アメリカン・スナイパー

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●American Sniper(2014・アメリカ)
監督:クリント・イーストウッド
原作:クリス・カイル「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」
脚本:ジェイソン・ホール





・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」の主人公の老人は
自分が軍隊に所属し、叙勲も受けたアメリカ人であることを誇り、
玄関に星条旗を掲げることを習慣としている人物だった。



祖国を思い、祖国を守る、そして信じること。
…愛国心、
「アメリカン・スナイパー」という作品が掘り下げるひとつのテーマである。



始めの方のシーンで登場する、
この世にいるのは“羊”と“狼”と“番犬”という喩え話で、
作品が描くのは愛国心を持つ“番犬”の生き様である。



実在したネイビーシールズ所属の
“伝説のスナイパー”と呼ばれた主人公クリス・カイルは、
祖国に戻れば心やさしきアメリカ人として家族と国に愛情を注ぎ、
ひとたび戦場へと赴けば、敵国に憎悪をむき出しにして引金を弾く。



テキサスで荒馬に乗り、喧嘩に明け暮れていたような
武骨な男が、国を守るために、ひいては愛する家族を守るために
射撃手として軍隊入りを志願する。



イーストウッド監督は、一切の誇張がない冷静な視点で、
しかも容赦なく
一人のディザイアー兵士の心の奥で入り乱れる光と闇をあぶりだす。



結果、社会問題化している戦争後遺症の辛苦にもフォーカスする。



しかし、映画のど真ん中で展開するのは、
記憶に新しい9・11テロに端を発する
息苦しい緊張感に包まれたイラク戦争の市街戦である。



近代戦争でありながら、地を這うようなコマンドが課せられた
特殊歩兵部隊にとっては、兵器は進化すれども
ユニットで任務を遂行するアナログ戦を強いられる。



そして何よりも民間人を巻き込みながらの局地戦は衝撃を生む。
女、子供は庇護されるという古風なルールはここにはない。




製作にも関わった主演のブラッドリー・クーパーの、
ガッツリ体重を増やして役になり切った演技が高く評価されている。



実在の人物を、見かけから忠実に再現しているだけではなく、
一見粗野だが、その実、心やさしき正義漢を
どこまでもナチュラルに徹して創り上げた存在感が素晴らしい。
無駄がない質の高い演技である。



高射程ライフルのスコープを覗き、引金に手をかけた寡黙な姿が
目に焼きつく。



この作品、後々気付くのだが、ほぼ音楽は流れない。
情緒を排したクールな作風であり、
銃弾や爆撃の音響に徹底して比重がおかれている。
映画館だと、爆音効果は凄まじい。



ただ、音楽が全く無いわけではなく
エンドクレジットを見ると、
使用曲としてエンニオ・モリコーネの名前も出るし、
主人公の妻“タヤ”のテーマを
イーストウッド監督自らが作曲しているのもわかる。
さりげなくインサートされているようだ。



そして、イーストウッド監督は、
作品の中に登場するアイテムの使い方が上手い。



描かれているすべてが近年の出来事であり、
ここではその象徴として携帯電話を巧みに使っている。



狙撃の判断を受けるべくインカムで司令塔と連絡を取り合い、
最前線において携帯電話で遥かアメリカにいる妻と交信し、
そこにはまったく距離感が無い。



更には、1000m以上遠方の敵を撃ち抜ける高性能狙撃銃の
恐るべき精度にも、距離感は無い。



正に、すべてが高速高機能であることを良しとして構築されてきた
今の時代そのものである。



されど、
人と人との心の距離はそうはいかない。

「アメリカン・スナイパー」は
そんな距離感を丁寧に描いた秀作である。




これは今年必見の1本として推奨しておきたい。










★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。


























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●The Judge(2014・アメリカ)
監督・原案:デヴィッド・ドブキン
脚本:ニック・シェンク ビル・ドゥビューク
音楽:♪トーマス・ニューマン





