日本の2009年1~3月期の実質GDP統計から:戦後最悪のマイナス成長! | COTレポートの読み方

日本の2009年1~3月期の実質GDP統計から:戦後最悪のマイナス成長!


 5月20日(水)に、2009年1~3月期の実質GDP成長率(一次速報値)が発表されました。確認しておきましょう。

下記は実質GDPの前期比年率と名目GDPの前年同期比をプロットしたチャートです。実質ベースでは前期比-4.0%、年率では-15.2%となりました(4~6月期は前期比-0.9%、7~9月期は同-0.6%、10~12月は同3.8%)。4四半期連続のマイナス成長であり、マイナス率は戦後最悪となっています。


鉱工業生産指数など他の経済統計が示すのと同様に、10~12月、2009年1~3月にかけて経済が急激に悪化したことを示しています。


一方で名目GDPをみると、前期比-2.9%、年率-10.9%、前年同期比では-8.6%となっています。前年同期比でみれば4四半期連続、前期比では4四半期連続のマイナス成長となっています。


名目GDPがこれだけ減少するということは、主要企業の売上高も大幅に減少していることを意味します。


COTレポートの読み方-日本:実質GDPの推移


 下記はGDPデフレーターと家計消費支出デフレーターの前年同期比伸び率のチャートです。GDPデフレーターは前年同期比+1.11%となり、2四半期連続でプラスとなっています。一方で、家計消費支出デフレーターは前年同期比-1.27%となり、2四半期連続でマイナスとなっています。


COTレポートの読み方-GDPデフレーター・前年同期比の推移


 下記は2008年10~12月期までの法人企業統計を用いて、経常利益/名目GDPの比率をチャートにしてみました。経常利益/名目GDP比率は低下基調に入っています。1~3月期はさらに低下していると推測されますが、4~6月期については反発することが予想されます。


COTレポートの読み方-経常利益/名目GDP比率の推移


 最後に下記は、東証一部の時価総額と名目GDPの比率をチャートにしたものです(時価総額は2009年3月末の数値を採用、直近の数値を使えば時価総額/名目GDP比率はさらに低下)。PER(株価収益率)の代替値とみることができます。


  時価総額/名目GDPは1990年以降の最低水準に近づいてきました。


名目GDPはあと数四半期減少する可能性がありますが、現在の株価はある程度織り込んでいる、と筆者はみています。


COTレポートの読み方-東証一部時価総額/名目GDP比率の推移


 民間在庫品増加(前期比寄与度)(実質ベース)は-0.3%となっています。企業の在庫調整が進展していることを示唆しています。


 足元の経済指標をみる限り、4~6月期の実質GDP成長率は、前期比プラスとなる可能性が高いとみています。


 

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