CoRich手塚の小劇場応援ブログ!-LIPS


大塚萬劇場にてLIPS*Sの旗揚げ公演「一千光年の引力」を観た。最近面白い芝居が多すぎて、どの芝居を観たらいいのか選択に迷う。この作品も千秋楽に滑り込んでぎりぎりセーフで観ることができた。結論から言うとこの作品を見逃さなくて良かったと心から思った。大当たりである。


かつて早稲田で人気のあった劇団ヒロポンの主宰吉田武寛の三年ぶりの作・演出公演だそうだ。ロマンティックなSFファンタジー活劇で、踊りあり殺陣ありと、わくわくどきどき、誰でも楽しめる素敵なエンターテインメント作品に仕上がった。。


吉田武寛はダンスもやってるらしく、ダンスや殺陣の演出が実に華麗。そして登場する役者の身体能力が高く、(踊りや殺陣以外の部分でも)動きがしなやかなことも作品の視覚的美しさを増している。



登場する役者は、男優は皆イケメン、女優は皆美人というファンタジーの王道的キャスティングで、しかもそれぞれが演技もしっかりしていることに驚いた。中でも主役を演じた鳥谷部譲とヒロインの大坂真璃子は見事な主役ぶりで、観客を夢の世界に誘った。鳥谷部譲は過去何度か舞台を観たことがあるのだが、成長が著しい。また大坂真璃子はこんな素敵な女優の存在にどうして今まで気づかなかったのだろうと思ったくらいだ。


荒川チョモランマなどに出演し人気と実力を兼ね備える女優三輪友実の復帰作でもある。三輪友実はこれから積極的に女優活動を再開するそうでそちらも楽しみだ。今回の役どころも彼女にぴったりの役でフアンを喜ばせた。最近めきめきと力をつけている女優黒沢佳奈も、今回は今までの小悪魔的役とは違った年相応の役を伸び伸びと演じ、魅力を発揮していた。


男優陣の中では殺陣の振り付けも担当した松井聡弥が抜群の体のきれで宮殿警備隊をストイックに演じきった。また中尉を演じた鳥枝明弘は独特の目力のある演技で個性派俳優としての地位を確立しつつある。その他の出演者も皆魅力的だった。


そして原真理子の舞台美術、田中亮大の音響、辻渉の照明などなど、小劇場界の精鋭を集めたスタッフ陣で、全ての完成度が高かった。


この劇団、次回は来年の初夏予定だそうだが、次回が遠すぎるぞというのがフアンを代表しての心情だ。