去った二月、このブログで記事 にした

Into The Wild がとうとう来月、日本でも封切られるそうです。

日本での映画化予告編


映画、ほんっとに良かったので、興味ある方はぜひ。

私はここでネタばらしをしてますが、

ぜんぜん関係なく楽しめると思いますので。


本日は以下に、さらにネタばらしを続行します♪

今度は、著作のほう。

以前の記事 を書いたときに、衝動買いした原作「荒野へ」(日本語版)を

今頃になってやっと、読み終わったのであります。(笑)


ビジュアルに訴える映画と、活字になっている本とでは

やっぱり別物だなぁ。

どちらが良いとか悪いとかではないので、やっぱ両方見てよかった。

そして例によって映画が先ってのが良かった。


映画だと、時間とかで限られた範囲のことしか描けないから

主人公中心で終わってしまうけれど、原作は時間的にも

空間的にももっともっと沢山の詳細が、しっかりした調査の元に書かれてあって、

何倍も感慨深かった。


まず、映画では描かれてなかったか、私が見落としたか、わからないけど。

ひとつ。

彼はアラスカでの冒険生活が二ヶ月経った頃に、満足を得て、そして

人が住む町へ帰ろうとしたけれど、氾濫した川にはばまれてそれを断念したらしい。

主人公の若者は、「腐った人間社会に、永遠にサヨナラする」為に荒野に入っていった、と思わせるそれまでの流れだけれど。

もちろん、始めはそのつもりだったかも。

でも、たった二ヶ月だけれどその荒野での狩猟採取の生活で、彼は何か納得できるものを掴んだ、そして元の社会に帰ろうとしたらしいのだ。

それが、自然の猛威や彼のちょっとした判断ミスなどが重なり、人里へ戻ることができず、その後数週間が死への道となってしまったという。


彼の憎悪した家族の詳細とその後など、

詳しいことは映画ではわからなかった。


映画では主人公を際立たせなくてはいけないし、

彼が憎悪するご両親はどうしても、息子を型にはめようとする、

嫌な人たちのような印象だけで見終わってしまった。

でも原作はまったく違って、ご両親への同情無しには読めなかった。

そらそうだ、ひどい親なんかじゃない。

息子に大きな期待をかけすぎるって・・・どこの両親だってそんなもんしょ。

なのに、なのに息子の両親に対する反発が、あまりに根深い・・・


大学を優秀な成績で卒業するまでずっと、

彼は両親への憎悪を一切隠し通して、

卒業して一気に爆発させる(両親の前から消えてその後消息を絶つ)ということを

計画的にやらかしたというのだから。(きょうだいの中で最も親しかった妹の証言)

反抗もせずに、良い子の振りをして、ある日突然

「アンタらなんか、僕は始めから信用していない」みたいなことをやったのだから、

親として、こんなショッキングなことはないでしょう。

ご両親が、特にお父さんのほうはエリートで抑圧的な性格もあるが、何より

離婚暦と不倫暦があるために、息子にすごく憎まれることになってしまったらしい。

この点、ものすごく、同情してしまった。(汗)


親の心子知らず、と日本では言うけど、

世界中、きっとどこでもそうなんだろうな。若いうちって、誰でもそうやって

勝手に自分だけ暴走しちゃうんだよね。私もそうだったもの。


でも、彼は死ぬちょっと前に両親を許しているんじゃないかな。

著者が日記の最後(と思われる)言葉や彼が自分撮りしたフィルムの最後の写真から、そういう憶測をしている。

きっとそうだと思う。



もうひとつ、原作にしかない印象的なことがある。

それは、若者と数週間過ごして親しくなって、

「自分の養子になってくれないか」と申し出た退役軍人の老人のこと。


たくさん会話した中の大部分が

23歳の若者が80歳の老人への「熱い説教」だったという。

自分の祖父よりも年上であろう人に

「財産などは売り払い、今の家を出て、放浪生活をするように」

盛んにけしかけたと!

なんてオモローな奴!(私はこの部分読んでほんとに爆笑した)


で、その後の話がものすごいの。

この老人は、養子になってほしいと彼に申し出るくらいだから、

もちろん彼が気に入って、とても親しくなったのは映画でもわかったけれど、

原作にしか書いていなかったのは。

養子になってほしいという願いを苦笑いで受け流し、

「アラスカから帰ってから話の続きを」と出て行った若者の帰りを、

この老人は、テント暮らしで待っていたというのだ。

家財道具のほとんどを倉庫に預けて、彼の帰りを待つためだから

放浪こそしなかったけれど、

彼の説得の通りの生活で待っていた、八ヶ月間も!


私も読んでいて涙が出そうになった。

八ヶ月ってのは・・・そう、

その若者がアラスカで亡くなったというのを

老人が知る日までの、

八ヶ月。