◯◯様、お車が参りました | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

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プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

「◯◯様、お車が参りました」

お店でお客様のためにタクシーを呼んで、到着した時の表現です。

自分がお客様のもとへ行くならともかく、車という「もの」を謙譲して相手を立てるのはおかしくないかという疑問が生じます。

「参ります」「参りました」は自分(身内)の動作「行く」を謙譲して使う場合、丁寧な表現として使う場合とがあります。

【自分(身内)が「行く」ことを謙譲して使う場合】
*オーソドックスな用法です

◯ 部長の◯◯がすぐに参ります(相手がいる場所)
◯ かしこまりました。これから参ります(相手がいる場所)

【丁寧な表現として使う場合】
◯ だんだん暑くなって参りました
◯ 暗くなって参りました
◯ 園児達があちらからやって参りました

「◯◯様、お車が参りました」は、丁寧な表現として使われています。
謙譲の意味を本来持つ言葉を使って失礼になる場合は、言うまでもなく「立てるべき相手を立てず、謙譲してしまう」場合です。
つまり「先生がそちらへ参ります」というのは間違いです。

しかし、上の「丁寧な表現」の事例では「だんだん暑くなってきた」のは「気候」であり、「暗くなってきた」のは「付近」です。「やって来た」のは園児たちです。
このような過程を経て、「相手に対して丁重に述べる」働きを持たせ、謙譲したとしても失礼にあたらない第三者や事物に「参る」を使うようになってきました。

従って間違いとは言えません。
ただし、かしこまりすぎているような場合には、「◯◯様、お車が到着しました」くらいでいいでしょう。

──────ポイント

☆「◯◯様、お車が参りました」は、「お車」を謙譲したというよりも、むしろ「相手に対して丁寧に述べる」働きを持たせた表現として容認されます。ただしかしこまり過ぎている場合には「◯◯様、お車が到着しました」くらいでもいいでしょう。



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