エタノールが鹸化に及ぼす影響は?

テーマ:

神奈川県相模原市、アロマ&石けん専門店COONA(クーナ)です。

 

コールドプロセス石けんをつくる際、けん化のときにエタノールを少しを加えると、

反応が速くなり、トレースまでの時間が短縮されることが知られています。

 

私は自分のレシピにアルコールを入れたことはまだありませんが、

けん化価を測定する場合にはエタノールを使います。

 

なぜエタノールを添加するとけん化が速まるのでしょうね。

 

ネットの情報によれば、

『アルコールは水にも油にも混ざるので乳化剤の役割を果たす』

という考え方が主流のようです。

 

でも、私としては、

『エトキシドイオン(EtO-)の寄与』

という考えを支持したいのです。

 

エトキシドイオンは不安定で反応性が高い求核剤なので、生成すればすぐさま油脂を攻撃し、カルボン酸エチルを生成すると思われます(エステル交換)。

 

しかし、周辺には大量の水と水酸化ナトリウムがあるので、このエステルは直ちに加水分解され、石鹸分子ができると共にエタノールが再生します。つまりエタノールが触媒のような働きをするとは考えられないでしょうか。

 

 

そこで、石鹸作りの現場で、エトキシドイオンがどの程度生じ得るのか、

簡単に見積もってみました。

 

エタノール(EtOH)は、pKa 15.9の非常に弱い酸です。

 

『エタノールが酸?』

と思うかもしれませんが、酸性を示さなくてもプロトンを放出する性質があるため、

化学的には酸(ブレンステッド酸)とみなされるんですね。

 

酸解離定数の式をちょっといじると、

 

[EtO-]/[EtOH]=[OH-] Ka/Kw

 

ここで、Kaはエタノールの解離定数(10の-15.9乗)、Kwは水のイオン積(10の-14乗)です。

 

Ka/Kw≒1/80、[OH-]を水酸化ナトリウムの濃度C(mol/l)で近似すれば、

 

[EtO-]/[EtOH]=C/80

 

通常の石鹸作りでは、水酸化ナトリウム濃度Cは8~10mol/l程度だと思います。

となると、計算上、反応の初期には添加したエタノールの一割程度がエトキシドイオンになっていることになります。

 

上記の内容は個人の推測レベルですから、間違っていたらご容赦くださいね。

 

でも、石鹸作りに用いる精油に含まれる化合物の影響にも同様の関心を持っているので、自分なりに答えを見つけたいと思っています。

AD

ガスクロの愉しみ <ローズマリー>

テーマ:

神奈川県相模原市、アロマ&石けん専門店COONA(クーナ)です。

 

植物から抽出した精油成分のガスクロ分析を試みました。

今回のサンプルはローズマリーの葉。我が家の庭で採取しました。

 

葉っぱひとつまみをアセトンに浸漬し、濾過した液を分析にかけました。

下の図が結果のクロマトグラムです。左端のピークは溶媒です。

 

 

さて結果ですが、α-ピネン(5.047min)、カンフェン(6.437min)、β-ピネン(8.272min)、1,8-シネオール(13.150min)、カンファー(19.640miin)、β-カリオフィレン(20.959min)、ボルネオール(22.250min)などが検出された模様です。

 

このローズマリー、カンファーが少なく1,8-シネオールがしっかり含まれておりますね。

AD

アラン・ホールズワース亡くなる

テーマ:

神奈川県相模原市、アロマ&石けん専門店COONA(クーナ)です。

 

アラン・ホールズワース氏が亡くなったことをニュースで知りました。

世界的に有名なロック&ジャズギタリスト。

 

私はソフトマシーンが好きな関係で名前を知る程度ですが、ギターに詳しい人にとっては神様のような人らしいです。

 

それにしても、この1年近くの間、プログレ関係のミュージシャンの訃報を多く聞きます。

キース・エマーソン、グレッグ・レイク、ジョン・ウェットン、アラン・ホールズワース

AD

ガスクロの愉しみ

テーマ:

神奈川県相模原市、アロマ&石けん専門店COONA(クーナ)です。

 

