ここにきて、「来年度以降の電気代はどうなりますか?」とお客様に聞かれることが増えてきました。例えばスーパーマーケットでは、来年の2月末が決算で、今、まさに来期の電気代を中心したエネルギー経費をいくらで計上(予算化)しておくか、まさにその作業の真最中ですから、当たり前と言えば、当り前の質問です。


こうした問いかけに対しては、「化石燃料は有限の資源ですからその価格は下がりません。加えて、電力会社各社の地球温暖化防止関連対策経費(「太陽光サーチャージ」、『環境税』等)がかさみ、これらが全て電気料金にストレートに反映されるので、電気代が下がる要素はひとつもありませんし、まず下がることはありません。」「ですので、数%は上がると見越して予算化しておいた方がいいのではないですか。」こう応えてきました。


こうした中、先週新聞各社の記事から、『環境税』の全貌が見えてきました。
そしてこの税が、誰から、どのように徴収されるかもわかってきました。今回、【Mr.環境経営】の視点で解説して見ます。


今までの流れでは、「環境税」の最大のターゲットは電力会社でした。よって、環境税の中身が決まると、電力会社の負担額が決まり、電力会社はそのことでの原価のアップ分を計算し(原価の総洗い)、電気事業法19条1項に基づく認可申請により、電気料金に転嫁させる。こうなるところでした。


ところが、今回の記事によると、来年度税制改正で石油石炭税の増税(『環境税』)がほぼ確実になり、さらに、この『環境税』は、『現・燃料費調整制度』(石油や石炭、天然ガスなどの原燃料価格の変動を電気・ガス料金に自動的に転化する制度)と同じように、いちいち、そのことによる総原価の変動状況を洗い出し、国に料金の値上げを認可申請することなく、いわゆる、『外税』として、電力会社の計算一本で、我々個人や、エネルギーを使って事業を運営している企業が一定額を負担することになります。


さらに、恐るべきことに、こうした電力会社が経営努力をしないで、そのまま我々に割り振る(負担を求め)ことを考えている、もしくは、既にその方向で検討されている(通常の民間事業では考えられません。まさに、公益法人です)ものは、今回の『環境税』の他に、


□再生可能エネルギーの買い取り制度の導入を契機として、

  買い取り費用を回収するための付加金(サーチャージ)

  ⇒『太陽光促進付加金』
電源開発促進税
消費税


と目白押しです。

どう考えても、石油石炭税(『環境税』)にしろ、太陽光促進付加金(サーチチャージ)にしろ、我々も消費者であり法人として電気を消費する立場ですので、電力会社が自らそのコスト負担を精緻に計算し、総原価を洗い出し、経営努力を重ねることなく、それらを、「外政的・固定的コスト」と位置付けて、「原・燃料調整費制度」と同様に簡易な料金転嫁制度を導入することは、その程度によっては我慢できても、それらに、さらには、電源開発促進税消費税を加えて負担を求めて来るとなると話は違って来ます。


ここまで来たら、現・燃料費調整制度石油石炭税(「環境税」)太陽光促進付加金電源開発促進税消費税を含めて、それらの関連性もきちんと整理した上で、電気料金(ガスも含む)全体の原価の総洗いによる、透明で本格的な料金改定を行うべきだと強く思います。


さもないと、このデフレの世の中で、このままでは数%にとどまらない、電気料金の大幅、かつ、継続的な値上げが遠くない将来に起こり得ます。そのことで、新規の電力事業者が再度沢山出て来て、「価格」とその「グリーン度」(排出されるCO2の少なさ)の両方において自由な競争が行われ、価格が最適化されていくのならいいのですが、それは今の日本では起こり得ないことです。


【Mr.環境経営】