・人が人を救う…。
人が人を裁く…。
人が人を許す…。



それは、他人の時もあれば、
仲間同士、恋人同士、夫と妻の時もある。

友人の時もあれば、家族、親、兄弟の時もある。

結果は様々、答えが出ないこともある。



映画「ジャッジ」は、
そこに答えを出そうとする人たちのドラマである。



母親の死を知らされて
故郷のインディアナ州の田舎へと帰った
シカゴのエリート弁護士(ロバート・ダウニー・Jr)は、
自動車整備士の兄(ヴィンセント・ドノフリオ)、
カメラ狂で知的障害を持つ弟(ジェレミー・ストロング)と
再会する。



僕もこの主人公と同じく男3人兄弟の次男で、
ひとり異郷の東京で身を固め、
兄と弟は故郷にいる。
母が先に逝き、この画像と全く同じ状況になった。



同じ境遇で、他人事とは思えない設定に
あっさり気持ちが入ってしまったのだ。



兄弟というものは
空白の時間があっても関係なく、呼吸は昔のまんま
会って僅かな時間でピタリと合ってしまうものだ。



されど、自分がある程度の年齢になり、
会うたびに老けゆく親となると、何か呼吸が違ってくる…。



主人公は
絶縁していた父親(ロバート・デュバル)とも
20年ぶりに顔を合わせる。



地方の判事という法律の要職につく父親、
ある日突然この父親が殺人の容疑者になり、
兄弟の間に緊張感が走るところから、
解答なきグレイゾーンを行き来する法廷劇が始まる。



面白いのは
田舎町特有の社会の狭さと他人との愛憎や遺恨が
殺人事件と密接に絡んでいること。



最近では、実話もので
アーカンソーの田舎町の猟奇殺人を扱った
「デビルズ・ノット」がこのシチュエーションで、



同じく実話ベースのローカルクライムものとしては、
KKKによる公民権運動家殺人事件を追うFBI捜査官の
活躍を描く「ミシシッピー・バーニング」があった。



このスタイルを特有のブラックワールドで揶揄してみせたのが
デヴィッド・リンチの名品「ツインピークス」で、
ローカルクライム映画のひとつのルーツ的作品ともなっている。



舞台が小さな町というユニットになると、
ややこしい人間関係が必ずや登場するが、
ここで紐解かれてゆくのは、
事件の解明以上に、親子の間合いみたいなものである。



監督デヴィッド・ドブキンは、
堅物の父親と3人の息子との関わり合い方に比重を置いている。



時として、そこまで丁寧に見せずとも…という
えげつない描写を挟み込むセンスは微妙に感じるが、



父と息子、兄弟同士の持つ血のつながりあればこその
気遣い、相手をいたわる気持ちの部分を
それにもまして丁寧に見せる。



大リーガーへの道を断念して、町工場のオヤジに収まっている
長男役のドノフリオと、
断念のきっかけを作った次男ダウニー・Jrが
チラッと見せる“想い”を伝えるシーンは、あえて言葉にせず、
涙を誘う。



80歳を超えたロバート・デュバルの演技の質量の充実は、
ここでも一分の隙も無く、すべてを食い尽くす。
あらためて強靭な俳優力を思い知らされる。







★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。




















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★年明け早々から
あれこれと出回りが多く
なかなか
ブログタイムを楽しめておりませんが、
仕事も程々にしなきゃイカンですネドクロ




…そんなわけで、

この世には、誰しも

自分にとっての
「おもしろい映画」と
自分にとっての
「おもしろくない映画」しか存在しません。



映画の作り手の方には、
誠に恐縮この上ないと承知のうえで、
年度末恒例、
2014年の洋画MYベストテンをチョイスしました。



…毎度おなじみの切り口上ではありますが、
2014年の節目として
美味なる特選料理を選ばせていただきました。



早いもので、
こちらのブログに寄せていただきまして
もう5年ほど経つんですネ。



パイルの記事はまったく進化しておりませんが、
ここ5年で映画はずいぶんと進化しておりまして
ただ進化し過ぎた分、
何か肝心なものを置き忘れてきたようにも思えますネ。



