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今年のブログは,ヌードの女性で読者の皆さんを惹き付けることからスタート。
フランスの週刊誌『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』は新年号の表紙で,1952年に撮影された作家シモーヌ・ド・ボーヴォワールのプライベートな未公開写真を使用して騒ぎを巻き起こした。
ブット元首相暗殺(写真上部右)を表紙にすることも出来ただろうけれど,あなたはもう何度となく見てきた炎上した車や血の海を話題にしたブログを読んだり,雑誌を買ったりするだろうか?
この写真の撮影から半世紀経っているが,シモーヌ・ド・ボーヴォワールのお尻や,ハイヒールを履いて身繕いしている姿を一度も見たことがなかったので,私はパリから日本へ帰る空港の売店で,道徳的ためらい(隙のない服を着,髪の毛をスカーフできっちり隠し,いつも人前に姿を見せていた誰かのヌード写真を,死後マスコミで公開する権利があるだろうか?)に,やっぱり好奇心が勝って雑誌を購入し,機内で読んだ。



中の記事にも小さな驚きが待っていた。
表紙の写真は手直しが入っていて,中の写真はオリジナルだったのだ。1952年のボーヴォワールはすでに44歳。お尻が表紙よりもたっぷりしていて滑らかでない。より現実に近く,光のコントラストがはっきりしている。ボーヴォワールは美しいけれど年相応で,それほど「グラマー」ではない。この写真を使ったら雑誌の売上にはあまり貢献しないだろう。



要するに,より「セクシー」に見せるために,表紙の写真は修整されたのだった。
政治的には「左」でどちらかといえば「インテリ」の有名情報誌『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』が,自社「製品」をより多く売るために広告の法則を取り入れたというわけだ。

同様に,去年は週刊誌『パリ・マッチ』が,バカンスでカヌーをしているサルコジ大統領の横腹のたるみ(フランス語では「愛の取っ手」と言う)を消し去った(ついでにもっと感じ良くするために日焼けも施した)。



「フォトダイエット」の時代に生きる私たち。私も2008年CMフェスティバルのチケット販売アップのために写真を修整しよう。
第一段階,髪の毛の白さと減少を隠す!






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Supersize Me!

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supersize

ベジタリアンの人間が、1か月間すべての食事をマクドナルドのメニューで摂っていたら、体はどうなるのか?監督みずからの肉体をもって体験する異色のドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』。そのモーガン・スパーロック監督の書き下ろしノンフィクションDON’T EAT THIS BOOK!(邦題:食べるな危険!)"が発売されましたが、映画の宣伝で各国を訪れていた彼は、日本に対して次のような感想を記しています。

supersize textclick the picture to enlarge


「日本では不思議なことが起こった──どのテレビ局もラジオ局も、僕にインタビューしようとしないのだ。全くなしだ。これは何かの偶然だろうか?違う、と僕は思う。僕が訪れたほとんど全ての国で、マクドナルドの代理人たちがメディアに迫った──スパーロックにインタビューをしたり映画の話題を伝えたりしたら、そうとうな金額の広告収入を失うことになるぞと(どうしてわかったかって?広告の担当者やジャーナリストたち自身が僕に教えてくれたからさ)。アメリカ以上に、日本は文化的に企業の支配に従順だ。そして日本のメディアは特に広告主に対して従属的だ。ハンバーガーを焼いてフライドポテトを売るだけの企業が、人々が見たり聞いたり読んだりするものに影響力をおよぼすことができる──日本での出来事も、そんなメディア操作の事例の長い長いリストに載る一例にすぎない(本当の力を持った企業は、いろいろなことがニュースにならないようにすることができるのだ。このことを考えてみるといいだろう!)。そして悲しいことに、日本はアメリカ式ファストフード食が健康的な伝統的食習慣を最も激しく破壊した国の一つなのだ。」
(『食べるな危険!』、角川書店、P.352)


話題の映画だったにもかかわらず、大手広告代理店の力によってメディアから閉め出しを食らったとなると、日本の民主主義にはクエスチョンマークを付けざるを得ません。

ところが、批判が大きくなるにつれて、マクドナルドも無関心ではいられなくなったようです。先日マクドナルドに行ったところ、トレイにこんなフライヤーを載せてコーヒーを出してくれました。

exercise

ダブルチーズのビッグマックとLサイズのフライドポテトを売っている店から、よりによって元気な体づくりのアドバイスを受けるとは。こんな偽善的な広告にだまされてはいけません! Exercise your mind!

