新宿ショーで手に入れた標本の詳細検証、2回目はアルバートサウルスの歯冠です。

Albetosaurus.sarcophagus

カナダ、アルバータ州 ドラムヘラー

ホースシューキャニオン累層産(7,000~6,800万年前)

標本長:36.6mm

歯冠部 高さCH:22.4mm、幅CBL:13.2mm、厚さCBW:7.2mm

CA:26.5mm 鋸歯密度は近心側 3.5個/1mm、遠心側 3個/1mm

 

歯冠表面のエナメル質の状態は胃酸による浸食か、あまり良くありません。

近心側から見ると

鋸歯が歯根部へ向かって若干ひねりが加わっています。

対して遠心側は

ほぼ直線的に歯根部まで続いています。※途中の鋸歯は欠けていますが・・・

歯尖側と歯根側断面はこの様な状態です。

鋸歯の並び方を見ると、左歯骨歯の前の方か、右上顎骨歯の前の方の歯と思われます。

 

最近、由緒正しいアルバートサウルスの歯冠は殆ど出回っていなので、やっと手に入れることができました。

最初Gさんのブースに並んでいる時に、キャプションがジョディスリバー累層産の表記と中途半端にカットされていたので質問したところ、正しいカードを忘れて来たとのことで、I先生とカードを加工するか書き直すかで意見が割れてたところだったそうです。^^;

ケース裏のシールが正しいんだと・・・購入時、このカードも下さいとなった時にそれじゃぁとジョディスリバーと書かれた部分もカットして渡してもらったという次第です。^^

 

以上で今回のミネショで手に入れた標本の検証は終了です。

出費は大きかったですが、満足の行く戦果でした。

これから秋に向けて、せっせと資金をため込まなければなりませんが、^^;

 

ではまた。

AD

それでは新宿ショーで手に入れた、標本の詳細検証を始めたいと思います。

最初の検証は、中央アジアのウズベキスタン産の獣脚類の歯についてお送りします。

Tyrannosauroid tooth

ウズベキスタン共和国、キジルクム砂漠 Dzharakuduk

ビッセクティ累層産

白亜紀後期チューロニアン期 9,000~9,200万年前

標本長:50.5mm

歯冠部高さCH:37.6mm、幅CBL:14.0mm、厚さCBW:7.0mm、

CA:41.2mm

※写真は唇側になります。

 

では細部を見てみましょう。

※写真は舌側、歯根部に置換歯の収まる窪みが見られます。

鋸歯密度ですが、近心側、遠心側とも歯尖側 3.5個/1mm~

歯根側 5.0個/1mmで、遠心側が小歯の高さがありました。

また、鋸歯の脇にカルカロドントサウルスの歯に見られるような

が多数見られます。

※近心側の皺

 

※遠心側の皺

 

※近心側の鋸歯状態

 

※遠心側の鋸歯状態

 

非常細長く湾曲した歯冠ですが、驚くのはその薄さです。

※写真は近心側

歯尖側と歯根側は以下の通りです。

歯の形状と特徴だけ見れば、とてもティランノサウルス類の歯に見えないのですが、キャプションの代わりにGさんがこの歯だと言って論文のコピーを渡してくれたのです。^^

頂いたときは気づかなかったのですが、どこかで見たような論部だとweb検索したところ、コピーの基になった論文を見つけました。

2013年に発表された論文ですが、この論文に載っている他の骨の写真にも見覚えがあったので、もしやと思い今年の3月に発表されたウズベキスタン産のティランノサウルス類、ティムレンギアを検索したところ、ビンゴでした。^^
 
ティムレンギアはティランノサウルス類の進化において、ジュラ紀後期から白亜紀初期のメンバーと、白亜紀後期の北米メンバーたちの空白期を埋める重要な化石です。
この説明はブロ友のらえらぷすさんが詳しく綴っているので、そちら見て頂いた方が早いので割愛します。^^;
 
今回手に入れた歯に近いものもあり、ティムレンギアなら嬉しいですが、ティムレンギア以外の獣脚類が居た可能性もあるので断定は早急ですね。^^;
池袋ショーでGさんがどんなキャプションを付けてくるか興味深いです。^^
 