2014年の洋画は、
ひと言で申してしまいますれば
此方の期待値が高過ぎたせいもありますが、
意外と小粒、中粒くらいのものがズラリと並んで
核になるものが乏しい1年だったと思います。



もちろん見逃しも多々ありますが、
ワタクシめの公開作のレビューが、
ガクンと落ちましたのは、



陽性のエボラ、、、じゃなくて、
慢性のズボラに加えて
あえて取り上げるに足らずという
勝手な思いによるものです。



ご存知の通り不埒な野郎なんです、
このパイルという男。ドクロ

おかげで、良きにつけ悪しきにつけ、
かつて取り上げていなかった秀作を次々と
記事に出来た年でもありました。



エクスキューズが長くなりましたが、

果たしてよかったのかわるかったのか?
そんな年度決算でございます。






★BEST10 OF THE 2014



僕が全ての作品に付けている★マークによる採点は、
作品単体での完成度やストーリー密度、キャストに対する採点です。
順位とは関係ありませんので念のため。
★が多ければ多いほど上位という意味ではありません。





①ピオ司祭



★★★★

■Padre Pio(2000・イタリア) 
監督:カルロ・カルレイ
キャスト:セルジオ・カステリット ユルゲン・プロホノフ



『イタリア映画の豊穣の深味を感じさせた堂々たる作品。

民衆に慕われ、教会上層部には睨まれた
不審なる霊能を兼備した僧侶の生涯の物語。



3時間を超えるTVのミニシリーズだと言うが、
たまたまWebで観る機会を得て、
その品質と語り口の巧緻に目が離せなくなった。



未公開も納得の、地味な作風ながらも
近年激減した見事なイタリアの文芸作であり、
その卓越した“やさしさ”の描き方に感涙。

今さらながらヨーロッパの宗教と伝導師について
思いを巡らした。



日本語の“丁寧語”の美しさを強調した
岩田拓靖氏による字幕が絶品』





②アデル、ブルーは熱い色



★★★★

■La vie d'Adèle – Chapitres 1 et 2(2013・フランス)
監督・脚本:アブデラティフ・ケシシュ
キャスト:アデル・エグザルコプロス レア・セドゥ
 


『フランス映画が久々にキラリと輝いた。

賛否分かれた作品らしいが、そんなことなどどうでもよい。
これは傑作と呼ぶべき無垢なる心を持つ一編。



いかにも脆い、若き女性同士の愛のアンバランス。
若き男女にもあてはまる愛情と性愛の混濁を、
鋭敏な感受性の中で描ききった監督の才気と映像感性、
そして主演女優2人の息遣いに魅せられた。




今年公開された作品群の中で、最も重要な妖麗なる1本であり、
忘れ得ぬ見事なビジュアルと
青々としたロマンスの妙に酔わされる。』




③ジャージー・ボーイズ



★★★★

■Jersey Boys(2014・アメリカ)
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:ジョン・ロイド・ヤング エリック・バーゲン 
     クリストファー・ウォーケン
 


『昨年公開のアメリカ映画の中では
最も心に残った1本。
感涙の噂に、しっかり構えて観ていたが、あっさり泣かされた。




自分の好みと気分が完全にフィットしたと言うべきか。

不良上がりのザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折、
ヒットミュージカルの映画化だからゴテゴテかと思いきや、
気負いの一切無いイーストウッド御大の余裕を感じさせる
力を抜いたシンプルな演出の心地よさと、
流れる音楽の心地よさに尽きる。



折しも、「ファントム・オブ・パラダイス」の
オールディーズを思わせるファーストシーンを
称賛した後に観たこともあって、妙に嬉しくなった。



何しろ、観終えた後、
すぐにもう一度観たくなったのはこの作品のみ!』





④グランド・ブダぺストホテル



★★★★


■The Grand Budapest Hotel
(2014・ドイツ=イギリス)
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:レイフ・ファインズ エイドリアン・ブロディ 
     F・マーリー・エイブラハム ウィレム・デフォー 
     ジュード・ロウ ハーヴェイ・カイテル レア・セドゥ


『この端麗な映像絵画の世界観は絶品!



