忘れられし白いワイシャツ罪人のごとく西陽にさらされている


        
                   

踏み越えてきたはずなのに今もまだ背につきまとう思想というは


                

「幸せの歌」いまは歌わぬ駅頭に君との距離を確かめている


                 

菜の花の溢るる写真雪の夜に燦々と季節の扉をひらく


          

透明な獣のごとく駆けぬけて夜の疾風(はやち)は荒く息づく


              


いつの日かおもねておりし体制という大きなる河暗きなる河


                


さりげなく無言の想い行間にこめて書きゆく雨の夜の文