ではまた。
AD

今年も新宿で行われています第29回東京国際ミネラルフェア、通称”新宿ショー”へ行って来ました。^^

初日は仕事の都合で参戦できなかったので、2日目の土曜日でどれだけのお宝が残っているのか・・・長野から出張るには少々不安でもありました。^^;

JR上田駅から初電の新幹線で新宿駅に着いたのが8時過ぎ、ちょっと早めですが今までと違うルートで会場へ行くため余裕を持って正解でした。

東京から中央線で新宿へ向かったのですが、改札口を南口から出てしまい一瞬迷子に(>_<)

ビル陰から都庁が見えたので、すぐに会場に着きましたが、久しぶりに焦りました。^^;

8時15分ごろ会場に着き、まずは先着プレゼントを貰うために列に並びましたが、すでに長蛇の列・・・私が受け取った整理券は87番でした。

8時半には150名に達して、早めのプレゼント引き換えとなりました。※トルコ石でした。

その後メーンゲート側へ移動して、開場を待ちます。^^

さすがに土曜日ということで、予定時刻の5分前に開場になりました。

往来に余裕があったのは最初30分だけで、後は押し合い状態・・・

小学生の数もかなり多かったですね。

第二会場の特別展示は”鉱物と美術・工芸、そしてナノテクノロジー”というテーマで主に鉱石を磨り潰した顔料で書上げたり、染め上げた美術品や工芸品が展示されていました。

色合い的に渋めなものが多かったですが、古来より使われている技法で、どのような色彩が可能なのか、人工顔料との比較も面白いですね。^^

 

さて話は長くなりましたが、2日目の化石の方はどうだったのか?ということですが、さすがに各ブースとも業者向けの内覧会や初日で、めぼしい標本は出て行っていまったようですね。

ただ初日に取こぼされた標本や、2日目以降で店頭に並ぶ標本も数は少ないですがあるので、じっくり見て回って来ましたが、北米Gさんのブース以外は個人的に触手を伸ばしたくなる標本が無かったのが残念。アンモナイトは欲しいものがありましたが、資金的に無理でした。^^;

では、今回の戦利品です。

ウズベキスタン産のティランノサウルス類の歯と、ホースシューキャニオン産のアルバートサウルスの歯の2本です。

共に北米Gさんのブースから手に入れました。

 

ウズベキスタン産の方は、完全に清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入 ^^;

アルバートサウルスの方は状態がイマイチでしたが、やっと由緒正しいものを手にすることができました。 ^^

この出費で池袋での予算の5割は喰ってるので、今から金策を進めまないと・・・^^;

 

標本の詳細UPは後日行いますが、ちょっとスローペースになるかも知れません。

ではまた。

 

AD

前回に続いて久慈層群玉川層で見つかった、恐竜化石のレビューをお伝えします。

2回目は竜脚類の歯を取り上げます。^^

2012年6月当時の報道によると、大小5本(6本という記述もあり)の歯が、久慈層群玉川層(8,500万年前)の琥珀体験採掘場脇の河川から見つかました。

※2012年6月22日時事通信にて配信された写真

当時は咬耗面(噛み合わせですり減った面)の形状が巴形になっていることやカリナ側(切縁部)にも咬耗面があることから、ティタノサウルス形類のネメグトサウルス類の歯ではないかと言われましたが、現在は単にティタノサウルス類の歯という位置づけに落ち着いています。

展示されていたのは状態の良い3本でしたが、観察すると興味深い点も見つかりました。^^

まず展示されていた3本の歯とも、表面に縮緬の細かい皺があり、竜脚類の歯冠の特徴を持っていました。

歯根部の断面は左と中央の歯冠が楕円形、右の歯冠は少し潰れた円形ですが楕円とも言えなくはない形状でした。

一番大きい歯冠には側面のカリナに咬耗面が発生していることが確認できます。

これら3本の歯冠ですが、竜脚類の歯としては鉛筆型とかペグ(釘、杭)型と呼ばれるタイプなのですが、横からじっくり観察すると咬耗面の角度が微妙に違ってました。

一番大きな歯冠と一番小さな歯冠は咬耗面の角度が急で上下の歯が垂直に近い形で咬み合っていたのでしょう。一方真ん中の歯冠は咬耗面の角度が緩やかで水平に近い形で上下の歯が咬み合っていたようです。

 

