ヨコ美クリニック院長今川の学会報告/旅行記

25年以上の実績を持つ植毛・自毛植毛専門のヨコ美クリニックの今川院長が、海外の学会報告や旅行記を紹介していきます


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2度、タイのバンコクを訪れました。
 1度目は、3月始めかねてから気になっていた、最新のFUE WAWシステムを実際にこの目で確かめるため。

 始めにFUEについて少し説明しておきます。FUEで使うパンチを動かす方式には手動(マニュアル)式と電動式とロボットの3つがあって、パンチの形状には先端がシャープ(鋭利)なものとダル(鈍い)なものの2つがあります。私は2006年にアメリカ・コロラド州デンバーのハリス医師から“SAFE”と呼ばれる方式を習得しました。彼は毛根切断のリスクが低いといわれる鈍的なパンチを使っており、私もそれに習ってしばらくはそれを使っていました。その後、ジョージア州アトランタのコール医師のシャープだが縁がノコギリ状の特殊な形状のパンチに切り替えたのです。
 とはいえシャープかダルかについては、いまだにその是非についての論議が繰り返されています。

◆ハイブリットのトランペットパンチに惚れ込む植毛医も・・・

 そんな中、最近両者をミックスしたようなハイブリットなトランペット型のパンチが、ベルギーのJ・D医師によって発表されました。これは先端が広がった円形のすり鉢状になっていて、外側はシャープ、内側がダル。外側のシャープな部分でスッとカットし、取り込んだ株にダメージを与えずにくり抜くというもの。動かす機械はミシンのように足でペダルを踏み、先端を半回転させて作業を行います。一般的なパンチはぐるぐると1方向に回転する動きですが、トランペット型は、先端が振り子のように半回転するという仕組み。
 J・D医師によると「手動のパンチと同じ原理で半回転させる方がふっくらとした質のいい株が採れる。」と自信満々。
 実際にこのWAWシステムのFUEに惚れ込んだ医師も多く、「他の方法より採れる株の質が圧倒的にいい」と、数例使ったばかりのARTASロボットを惜しげもなく半値で売って、トランペットパンチに切り替えた植毛医もいます。

 親友のタイの植毛医、D・PもこのWAWシステムを買ったと聞き、私も大いに触発され、彼の結果を見てから購入しようと考えました。(笑)
 D・PはWAWを初めうまく使いこなせず、J・D医師に助言を求めたところ、「そちらに立ち寄って実際にオペをやり、使い方もレクチャーしますよ」と。D・Pはそのことを親しい仲間の医師たちに一斉メール。すると数人が「実際に見学してみたい」と申し出て、私もいい機会だと思い、手を挙げたしだいです。

 

 

 

 

実際にオペを体験して手応えを感じた

 

 そんな経緯で3月初めにバンコクを訪問することになった私。

 J・D医師はベルギーからナースも同行させ、約束どおりP・Dの他に、私も含め4名の医師たちに2日間にわたってWAWのデモンストレーションを見せてくれました。

 

 レクチャーのあとモニターを使ってオペの実演です。「あなたもやってみませんか?」と勧められたので、もちろん喜んでと返事。ルーペを持参しなかったため、少々やりにくい面もありましたが、とても良い手応えを感じました。

 これで購入の意思はほぼ固まって1ヶ月後のAAHRSのブースでWAWの購入を予定して日本へ帰国しました。

 

 

交通渋滞はヒドイけど、タクシー代が安い!

 

 2度目のバンコク訪問は『アジア毛髪外科学会』(AAHRS)への出席のためです。今回、私の立場はセクレタリー(会長補佐)。

 本番は3月30日からですが、29日の理事会のために余裕をもち、28日に出発しました

 

 午前11時に羽田空港を飛び立ったJAL機は、定刻より1時間遅れで午後4時半バンコク着。空港からホテルまでタクシーで向かったのですが、バンコクはとにかく交通渋滞が名物のようで。高速道路もトールゲート(料金所)付近も大渋滞。通常1時間もかからない距離をノロノロと3時間かけ、ホテルに到着したのは夜の7時半…。

 一方、タクシー代はえらく安い。高速料金の70バーツ(1バーツは約3.3円)と、3時間の乗車料金を合わせて490バーツ。この国の物価から考えると妥当なのかもしれませんが、それにしても安い。しかし乗車拒否は多いし、メーターで走らない運転手もけっこういるようですが。(笑)

 

 宿泊・学会の会場でもある『アナンタラ・リバーサイト・バンコク』は、スワンナプーム国際空港から約27kmの、中心街から少し離れたチャオプラヤー川(旧メナム川)沿いに建つリゾートホテル。広大な敷地は緑も豊かで癒し効果バツグン。大小のガーデンプール、ショッピングセンターも隣接しているので、ちょっとした買い物ならここで済ませられる。交通が不便なのが唯一の欠点ですが。

 その日は早起きしたことと空港からの移動でクタクタだったせいで、ホテル内で軽く食事をし、そのままベッドに・・・。

 

 翌日の29日は理事会へ出席し、各国の理事たちと様々な意見交換を行いました。そのあとは買い物をし、部屋へ戻ってからは、翌日の学会で発表する演題の準備などをして過ごしました。

 

ワキ毛植毛の症例報告は「おもしろい」と大好評! 