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Mandom (suite) 追伸

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追伸

 聡君のおかげで、ギャツビーのCMが私のidisk上で閲覧可能になった。アドレスは以下の通り(ウィンドウズ・メディア・プレイヤー、1.8MB):

watch the GATSBY cm




 確かにCMには、シャンプーを使う日本人が1人、黒人が数人、そして一頭のチンパンジーが登場する。
 黒人に向けられた人種差別が長く続いている国では、こうしたテーマはタブーである。こうした事実を理解せずにCMを製作してしまった、日本の若手CMクリエーターの<国際感覚>の欠如には驚いてしまう。逆に、コマーシャルに出てくる日本の若者と<イエロー・モンキー>のテーマを、クリエーターの誰も関係づけようとしなかったことには、ホッとできる。なにせこのテーマは、第二次世界大戦終結まで、まさしく日本人差別の核心だったのだから(高村光太郎のいくつかの詩とアメリカによるプロパガンダで使われた図像を見てもらいたい)。幸いなことに、<イエロー・モンキー>はすっかり過去のものになった。
yellow monkey yellow monkey
American propaganda against Japan during the war

追記
 フランスでは、チョコレート飲料「バナニア」の黒人キャラクターが再登場して、怒りに満ちた多数の反応が巻き起こった(「バナニア」の歴史に興味をお持ちの方は、拙論をご覧下さい:

banania

go to BANANIA



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tsukuru to taberu



 日本では、抗議のせいでCMキャンペーンが中止になることは、めったにない。もっとも有名な事例は、1975年のインスタント・ラーメンのコマーシャルであろう。事実、CMで使われたキャッチ・コピー「わたし作る人、ぼく食べる人」は日本のフェミニストたちの怒りを買った。

tsukuru hitotaberu hito


 株式会社マンダムのプレスリリースによれば、つい最近、同社のコマーシャルが中止になった:
http://www.mandom.co.jp/release/2005/src/050609.html

click:

MANDOM NEWS RELEASE



 私はコマーシャルを見たわけではないので、<人種差別>の非難が的を射たものであるかどうか判断できない。6月14日付けの『朝日新聞』によれば、件のCMには黒人たちの<猿マネ>をする、チンパンジーが登場するそうだ。(写真はクリックすると拡大して見ることができます。)

Mandom asahi



 この小さな事件で、私の興味を引くのは、全面的に謝罪すると同時に、自社サイトからコマーシャルの痕跡のすべてを一掃させた、マンダム社によるものごとの運び方である。私も探してみたが無駄だった。「ペーパー洗顔モゲハ編」のキャンペーンについて、何も見つからなかった。

mandom



 正式に謝罪することは、当然のことであると同時に勇気の要ることだ。だが、まるで“何事もなかった”かのように“歴史を書き換える”のも当然のことだろうか?

P.S. このコマーシャルをご覧になった方は、ご意見をお聴かせ下さい。

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metro 1


パリのメトロ構内では、トップレスの美女の写真が、太陽が降り注ぐ楽園ヴァカンスをディスカウント価格で売り込んでいる…

metro 2


 近づくと、意地悪な落書きが見える。モデルのお尻からは大きな“おなら”が吹き出しているのだ…パリ交通公団によれば、これは破壊行為にほかならない。事実、公団はメトロのポスターを覆いつくす落書きをなんとか消そうと、莫大な時間を費やしている…落書きの犯人たちは、捕まるとこう主張している。我々は広告に侵された公共空間を取り戻そうとしているにすぎないのだ…

metro 3


ポスターにさらに近づくと、広告に反対するフェミニスト団体の“ステッカー”が貼られているのが分かる。
「女性は売買されるモノではない」

 とどまる所を知らない落書きの氾濫か、はたまたフェミストの闘争か。メトロを舞台に、パリ交通公団と反広告論者のあいだで、ちょっとしたゲリラ戦が始まっている。

インタラクティヴィティー(双方向からの対話)のなんと見事な事例!

(イメージを拡大するにはクリック!)

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