母の孤独と老いをおもいやる、

"生きるためのいくつかの理由"。

5つの人生の欠片を収録した珠玉のオムニバス作品、

"あなたを幸せにする、5つの物語・・・"


世界はときどき美しい、そのタイトルの響きがまず、良い。

フランスの詩人ジャック・プレヴェールの詩篇

「われらの父よ」より引用された言葉だそうだが、

だからなのかどこかスピリチュアルな香りがする。

とはいえ、おさめられた5つの物語は、

どこにでもありそうな、むしろどこか混沌としている日常、

人生の行き止まりに出会ってしまった彼らのとりとめもない出来事を、

まるでドキュメンタリーのようなリアリティで描いているので、

正直、初めは戸惑ってしまった。

でもね、彼らの言葉に耳を傾けていると、

澱んだ空気の中に見つけた美しい"何か"に溢れていることに気付く。

透明感のある映像、荘厳な音楽、鳥の声、風の音、やわらかな一筋の光、

小さな奇跡、まるでポエムのような映画ですね。

彼らの生き様はどこか儚く、だからこそ慈悲深く、冷たいようで、温かく、

人生って案外どんなものでも崇高なものなのかもと思った。

おかげでこの映画は時間が経てば経つほど、私の中で美化されているような。

とにかく不思議と美しい感触の映画です。

そして、ふと我思う。

私の人生だって悩みの中にきっと、どきどき美しい。


龍平くん、最近ますます良い味わいの役者さんになってきましたね。

目が良い、視線が好き。ハゲタカでも思ったが、

オーラがだんだんお父様に似てきたんじゃないかしら、なんて。

市川美日子さんもかわいいし、どちらもとっても好きなお話だったけど、

松田美由紀さんと柄本明さんにはドキリとさせられた。

「目をとじで気を失えば明日になっている」。

これ、すごい。なんか、すごい、心にグっときた。

御法川修監督は本作品で劇場映画デビューされたということだが、

すごく繊細な感性の方なのかなと今後がますます期待。

それからね、ミーハーだけどね、なかなか格好良いんだよね、御法川監督。>>

やっぱり舞台あいさつ行けばよかったよ、

風邪なんかひいてる場合じゃなかったよ、私。


TVスポットも新聞広告も出さず、

渋谷と名古屋の2つのミニシアターのみでささやかに上映スタート。

セカトキブログにスタッフさんのこんな文章を見つけました。>>

「『世界はときどき美しい』は、

どなたが観ても"面白い"と感じてくれる映画でないことを、

我々重々承知しております。

でも、この映画を世に送り出すべきだ!という使命に駆られた仲間達が、

渾身の想いで宣伝に取り組んできました。」

こんなふうに思われる映画ってなんて幸せなんでしょうね。

渋谷ではロングラン決定、少しずつ公開劇場も拡大されているそうですよ。

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