「勝てるかもしれない。」
 そんな思いでレース観戦が出来るのなら、今年の凱旋門賞はもっとわくわくした気分で観ることができるのに。
 実際はどうかというと、「普通の状態で出走し、普通にレースが出来れば勝てる。」
 そういった思いが充満しているためとてもではないが冷静なレース観戦など不可能だ。


 野球に例えるなら、中日ドラゴンズ相手に7回裏を終えて5対0で阪神タイガースがリードしていたとしても、たった1点を奪われただけでも、その後にもし満塁ホームランを打たれてしまえば、たちまち同点にされてしまうじゃないかという気持ちでタイガースを応援しているようなものだ。
 他のチームが試合をしているのなら、楽勝ペースじゃないかと思えるケースであっても思い入れがある場合はどうしてもそういう気分になってしまう。


 昔岡部ジョッキーが「ルドルフは最高の状態でなくてもよい、普通の状態でさえあれば勝てる」、そう語った言葉の重みが今になってやっと深く理解することが出来るようになった気がする。
 そう考えれば勝てると確信しつつ応援するレース観戦というのは、至福の悦びであるのかもしれない。


 武豊ジョッキーに今さら素人がアドバイスするのもおこがましいが、ハリケーンランにしろシロッコにしろ、並ぶとしぶとい。だからディープインパクトには外から一気に抜き去るディープらしいレースを期待したい。


 最後に、「凱旋門賞」で日本生産馬が優勝するところを、私に競馬のロマンについて教えてくださった詩人志摩直人氏が見るこなく亡くなられたことが残念だ。


 凱旋門賞は遠かった・・・どうか全馬無事にレースを終えますように。

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