ウェス・アンダーソン監督は、かつて
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で見せたアート感覚を
更に飛躍させている。
明らかに進化し続ける現代の不思議監督のひとり。



よくぞ集めたりの新旧オールスターキャストも圧巻だが、
俳優陣がしっかりこの映像絵画に馴染んで
グラフィック化しているところが見事。』








⑤アメリカン・ハッスル



★★★★

■American Hustle
(2014・アメリカ)
監督:デヴィッド・O・ラッセル
キャスト:クリスチャン・ベイル ブラッドリー・クーパー
     ジェニファー・ローレンス エイミー・アダムス


『ペテン師のふざけた事件を
極めてシリアスに見せつつ、
その実、男と女の関係にスポットを当てた大人のドラマ。



この監督のひねり技に気づかなければ
凡作とも受け取りかねない、匠の裏技の如き1本。

嘘か真実か?

人が心に思う事など、相手には永遠にわからない。
ペテン師たちの悪辣な所業の中で、
男と女の間の小さな嘘と歪んだ真実を
丁寧に浮かび上がらせていく監督の技量に感服。



大人なればこその思わぬ笑いを織り込むその呼吸の妙技、
70年代の時代の空気を丸ごと再現してみせたセンス。



俳優たちの、重量とツボを押さえた芝居も心地イイ!
特にジェニファー・ローレンスが極上の存在感♪』









⑥ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅



★★★★

■Nebraska
(2013・アメリカ)
監督:アレクサンダー・ペイン
キャスト:ブルース・ダーン ウィル・フォーテ ジューン・スキッブ



『まずこの映像の美麗さよ、素晴らし過ぎる。
名品「ストレイト・ストーリー」以来の
錆びれた老人のロードムービーに、家族の想いと絆が絡む。



他愛もなき地味なストーリーである。
しかしここで重要なのは
老人は何を失い、何を手に入れるかということ。
そのさりげなさがいい。



中心に“お金”を据えたところに思わぬ奥行きがあり、
そこに群がる賤しき人物群の描き方にニューシネマ風の
リアリティが漂う。



悪役を散々やり尽くし、
今や老いさらばえた枯れ木の風貌を得たブルース・ダーンが、
経年劣化を孤愁の味わいに変え、
ドライアップした老人の立ち姿を映像に深く刻み込んだ。



オスカーにもノミネートされた、
妻役のジューン・スキッブが絶品。』









⑦フュ―リー



★★★★


■FURY(2014・アメリカ=イギリス)
監督:デヴィッド・エアー
キャスト:ブラッド・ピット シャイア・ラブーフ 
     ローガン・ラーマン マイケル・ペーニャ




『戦車だ!圧倒的に戦車だ!
この映画は
子供の頃プラモデルで憧れた戦車そのものなのだ。



しかし、
そんな懐古の情に浸っている場合ではないくらい
激しいドラマを叩き付けてきて、疾風怒濤の展開に息を呑む。



戦争の艱難辛苦、悪意と憎悪を
露骨なまでに具体的に見せて、極限の臨場感を出した。
デヴィッド・エアー監督の挑発的なスタンスには恐れ入る。



今の時代に何故、第二次大戦?と尋ねるなかれ、
ここに再現される戦車隊の戦闘風景は
現代社会の会社組織同士が食い合う構図そのものでもある。



そこに人の心が必要かどうか?映画は観る者にそれを問う』





⑧猿の惑星:新世紀



★★★★

■Dawn of the Planet of the Apes(2014・アメリカ)
監督:マット・リーヴス
キャスト:アンディ・サーキス ジェイソン・クラーク ゲイリー・オールドマン 





『このシリーズの根幹にあるのは、
人間が先か?猿が先か?というシンプルなもの。



これを拡大解釈することで、
エキサイティングなドラマを創り上げる。
第1作が共存のきっかけとなる“トラスト”をテーマに
事の発端を見せて、
今作は対立を立体化して“WAR”をテーマにした。



