2週間に一度、たけしの『TVタックル』は「喫煙コーナー」で締めくくられる。それはまるで日本タバコ(JT)の覆面CMのようだ。

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 アメリカやヨーロッパからは大幅に遅れて、ようやく日本の法律もテレビでタバコCMを流すことを禁止した。以来、テレビCMは、“喫煙マナー”と非喫煙者の権利の尊重を訴えている。

 だが、たけしの「喫煙コーナー」はCMを規制する法律よりもずっと寛大だ。かつてのマルボロのCM顔負けのモンタージュを駆使し、番組の中でタバコのいい所を実地に披露しているのだから。それは以下のような点で顕著だ。

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1) 「喫煙コーナー」という看板が出ている。
2) 火のついたタバコが終始たけしの頭上に見える。
3) たとえたけし自身はタバコを吸わないにせよ、彼の相方“タレント”はしっかりタバコを吸いながらの登場である。タバコを片手のおしゃべりが生み出す快楽の例証にほかならない(これこそは、タバコ礼賛に使われる古くからのテーマで、フランスでは既に17世紀の劇作家モリエールの代表作『ドン・ジュアン』に登場している)。

DonJuan



 これがCMなら今の日本では禁止されるに違いない。私の脳裏にはあの古い諺が浮かんでくる。「火のない所に、煙はたたない…」

 細かいことだが、番組スポンサーにはミドリ安全が名を連ねている。この会社は、まさしく喫煙コーナーには不可欠な分煙機の製造会社であり、JTと手を携えてタバコの販売に努めている。

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Midori-Anzen: sell the table or promote the tobacco?

 どうやら、この「喫煙コーナー」は、やや地味ながらとても明白な “商品配置(product placement)”であるのは間違いないようだ。


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 日本では、抗議のせいでCMキャンペーンが中止になることは、めったにない。もっとも有名な事例は、1975年のインスタント・ラーメンのコマーシャルであろう。事実、CMで使われたキャッチ・コピー「わたし作る人、ぼく食べる人」は日本のフェミニストたちの怒りを買った。

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 株式会社マンダムのプレスリリースによれば、つい最近、同社のコマーシャルが中止になった:
http://www.mandom.co.jp/release/2005/src/050609.html

click:

MANDOM NEWS RELEASE



 私はコマーシャルを見たわけではないので、<人種差別>の非難が的を射たものであるかどうか判断できない。6月14日付けの『朝日新聞』によれば、件のCMには黒人たちの<猿マネ>をする、チンパンジーが登場するそうだ。(写真はクリックすると拡大して見ることができます。)

Mandom asahi



 この小さな事件で、私の興味を引くのは、全面的に謝罪すると同時に、自社サイトからコマーシャルの痕跡のすべてを一掃させた、マンダム社によるものごとの運び方である。私も探してみたが無駄だった。「ペーパー洗顔モゲハ編」のキャンペーンについて、何も見つからなかった。

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 正式に謝罪することは、当然のことであると同時に勇気の要ることだ。だが、まるで“何事もなかった”かのように“歴史を書き換える”のも当然のことだろうか?

P.S. このコマーシャルをご覧になった方は、ご意見をお聴かせ下さい。

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パリのメトロ構内では、トップレスの美女の写真が、太陽が降り注ぐ楽園ヴァカンスをディスカウント価格で売り込んでいる…

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 近づくと、意地悪な落書きが見える。モデルのお尻からは大きな“おなら”が吹き出しているのだ…パリ交通公団によれば、これは破壊行為にほかならない。事実、公団はメトロのポスターを覆いつくす落書きをなんとか消そうと、莫大な時間を費やしている…落書きの犯人たちは、捕まるとこう主張している。我々は広告に侵された公共空間を取り戻そうとしているにすぎないのだ…

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ポスターにさらに近づくと、広告に反対するフェミニスト団体の“ステッカー”が貼られているのが分かる。
「女性は売買されるモノではない」

 とどまる所を知らない落書きの氾濫か、はたまたフェミストの闘争か。メトロを舞台に、パリ交通公団と反広告論者のあいだで、ちょっとしたゲリラ戦が始まっている。

インタラクティヴィティー(双方向からの対話)のなんと見事な事例!

(イメージを拡大するにはクリック!)

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