 

 3月30日(金)〜4月1日(日)。学会本番です。

 初日の出番は一般演題『ワキ毛植毛』で、私がこれまで行なった症例実績などを発表しました。

 

 

 

最近は日本でもワキガの手術はポピュラーですが、多汗と臭いの原因のアポクリン汗腺を徹底して除去すると、ワキ毛が無くなります。それを気にして植毛を希望する方はたまにいらしゃいますが、今までその部分に植毛を行なった医師は世界中で私以外ほとんどいなかったようです。ワキの下の皮下組織を削るとその範囲全体が瘢痕化し、移植毛の定着に不利なのは当然として、またそこは常に動かすので、擦れて株が脱落しやすいと考えて施術を躊躇してしまうためでしょう。

 今回、私があえて“ワキ毛植毛”を演題に選んだのは、これまでに50人ほどの症例実績があり、しかも納得の結果を生んでいるから。私の発表を興味深く聞いてくれた皆さんから、「おもしろかった」と声をかけていただきました。

 31日(土)はパネルが2つ。
 1つ目は「最近のFUTのトレンド」というテーマで6人の医師(パネリスト)によるパネル。FUTとFUEはどちらにも長所・短所があり、FUEのニーズが増えていくとしても、標準技術として結果の良いFUTがなくなることはないというのが結論です。
 また、アジア人はドナー部のヘア密度が低いため、1回のFUEだけでもドナー部が薄くなるケースがまれにあるが、2回行うとびまん性の薄毛になりやすいといったことも話しました。

 もう1つのパネルは「植え付けに植毛針は役立つのか?」というテーマのパネル。最近、植毛針が見直されており、世界中では2割ぐらいが植毛針、残りの8割はピンセットを使って植え付け作業が行われているのが現状のようです。FUEの株は華奢なので植え付けにピンセットを使うと傷つきやすく、一方、植毛針であればセットした株がスムーズに組織内に入り操作が容易になるという意見もありました。そうだとするとFUEのニーズが増えれば、植毛針の使用も増えるかもしれません。
 もう一つの植毛針の使用が増える理由は、ちょっと屁理屈にも聞こえますが、シャープな針の植毛針を使うのは医師の仕事だけど、あらかじめ医師が作ったスリットに、針を鈍にした植毛針で株を植え付けるのなら、医師以外のスタッフがそれを行っても問題ないため、海外ではこの方法がとても多く行われているとのことでした。
 パネルでは、こういったテーマを1時間以上も英語でディベートします。あらかじめ原稿を用意することができないので、けっこう大変です。(苦笑)

◆トイレから戻る途中で指名されビックリ!

 さて、学会後のお楽しみはやはりナイトライフ。プールサイドの野外会場で、食事をしながらタイの民族舞踊やチャンバラのようなパフォーマンス、カラオケやダンスで大盛り上がり。
 そこでは表彰状与のプレゼンターの役目を仰せつかったうえ、来年は会長に任命されているので、その挨拶もしなれればなりません。しかし、どのタイミングで挨拶するかを事前に聞かされていなかったので、トイレから戻る途中にマイクで「今川はどこにいる?」と呼ばれたのには、いささか動揺しました。(笑)
 今回もいい出会いがありました。イラン系アメリカ人のMという植毛医です。彼は植毛界のカリスマ、ラスマン先生の弟子でもあり、ロスに2つのクリニックを持つ次世代のホープ。一般演題の時に壇上では私の横の席にいたので、マイクを避けて小声でそっと飲みに誘うと、「ぜひ連れてって」と二つ返事。(笑)
 さっそくMを含む親しい仲間と、ホテル近くの船着場から無料のシャトルボートに乗り、メナム川の対岸へと繰り出しました。
 Mは話題も豊富で本当に楽しい男です。ちなみに彼はISHRSのFUE研究委員会の委員長を務めています。

 最終日はタイで一番と言われる国立シリラー医科大学の病院で、朝からライブワークショップに参加。FUEの3種類のパンチを使ったオペ(トランペット、Uパンチ、SAFEパンチ)を見学し、そのまま深夜便で帰国しました。


 

 そうそう、前述したトランペットパンチのWAWシステムの件。D・Pの感想は、「買うだけの価値は絶対あるよ」とのこと。予定通り会場の展示ブースで購入しました。

  

 

 

【追記】

・     バンコクの学会では、ARTASロボットが、けっこう話題になりました。以前も書きましたが、韓国でARTASが故障して患者さんとトラブルになり、それ以来、評判を落としているようです。

 当院でもARTASで植毛して「あまり生えが良くないのですが、どうにかならないでしょうか?」という患者さんがずいぶんいらっしゃいます。結果の悪さはARTASというよりも担当医師の技術レベルによるのでしょうが、ARTAS自体の欠点はなんといってもパンチの口径の大きさでしょう。FUEで使われるパンチの口径は通常0.9~1.0㎜ですが、ARTASのそれはそれよりずっと大きく1.2mmと聞いていますのが、それではどうしてもドナー部の点状の傷跡が目立ちやすくなるという問題があります。

・     3月29日にNHK Eテレの「ろんぶ〜ん」という番組で、私が英訳した、日本人の生毛植毛のパイオニアである奥田庄二先生の論文が紹介されました。 

植毛を戦前の1939年に世界で初めて報告した奥田先生のことを日本の植毛医はほとんど知りませんし、関心もない様子にがっかりでしたが、NHKが取り上げてくれてとてもハッピーです。ただ放映当日にバンコクに出発したので、残念ながら番組を見損ねてしまいました。

 

次回は5月12~16日に中国の杭州で開催される「中国毛髪外科学会」に参加します。例の杭州の女医(AAHRSの理事)から、口演とオペのデモを依頼されたのです。今はその原稿を用意している真最中です。

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