次作のテーマは友好?へと進むのかどうかは不明だが、
旧シリーズの衝撃性とは
また趣向の異なる科学理念を中心にした完成度の高さが魅力。』






⑨ベイマックス




★★★★


■Big Hero 6(2013・アメリカ)
監督:ドン・ホール クリス・ウィリアムズ


『予告のイメージから癒し映画かと思いきや、
秀逸なヒーロー映画!
その心地よい裏切り感が、逆に気分を高揚させてくれた。



現代アニメーションのクオリティが高いのは当然ながら、
やはりドリーム感が尾を引くファンタジックな作品には
いくつになっても心魅かれるものだと
改めて思い知らされる。
衰えることなきディズニー魂、恐るべし!



ましてやロボット好きとしては、手もなく引かれる世界観。
わかりやす過ぎる見せ方は微妙ながらも、楽しめないわけがない。



俳優の海外進出をはじめ、
日本リスペクトの作品も近年増えてきたが、
元ネタは、日本を舞台にしたアメコミのバトルものらしい。

どこかドラえもんをベースにしたような設定が、大いに成功している』








⑩シャウト



★★★★


■THE SHOUT(1978・イギリス)
監督・脚本:イエジー・スコリモフスキー
キャスト:アラン・ベイツ ジョン・ハート スザンナ・ヨーク


『さて10本目は、パイルらしく
危険な作品を1本挙げておきたい。

最近では「エッセンシャル・キリング」が鮮烈だった
奇才スコリモフスキー監督作。



既にソフト化されてもいるようだが、
昨年ミニシアターで公開されて、客入りもイマイチだったのか
特に話題にもならずあっさり埋もれてしまった。
それも当然の不条理感あふれる挑発度数高めの作品。

しかし、これは観たら凄絶なインパクトを受けること必至!



叫び声で人を殺すことが出来るという暑苦しいオッサンが
ある夫婦の家に入り込んで、一宿一飯どころか
しっかりと居座り、えらそうな態度で振る舞い始め
挙句に妻を寝取る。



男のえげつない欲望と、隙を与えた際の女の身持ちの悪さ。
この鋭い現実直視こそがスコリモフスキー!



派手に絶叫するオッサンの姿に何を見ればよいのか…?
どこまでもパイルのために作られたようなややこしさ満載。

と言えば、映画の雰囲気はわかってもらえますでしょうか?』







■総括しておきますと、
『ホビット 決戦のゆくえ』は上位必至ながら、
これは同じくシリーズものの『猿の惑星:新世紀』との競合で、
僕の好みの「猿惑」を選んだのでやむなく割愛、



ディカプリオが演技派転身に躍起になっている中で
力量を見せつけた『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』も、
ウディ・アレン映画というよりも、
ケイト・ブランシェットの演技力必見映画『ブルー・ジャスミン』も
入れるかどうか迷った末に割愛。



どうしても、マニアックなミニシアター公開の「シャウト」を
入れておかないと、パイル色を出せない2014年の作品群と
なりそうなので、こんなチョイスになってしまった。

