2010-01-08 10:16:33

いまわのきわ

Theme: ブログ
山田風太郎著 人間臨終図巻ほど興味をそそる本はない。なにしろ著名人の死に際の様子を丹念に
調べた内容に敬服もしながら同じように生まれてきてもいまわのきわでは百人百通りの死があり
一人として同じ死はないことが紹介されている。

そろそろ今年の芥川賞の発表があることから芥川龍之介についてページを繰ってみた。
35才で没する芥川は30才頃より自分の病気を神経衰弱、胃けいれん、腸カタル、ピクリン疹、
心悸昂進と友人への手紙に書いている。死亡する昭和二年七月二十四日の前夜のこと、二階の書斎で最後の原稿「続・西方の人」を書きあげた芥川は。続いて妻や子に遺書を書き、さらに、自分の自殺の動機について「・・・・少なくとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安である」と告白した[或旧友へ送る手記]を書き、致死量のヴェロナールとジアールをのみ、午前四時ごろ、聖書を持って階下の寝室へ下りてゆき、眠っている妻と幼い三人の子(長男比呂志七歳、次男多加志五歳、三男也寸志二歳)のそばに横たわった。やがて苦しみはじめた夫に夫人が気づいて驚愕し、ふだんからかかりつけの下島医師を呼んで手当を加えたが、すでに及ばず午前七時ごろ絶命した。
山田風太郎著 人間臨終図巻1より



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