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某刀を鍛えるゲームにてレア太刀が全く出てこず途方に暮れてる(て)です。ほたる君は2人もいるのに。。。





本日のためし読みはシリーズ最終巻のこちら





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編集(て)


『紫陽花茶房へようこそ
~夜のお茶会への招待状~』
(かたやま和華 イラスト/田倉トヲル)



(あらすじ)銀座の路地裏の洋館で、ひっそりと営業する紫陽花茶房では、英国伯爵の血を引く青い瞳の店主・紫音と、給仕のハイカラ女学生の月子が、帝都一おいしい紅茶でおもてなし。今宵、紫音の淹れる“魔法茶”で、夢の世界を訪れるのは……? 不思議な三人の老女に誘われた、紫音と月子の出会い。月子の忘れられた初恋。そして……? 大正喫茶ロマンス、ついに完結!



 いかにも異国人が好みそうな、寄せ木細工のゴミ箱だ。中は紙くずでいっぱいで、その一番上には赤い封蝋のされた封書が手付かずのまま捨てられてあった。

「これって……」

 ゴミ箱を漁るような真似は、はしたない。ましてや、ゴミとは言えど他人の家のものには変わりない。店主のプライベートに踏みこむことになる。

 そうは思いつつも、月子は封書にタイピングされた英字が気になってならなかった。どこから届いたものなのかを考えたら、見なかったことにはできなくて。

 後ろめたい気持ちを持て余しながら、レースのかかる南向きの窓から庭をうかがうと、青い瞳の店主は昼下がりの花壇に水撒きをしているところだった。足もとには北斎もいて、撒いた水が作る虹を興味深そうに見上げているのが見えた。

 この分なら、紫音さんはすぐには二階まで上がって来そうにはない。

「ちょっとだけ……、ごめんなさい」

 月子は庭に向かって頭を下げてから、そっと封書を拾い上げた。

 手触りからして違う高価な紙質は、それがただの書簡ではないことを雄弁に物語っているようだった。

「えっと、ブリテッシュ、エン……? エンバシィ……?」

『British Embassy』とタイピングされた英字を指でなぞりながら、月子はたどたどしく読みあげた。『British』が英国を表すのはわかるとして、『Embassy』の意味がわからない。

 本棚に英和辞書を見つけたので調べてみたところ、

「『大使館』……。やっぱり、これって英国大使館からの封書なんだわ」

 紫音が大使館からのパーティーの誘いを断り続けていることは、アルフレッドから聞いて月子も知っていた。

「もしかしたら、これもパーティーの招待状だったり?」

 封も切らずに捨ててしまって大丈夫なのかしら、と月子は他人事ながら気を揉んだ。

 しれっと紫陽花茶房のカウンターの上にでも置いておけば、ちゃんと中を確認してくれるかもしれない。そう思った月子が本と封書を手に書斎を出ようとしたところで、開け放してあった扉の向こうからひょいと顔をのぞかせる人物がいた。

 青い瞳の店主、紫音・イシャーウッドだ。

「月子、いい本見つかった?」
「えっ、あっ」

 とっさに、月子は手にしていた本と封書を後ろ手に隠した。

「ん? 何、その態度?」
「い、いえ、別に」
「今、何か隠したでしょ?」
「そ、そんなことは」

 愛想笑いを浮かべる月子を、紫音が扉に寄りかかりながら青い瞳でじっと見つめる。

 月子は、この美しい青に弱い。浄玻璃の鏡を前にしているようで、何もかもを見透かされている気分になってくる。

「……えっと、こんなものを見つけました」

 根負けして、月子は正直に大使館から拾った封書を差し出した。

「あぁ、なんだ、大使館からの手紙か」
「パーティーのお誘いなんじゃないんですか?」
「オレは行かないって、アルに返事してあるから問題ないよ」

 紫音は月子から封書を取り上げると、そのまま、いともあっさり寄せ木細工のゴミ箱に投げ入れてしまった。

「あの、紫音さん」
「なんだい、月子」
「アルフレッドさん、近いうちにインドに赴任になるんですよね? 日本に滞在しているうちに、一度くらい大使館の催しに顔を出してみてはどうですか?」
「大使館に集まるような顔ぶれに用はないよ」
「でも、大使館のみなさんは、紫音さんに用があるから毎回お誘いがあるんですよね?」

 一瞬、紫音の表情が曇った。

 ように月子には見えたけれど、すぐにいつものように鼻の頭にシワを寄せて笑い飛ばす。

「大使館が魔女の孫なんかに用があるわけないじゃないか。ほら、賑やかしって言うか、人数合わせって言うか、そういうので呼ばれているだけだって」

 そうなのかしら?

 月子には難しいことはよくわからないけれど、大使館がたかが茶房の店主にこれだけ執着するということは、そこに何か大事な理由があるような気がした。

 同時に、紫音がここまで頑なにパーティーを拒むのにも、何か大切な理由があるわけで。
「あっ、わかりました」
「うん?」
「紫音さん、パーティーに着て行くような服がないんですね? そうですよね、そんなヨレヨレのシャツじゃ恥ずかしいですものね」
「オレだって、羽織袴くらい持ってます」
「なんで英国人の紫音さんの正装が羽織袴なんですか、七五三じゃないんですからね。わたしのお父さまがお世話になっている、洋装のお仕立て屋さんをご紹介しましょうか?」
「月子のお父さん?」

 紫音は少し考える顔をしてみせてから、なぜだか急に声をひそめた。

「ねぇ、月子のお父さんって怖い? 〝サムライ〟?」
「え? いえ、怖いことはありませんよ。ウチは武家でもありませんし」

 むしろ、お母さまが怒ったときの方が頭に角が生えていそうで怖いかもしれません……。

「それなら、よかった。『お父さん』って呼んだだけで、いきなり〝ブドウ〟打ちされたらびっくりだもんね」

「今の時代、〝無礼〟打ちなんてしたら、おまわりさんに捕まると思いますけど」

 物騒な言葉のはずなのに、紫音さんはなんでもおいしそうな日本語にしちゃうんだから。

「よし、わかった」
「はい?」
「月子がオレのパートナーとして一緒に出席してくれるなら、アルの顔を立てて一度だけパーティーに顔を出してもいい」
「えっ、わたしが紫音さんのパートナーですか!?」



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