これはこれで、ま、いっか=というところ。




パイルD-3の2014年は
こんなん出ましたが、

みなさまの昨年の“MY”ベストテンは
いかがでしたでしょうか。


ヾ(@°▽°@)ノ








●毎度グダグダの拙文ごときに
ウレシきコメントを戴いております全ての皆さま、

名レビューを書かれていて
観遊の参考にさせていただいております全ての皆さま、

ここを覗いていただいております全ての皆さまに、
この場をお借り致しまして、
あらためまして心より御礼申し上げます。



昨年も、ブログおサボりが多かったのですが、
2014年も楽しい映画のお話、ありがとうございました。

姿の見えないバーチャルエリアといえども、
お酒を垂らした珈琲を手にしてのご近所づきあいは、
心安らぐ憩いのひと時であります。


2015年度も、またユルいお付き合いのほど
ヨロシクお願い申し上げます。
m(_ _ )m





■THE SHOUT叫び


















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謹賀新年




世界中の諸兄姉の皆々様、
羊がはばたく翔の年、
あけましておめでとうございます。



年末は、ボヤボヤしていたもので
お伺いも、コメ返も、
ろくに御挨拶も出来ぬまま、
いきなり年を飛び越してしまいました。
失礼の段、平にご容赦を。



本年も、懲りずにおつきあいのほどを
よろしくお願い申し上げます。

新年企画と致しまして、

本日のPART-Ⅰは、
新年さっそくの私事都合にて恐縮ではございますが、
敬愛なる獅子王師匠が、暮れに記していただいた
嬉しさあまりある記事への
個人的な御礼から始めさせていただきます。m(_ _ )m



PART-Ⅱは、後日になりますが、
毎年恒例の「洋画MYベストテン」を
只今準備致しております。映画






PART-Ⅰ「獅子王師匠への御礼」

⇒笑いの帝王・獅子王さんのブログ「むすめの右フック」はこちらしし座




拝復

頌春の候、獅子王師匠!
あけましてをめでたふござひます!

正月らしく、かしこまっちゃってますけど、
いつものコメント会話と同じレリゴーな調子でいきますネ♪(^■^)



もう、この重荷のようなブログ、師匠に捧げます!アハハ
捧げるどころか、タダであげます!
アッハッハ、こんなんイラんて=にひひハロウィンハロウィン

いやいや
暮れの記事で拙ブログをハメ殺し、じゃなくて
褒め殺ししていただきましてハロウィン
あ、褒めちぎっていただきまして、
マジありがとうございました。
心より御礼申し上げ奉りまする。m(_ _ )m



感謝しすぎて、大事に温存している盲腸が
ケイレンしちゃいましたヨ、アハハ~

とりあえずお礼にパイル財団から
3千万ほど振り込んでおきました。
少ないけどとっといてください。
あ、足りなかったら、スグ、オレオレ電話をください。ハロウィン
パイル財団はアホなので、いくらでも振り込みますヨ=ハロウィン

イヤまあ、しかし、パイルごときのブログに
おかいかぶりも甚だしいでございますヨ。

拙ブログは、
時代遅れの酒場というか、
客はいないのに絶対閉店しない
商店街の怪しい洋品店というか、



大方、その洋品店の店主は
道行く人々に、鈍い目の光を放っているというか、

あるいは
砂漠に不時着して飛ばなくなった飛行機というか、



悪魔祓いに行ったら、
家を間違えて追い返されたペリン神父というか、



その後、サメ料理店を経営して
ひともうけしたブロディ署長というか、





ま、このようにまわりくどいブログでございます。ハロウィン

師匠に引っ張られるようにここへきて
早、5年。

アハハ、もうマンネリの極致です。ぶーぶー



きなこをネってひねったお菓子は好きなんですが
マンをネるのはやったことないから(?)
もーどーにもこーにもハロウィン
って、自分が何をほざいているかも
わからないくらいですがにゃー
明らかに次が見えないまま走ってますネ。

いや、走るはおろか、最早歩いてもいないか、
這いつくばって記事を書いてますネ。かたつむり

貞子のラブラブアリゲーター日記状態、
アッハッハなんだそりゃカエル



なんだかんだ申しましても、
心の奥とか盲腸の奥では、アメブロに来て
素敵な日本各地の映画好きの皆さんと奇跡的に出会えて
その一期一会に、本当に感謝しております。



リアルな映画友とのリーグ戦とはまた違った
バーチャルな交流戦感覚もわるくないですネ。





それもこれもひとえに、
獅子王師匠の神なるお導きあればこそ。
泣けてきますヨ



そんなわけで、
また頼みもしないのに年も明けやがったので、
つきましては、2015年もよろしくお願い申し上げます。


敬具


パイルD-3

























パピヨン












・ジェリー・ゴールドスミスの名曲のひとつに
「パピヨン」がある。
これは格別にイイ曲だ!



