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        宝石赤 私の日常、ペット、趣味について綴るブログ「ワッチョさんへの手紙 」も見てねネコヒヨコ

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        宝石緑 committiの小説実験室「ながくてみじかい物語 」ただ今実験中ロボット



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2010-02-08 20:51:14

ずっと待ってる(49,長い黒髪)

テーマ:ずっと待ってる

遠くで、誰かの細い悲鳴が聞こえたような気がした。
次の瞬間、目の前が真っ暗になった。



・・・遠くから誰かの声がする。私を呼んでる?
「木内さん」
私を木内さんと呼ぶのは・・・。
「木内さん」
もう一度、今度はすぐそばで名前を呼ばれ、私は目を開けた。
目の前に真っ直ぐな長い黒髪。その髪に沿って視線を上げると、そこに美織の顔があった。


私は上半身を美織に抱きかかえられ、横たわっていた。
「・・・私、死んじゃったの?」
美織は優しいほほえみを浮かべ、私を見下ろしている。
あれ、美織ってこんなにキレイだったんだ。

「福島を懲らしめるって約束したのに、私失敗しちゃった。ごめんね・・・」
「ううん、木内さんはよくやってくれたわ」
美織のひんやりした手が私の頬に触れた。(つづく)

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2010-02-06 20:01:07

ずっと待ってる(48,馬乗り)

テーマ:ずっと待ってる

(*ショッキングな表現を含みます)


そこは木端川の河原だった。周りには丈の高い草が生い茂り、人影はない。
福島は横向きに倒れている私の腕を再びつかみ、上を向かせた。
手首が不自然に曲がり、自分の体重がかかって手錠がさらに食い込む。
痛みと恐怖で涙がにじんだ。


私を見下ろしながら福島が言う。
「お前、どういうつもりだ」
黙っているといきなり私に馬乗りになり、叫びながら頬を叩いた。
「なめやがって!」
激しい衝撃とともに口の中に血の味が広がる。殺される!
福島はわけのわからないことを叫びながら、何度も何度も私の頬を叩く。
ああ、美織もきっとこんなふうに・・・。


意識を失いそうになった時、福島が首に手をかけてぐいぐいと絞め始めた。
喉から自分のものとも思えない、グエエという気味の悪い音が漏れる。(つづく)

2010-02-04 20:10:53

ずっと待ってる(47,手錠)

テーマ:ずっと待ってる

「気がついたようだな」
頭上から声がした。
ハッとして顔を上げると、運転席から振り向いた福島が冷たい目で私を見下ろしていた。


「やっぱりお前だったんだな」
「な・・・なんのことですか?」
気持ちとは裏腹にうめくような声しか出ない。
「これだよ」
福島は私がドアに貼った封筒を手に持ち、ヒラヒラと振る。
「私・・・なんのことだか・・・」
福島がフンと鼻で笑った。
「しらばっくれても無駄だ。お前が化学準備室を嗅ぎ回ってた時からわかってた」


福島はシートベルトをはずし車を降りると、後部座席のドアを開けた。
「降りろ!」
乱暴に私の腕をつかんで引っぱる。
「ひっ!」
手錠が手首に食い込み、私は痛みに思わず悲鳴を上げた。
「ほら、降りるんだよ!」
福島がさらに腕を引っぱり、私は頭から横ざまに転げ落ちるように車外へ出た。(つづく)

2010-02-02 20:23:06

ずっと待ってる(46,パニック)

テーマ:ずっと待ってる

頭がズキズキする。体がグラグラと揺れる。気持ち悪い・・・。
ゆっくりと意識がもどってくる。私は不安定で狭い場所にうつぶせに横たわっている。
手をついて起き上がろうとして、両手が後ろ手に固定されているのに気づいた。
これは・・・もしかして、手錠!?
そこで完全に意識がはっきりした。


なんとか起き上がろうとするがうまくいかない。
苦労しながら体を横向きにしてやっと気づいた。
ここは車の中だ! 私は後部座席の下の床に寝かされていたのだ。
今、車は動いている。運転しているのは福島にちがいない。
ああ、私は福島に捕まってしまった!


どうする? どうすればいい!?
パニックに陥りそうになりながら必死に考えようとするが何も浮かびはしない。
恐怖のあまり吐き気がこみ上げる。心臓が早鐘を打つように暴れている。
と、不意に車が止まり、エンジン音が途切れた。(つづく)

2010-01-31 20:12:53

ずっと待ってる(45,死角)

テーマ:ずっと待ってる

三通目の手紙は、福島の車のドアに貼り付けておくことにした。
もう、この前の化学準備室の時のような思いをするのはごめんだ。
駐車場なら見通しもいいし、いきなり鉢合わせすることもないだろう。
福島は、いつも駐車場の右端に車を止めている。
あそこなら運転席側のドアは死角になって、手紙を貼っておいても福島以外には気づかれることはない。楽勝だ。


放課後、私は裏門手前にある駐車場へと急いだ。
よし、福島のシルバーグレーのセダンはいつもの場所に止めてある。
手紙を貼った後、できれば第二校舎の駐車場が見える場所から、福島が手紙を手にするところを見届けたい。
あいつはいったいどんな顔をするのか・・・。