当店はガスクロマトグラフ(ガスクロ、GC)を持っていて、販売する精油の成分分析を自社で行っています。ガスクロの他には屈折率と比重も測っています。

 

精油を取り扱う上で自社分析は絶対必要で、たとえ仕入先の分析表があってもダブルチェックは不可欠だと考えているのです。

 

私、いつもはガスクロで精油ばかりを分析するのですが、今日は時間が余ったので、遊び心でちょっと違うものを測ってみました。その一つをご紹介します。

 

サンプルは相模原産の夏ミカンの表皮。

指先程の大きさの薄片をヘキサンに浸漬し、このヘキサン溶液を分析にかけました。

下の図が結果のクロマトグラムです。

 

 

精油の成分分析にはGC/MSと思っている方が多いかもしれません。

 

しかし、ガスクロで様々な成分既知の精油、精油に含まれる化合物の試薬などなどを多数分析し、クロマトグラムから得られる各成分の保持時間データを蓄積することで、主だった精油成分の同定はできてしまいます。

 

さて、今回の結果ですが、柑橘系の例に漏れずリモネン(12.947min)が最大の成分です。

他はγ-ターピネン(14.434min)、ミルセン(11.999min)、α-ピネン(5.048min)、β-ピネン(8.270min)といったお馴染みの成分も検出されました。

 

ちょっと目を引くのが31.932minの小さなピーク。

これはヌートカトン(Nootkatone)のようです。

グレープフルーツ精油特有の香気成分として知られていますが、

この夏ミカンの果皮にも結構含まれているようです。

 

自分で精油を作るのは大変でとてもできませんが、ガスクロ分析は簡単なので、身近な植物を使って精油の成分を調べてみるのも結構面白そうです。

精油の化学(10)

テーマ:

神奈川県相模原市、アロマ&石けん専門店COONA(クーナ)です。

 

アニス、フェンネル精油の主成分、アネトールの分子軌道計算を行いました。

幾何異性体(cis体とtrans体)が存在するため、特にtrans-アネトールと呼ばれています。

 

この分子は芳香族のエーテル化合物で、二重結合の位置の違う構造異性体に、前回取り上げた4-アリルアニソール(エストラゴール)があります。

 

計算は、まず6-31G(d)基底関数を用い、制限付きHartree-Fock(RHF)法で構造最適化計算を行いました。そして、その構造を使い、6-311G(d,p)基底関数を用い、真空中と水中(PCM法)のRHF計算と真空中のMP2計算を行いました。

 

計算結果を下表に記載します。

HOMOやLUMOのエネルギー値はイオン化、アニオン化の尺度になります。

ΔG(Hyd)は、水との親和性を表します(負に大きいほど親水性大)。

Dipole Momentは、電荷の偏りを表します。値が大きいほど極性が大きい分子です。

 

Reference

Gaussian 98, Revision A.11.2,
 M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria,
 M. A. Robb, J. R. Cheeseman, V. G. Zakrzewski, J. A. Montgomery, Jr.,
 R. E. Stratmann, J. C. Burant, S. Dapprich, J. M. Millam,
 A. D. Daniels, K. N. Kudin, M. C. Strain, O. Farkas, J. Tomasi,
 V. Barone, M. Cossi, R. Cammi, B. Mennucci, C. Pomelli, C. Adamo,
 S. Clifford, J. Ochterski, G. A. Petersson, P. Y. Ayala, Q. Cui,
 K. Morokuma, N. Rega, P. Salvador, J. J. Dannenberg, D. K. Malick,
 A. D. Rabuck, K. Raghavachari, J. B. Foresman, J. Cioslowski,
 J. V. Ortiz, A. G. Baboul, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko,
 P. Piskorz, I. Komaromi, R. Gomperts, R. L. Martin, D. J. Fox,
 T. Keith, M. A. Al-Laham, C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe,
 P. M. W. Gill, B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, J. L. Andres,
 C. Gonzalez, M. Head-Gordon, E. S. Replogle, and J. A. Pople,
 Gaussian, Inc., Pittsburgh PA, 2001.