この映画音楽の名手は、いかにも映画的で
作品のイメージと品質にこだわったスコアを生み続けた。
ことドラマの情緒を掴み出すことにかけては、
天才的な才能を見せた。



「パットン大戦車軍団」の
フランクリン・J・シャフナー監督には
絶大な信頼を寄せられていて、
「パットン~」に続き、「パピヨン」でも御指名を受けた。



「パピヨン」は、
そもそも犯罪者が刑務所に入れられて、
そこから脱走しようという
現実的には言語道断な話なのだが、
映画の世界では、
これが英雄譚として光り輝くのだからおもしろい。



ここには、
スティーヴ・マックィーンとダスティン・ホフマンの
揺るぎない演技によるアウトローの生命力賛歌が
深い友情劇として刻み込まれている。




■Don Hanmer as “Butterfly trader”




●PAPILLON(1973・アメリカ=フランス)
監督:フランクリン・J・シャフナー
原作:アンリ・シャリエール
脚本:ドルトン・トランボ ロレンゾ・センブルJr
音楽:ジェリー・ゴールドスミス♪







・「くたばるもんか!」



そうなのだ。
そうそう簡単にくたばっちゃならない
人間のギリギリの生命力が、こっぴどい環境を跳ね返し、
どこまで耐えられるものかを見せる映画である。



それゆえ
独房に何年も放りこまれた主人公パピヨン(マックィーン)の
腹奥で燃え立つこの執念の一語が突き刺さって来る。



殺人容疑で終身刑となり、14年間に8回も脱走を試みた
パピヨンという男も大概異常な人物だが、



この映画のもうひとつの主役は、拷問まがいの重労働を課し、
人権を喪失させてしまう南米フランス領ギアナの刑務所。



複雑な樹海に囲まれたジャングルにはマラリアが蔓延し、
いかにも湿度の高そうな環境は、正に最悪度数150%。



それに加えて、
囚人に与えられる食事のまずそうなことったらない。
これが我が身でなくてよかったと思えるくらいあれもこれも酷い。



見せしめに使われるフランス特有のギロチン台が
刑務所のど真ん中にデンと設置されている。
これもいやらしさと忌々しき威嚇のシンボルとして、
囚人たちの背筋に冷たいものを走らせる。


■Don Gordon


■Woodrow Parfrey

冒頭で、
フランス本土の刑務所からギアナ送りにされる囚人たちに
所長が言い放つ。
「祖国フランスはお前らを見捨てた!フランスを忘れよ!」



国を捨て、自分を捨てて、
異郷の果てでくたばれと宣言されたようなものだ。



罪状はどうであれ、罪を糾弾し、
生殺し状態で虫けら扱いにして追い込む時の人間の冷淡さは、
実は、
ルールの中でしか生きられない人間の矮小さを感じさせる。



シャフナー監督は、そんな人にして人に非ずの行為の中で、
ギアナ行きの船で知り合った、偽札作りの名人ルイ・ドガ
(ダスティン・ホフマン)とパピヨンの仁義を貫く友情を
殊更丁寧に描き込んでいる。



男の友情にも、薄っぺらいのと分厚いのがあるのだ。
パピヨンとドガの男同士の友情は、
薄っぺらそうに見えて、実は分厚い。



何度見ても、悪魔島の断崖の上で年老いたパピヨンとドガが
抱擁するシーンには胸が熱くなり、グラリとくる…。



胸に蝶々のタトゥーを刻んでいることから
パピヨンと呼ばれた男、
原作者アンリ・シャリエールの自伝の映画化である。






果たして物語のどこまでが、真実かは知れないが、
他人には到底想像すらつかないような生死の極限を
何度も味わった男であることは間違いない。



あらゆる囚人や、闇でうごめく人物たちの存在感、
そして展開する密度の濃いドラマには、
飽食ボケした脳天直撃の、ズシンと響く重量がある。






★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。