ざっと周囲を見渡し、誰もいないのを確認すると素早く福島の車に近づき、ドアに手紙を貼った。
ホッとして屈めていた背中を伸ばそうとしたその時、後頭部に強い衝撃があり、目の中で火花が散った後真っ暗になった。(つづく)

2010-01-29 20:40:05

ずっと待ってる(44,破滅への第一歩)

テーマ:ずっと待ってる

何事もなく時は過ぎて行った。福島にも表面上これといった変化はない。
もっとも、平気で人を殺すようなヤツがあんな手紙の一通や二通でうろたえるはずもない。
そろそろ次の手紙を出す時期だ。三通目には、いよいよそれを書く。


杉山美織を殺したのはお前だ


だけど、これで終わりじゃない。私にはさらなる計画があるのだ。
もっともっと追い詰めて、必ずあいつを破滅させてやる・・・。


「今日さ、新栄町に行かない? あたし買いたいものがあるんだ」
休み時間に紗絵が言った。いいねいいねと春香と久美子が同意する。
「ごめん、あたしはパスするわ」
今日は三通目の手紙を出すつもりなのだ。
「理子、最近付き合い悪くない?」
「だよねー!」
「なんかあった?」
みんなが口々に言う。
「・・・ごめんね」
今はまだ話すわけにはいかない。だけど、すべてが終わった時には、きっと全部話すから・・・。(つづく)

2010-01-27 20:54:49

ずっと待ってる(43,忘れ物)

テーマ:ずっと待ってる

「わ、忘れ物を捜してたんです」
「忘れ物? 何を忘れたんだ」
「あの・・・ペンです。化学室に忘れたようなので、こちらに届いてないかと」
「どんなペンだ」
「ええと、ボールペンで、ラインストーンでデコってあるやつです」


福島は机のそばまで来ると、ペン立ての中のペンをザラザラとかき回した。
「ここにはないようだな」
「すいませんでした!」
私はペコリと頭を下げると、そのまま後ろも見ずに部屋から走り出た。


さらに化学室から出ると第一校舎と第二校舎の間の渡り廊下まで走り、そこで壁にもたれながら息を整える。
ああびっくりした。危ないところだった。
全然気づかなかったけど、あいついつからあそこに立ってたんだろう。
まさか引き出しに手紙を入れるとこ、見られてないよね。


あいつ、何しに来たんだろう。それこそ忘れ物でも取りに来たのかな。
私の嘘、そんなにまずくなかったよね・・・。(つづく)

2010-01-25 20:20:40

ずっと待ってる(42,引き出し)

テーマ:ずっと待ってる

片方の机の上には何もないが、もう片方の机の上には筆記用具や化学雑誌などが雑然と置かれている。
こちらが福島の机だろう。だが、一応確認を。
そろそろと引き出しを開けると、クリアファイルにはさまれた授業の時間割表があった。
自分のクラスの担当日を指で探す。・・・よし、間違いない。


私はブレザーの内ポケットから封書を取り出した。
今度の文面は

杉山美織はお前の車に乗った


時間割表の上に封書を置き、そのまま引き出しを閉める。
と、その時突然背後で声がした。
「何してるんだ」


ギクリとして飛び上がりそうになる。
振り向くと、化学準備室の入り口に福島が立っていた。
眼鏡の奥の冷たい目が私を見据えている。
なんで? なんで福島がここにいるの? 職員室でお昼を食べてるんじゃなかったの!?
「あ、あの・・・ええと・・・」(つづく)

2010-01-23 20:12:18

ずっと待ってる(41,ノック)

テーマ:ずっと待ってる

「ちょっと忘れ物取りに行って来る」
4時間目が終わると、弁当を広げている紗絵たちにそう言い、何か言われないうちに素早く教室を出た。
バタバタ走ったりして変に目立ってはいけない。あくまでさりげなく。
私は早足で化学室のある第二校舎に向かった。


引き戸をそっと開けてのぞくと、化学室は無人だった。
化学準備室は、いったん化学室に入り、黒板横のドアから出入りするようになっている。
引き戸を静かに閉め、ドアへと向かう。


コンコン。念のためノックしてみる。返事はない。
よし、誰もいない。大丈夫大丈夫、机の引き出しに手紙を入れるくらい10秒もかからない。
それでも、少しドキドキしながらドアを開けた。


入ってすぐの窓際に実験用具を洗う流しがあり、正面の壁には様々な用具が入ったスチールの棚がびっしり並んでいる。
流しと反対側のドアから離れた位置に、机が2つ向かい合わせに置かれている。(つづく)

2010-01-21 20:32:26

ずっと待ってる(40,化学準備室)

テーマ:ずっと待ってる

考えた末、次の手紙は化学準備室の福島の机の引き出しに入れに行くことにした。
化学準備室は化学室の隣にあり、その名の通り化学の授業で使う実験用具などが置いてある部屋だが、化学担当の教師が職員室のほかに居室としても使っている。


化学の教師は福島意外にもう1人いるが、定年間近の老教師で化学準備室を訪れることはまずない。
事実上、福島が1人で使っていると言っていい。


次の1週間で、私はこれだけのことを調べた。
紗絵たちがいるのでなかなか自由に動けず時間がかかってしまったが、このくらいがちょうどいい頃合いだろう。
放課後は鍵がかけられてしまうので、福島が職員室で昼食をとる昼休みが狙い目だ。
紗絵たちはテキトーにごまかして、なんとかうまくやれるだろう。(つづく)

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