人事労務から見る法務戦略

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【法務系 Advent Calendar 2016 - Adventar】 エントリー記事です。

@msut1076さんからバトンを受けました。

 

とある件で記者会見とかしちゃったりしていたので、考えていたテーマもあったのですが、今年はキャリア的な話題が多いので、ちょっと関連した労務系の話題に路線変更します。法務パーソンのプレゼンスを高めるために何をするべきか、という観点で考えた場合、労務系の仕事をすることが重要なのではないかという仮説を持つようになり、今回、検証して見たいと思います。インハウス経験者の私も労務関係の案件にはあまり携わったことはないのですが、経験のあるなしを問わず、法務パーソンとしては知っておくべき事項も多いのではと思っています。

 

人事部と法務部の関係って非常にセンシティブな気がしていて、得てして法務部の方が下に見られている会社の方が多いのではないかと思っています(完全な私見です)。

それは会社の構造を根本的に考えれば当然なはずなのです。

 

会社(株式会社)組織はピラミッド構造になっており、社長を筆頭に、部下を管理統制する体制が、執行役員、本部長、部長、、、平社員まで裾野が広がっているような状態で構成されています。

他方、その社長も(オーナー企業を除いては)取締役含めて、株主には統制される関係にあります。資本というカネを預かって、それを元手に事業を行う。成功すれば株主に配当をし、失敗すれば経営責任を問われ解任される、というのが会社のおおまかな構成です。

 

つまり、社長はどのような権限をもっているかといえば、

 

「ヒト」と「カネ」を掌握する権限を有している。

 

といえます。

 

「カネ」については、事業を進めていくにあたって予算を組むことは、必要不可欠な要素であるため、経営の相談の時には当然付きものですし、売上や経費といった部分で見えやすいと思います。

法務部も予算を見越してリスクについて検討し、アドバイスをすることができるので、(間接的にであっても)社長の判断に影響を与えることは可能です。というか法務部としては当然の業務といえます。

 

他方、「ヒト」については、法務部というより人事部マターなのが通常であると思われるので、法務部が関与する余地はあまり大きくないのではないかと思っています。

 

特に人事部=社長である場合は、社長と対話することで自分の存在価値を上げることができますが、人事部が独立して存在する場合、ある程度の裁量が人事部に移管されることになってしまいます。

 

そうすると、人事部は社長から命を受けて「ヒト」を管理することになります。この「ヒト」の中には法務部も当然に入ってきます。そのため、法務部は人事部に逆らうと、昇進に影響したりと、社内で不利な状況に陥れられるリスクが存在していることになります。そのような状況では人事部より強く出ることは難しいのではないでしょうか。労働法規があるといっても、社内では就業規則や暗黙の評価ルール等があり、やめる前提で争うのでない限り、法律を盾に主張することがあまり効果的ではないことはお分かりだと思います。

 

人事評価に法務部が関与することはないと思いますし、懲戒委員会にも法務部員が関与していることは少ないように思います。

 

 

これは法務部だけじゃなく、インハウスローヤーであっても同じで、弁護士だからといって社員である以上は会社の人事制度に服することになります。

 

採用する時、異動する時、昇進する時、降格する時、懲戒する時、、、

「ヒト」を扱う場面・案件は、会社の動向に関係なく日々発生しています。最近の労働法に関する裁判所の考え方は、結果よりもプロセスを重視する傾向になってきているため、「就業規則違反→懲戒解雇」といった形式的な当てはめでは対処しきれないケースが増えてきています。

このような労務に関連する法律問題に法務部が関与することで事前に予防できるとか、円滑な解決ができるといった実例を示すことによって、人事部からの信頼度が上がります。

人事部からの評価が上がるということは、「ヒト」を掌握している最終権限者たる社長に評価にも影響するはずです。人事部から相談に来てくれる会社なら普段から信頼されている証左なのだと思いますが、そうではない会社の場合(会社によっては人事部が独自に外部の弁護士に依頼をしているケースもあるそうです)、法務部が積極的に人事部に足を運び、「ヒト」を巡る部署で何が起こっているのか、困っていることはないのか、役に立てることはないのか、といった地道な営業活動をすることが必要なのではないかと考えています。

 

 

やや長くなりましたが、何が言いたいかというと、要するに、

 

「日ごろから、人事部と仲良くしましょう」

 

ということです。

 

 

インハウス含む法務パーソンは(取締役にならない限り)自分の地位もあるので、社内のプレゼンスを高めるために必要であることはもちろんのこと、アウトサイドカウンセル(外部弁護士)であっても、法務部とだけお付き合いするのではなく、人事部ともお付き合いをして何かあれば相談してもらえる体制を、法務部員と共に構築していくのが会社にとっても、外部の弁護士にとってもメリットになるのではないでしょうか。

 

という、私の来年の課題を披露したところで、@hrgr_Ktaさんにバトンを渡したいと思います。

 

 

 

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