竜脚類の場合、顎の可動する方向が、上下、前後、左右とそれらのコンビネーションで違うため、似たような形の歯でもすり減り方が種族によって差が出るんですね。また異歯性竜脚類は稀なため、当時の久慈には複数種の竜脚類が居た可能性が出て来ました。・・・あくまで個人的な妄想ですが ^^;

 

現在は見つかった標本の研究より、発掘調査で新たな標本を見つける方に重点が置かれているようなので、暫くは詳細が判らないでしょうが、追加標本が出てくれたらありがたいですね。^^

 

ではまた。

 

それでは久慈琥珀博物館で展示されていた標本を、ピックアップして行きたいと思います。

最初は発見されて間もない、小型獣脚類の歯についてです。

見つかった歯ですが博物館のキャプションによると、今年の3月25日に博物館の琥珀採掘体験場脇の9,000万年前の地層から出たもので、早稲田大学の平山廉教授らの発掘チーム(発見者はインドネシアからの留学生で、早大4年のナタニエル・ルナルディさん)により発見されたものです。

標本の大きさは長さ20mm、幅、5mm、厚さは3mmで薄くてナイフ状に曲がった肉食恐竜の歯型ですが、鋸歯(ステーキナイフなどにある細かいギザギザ)がない変わった歯でした。

国内で同様の特徴を持つ歯の化石が福井から見つかっており、フクイべナトルと名付けられたというニュースは皆さんも知っておられると思います。^^

フクイべナトルは異歯性(歯の生えている場所で形が違うこと)で獣脚類なのに植物食だった可能性が高いという研究結果が出ていますが、久慈で見つかった歯については1本だけなので、そこまでの判断はまだできませんが大変興味深い発見です。

 

では詳しく見てみましょう。

表面はつるつるで、断面は薄いレンズ型です。角度を変えて観察すると、光の加減で遠心側(顎の付け根側)に急にカーブの角度が変わっていることが判ります。また観察用の拡大鏡で見る限り、近心側(口先側)遠心側共に鋸歯は見られませんでした。

テレビ、新聞、webを通して得られる写真では、展示されている画の面と同じなので裏側の状態がどうなっているのか、公にされている面が頬側なのか舌側なのか判りませんでした。展示のキャプションでもその所は触れられていないため、これ以上は現時点は無理かと諦めていたのですが、後日この面が頬側であることが判りました。

 

以前福島で被災したチンタオサウルスの修復プロジェクトに、クラウドファウンディングで参加していることはお伝えしてますが、別のクラウドファウンディングで、若い研究者さんを支援するプロジェクト、”新種のラプトルに名前を付けたい/黒須球子さん”のリターンイベントで行われたサイエンスカフェ(5月7日、8日の2回開催)で、その情報を得ることができました。

サイエンスカフェでの内容は、研究中等の理由で詳細は記せませんが、事務局のイベント公表にリンクを貼りましたので、参考にしてみて下さい。^^

 

黒須さんは今回の発掘に数日間お手伝いで参加予定だったそうですが、大発見があったため発掘作業で記者会見の準備ができない平山教授から、発表用の原稿を頼まれて結局最終日(記者会見の日)まで現地に留まることになったそうです。^^;

サイエンスカフェで見せて頂いた標本の写真には裏側(舌側)の写真も含まれ、良く見ると歯冠表面に数条の縦の皺が近心側にあり、典型的なパロニコドン型の歯であることが見て取れました。

※ Wikipedia より、パロニコドンの歯

パロニコドンは北米各地の白亜紀後期(7,500~6,600万年前)の地層から発見される小型獣脚類の脱落歯で、歯以外は見つかっていません。一応トロオドン類の歯ではないかとされていますが、幾つかの形状があり有効とされる特徴は・・・

・頬側の歯冠表面はフラットなこと

・舌側の歯冠表面に数条の縦皺があること

・鋸歯が近心、遠心側ともに無いこと

などが挙げられ、久慈で見つかった化石は時代こそ古いですが、典型的なパロニコドンの歯と思えます。

正式には平山教授の論文待ちになりますが、詳細が明らかになるのが楽しみですね。^^

 

最後にサイエンスカフェでの記念撮影

初日の方が参加人数は少なかったのですが、恐竜倶楽部のメンバー(恐竜パンテオンの高橋さんや、Asaさんなど)ともお話する機会を得られ、楽しい時間を過ごすことができました。^^

 

ではまた。