『ブラック・スワン』

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これは、、
何から書けばいいんだろう。


去年9月にヴェネチア映画祭で上映されたって聞いてから、
大好きな ダーレン・アロノフスキー 監督作品ということでずっと楽しみにしてた。


できるだけ前情報なく観たかったので、
劇場での予告編はもちろん、公開直前になってのいろんな番組での紹介や
頻繁に流れるテレビCMも見ないように聞かないようにして、
情報を入れないようにしてた。


でも、

これがダーレン監督作品であること。

ナタリー・ポートマンがオスカー始め主演女優賞を総なめにしたこと。

オスカー受賞式のスピーチで、
彼女が涙を流しながらダーレン監督に感謝の意を伝えていたこと。

それだけで、もう私にとっては十分過ぎる情報だった。

こんなにも私を圧倒する作品だということは、最初からわかりきっていたのだ。




 $まいふぇいばりっと ゆる日記 Black Swan



  本 ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(ナタリー・ポートマン)
  は、元ダンサーの母親・エリカ(バーバラ・ハーシー)の寵愛のもと、人生の全てを
  バレエに捧げていた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが
  訪れる。だが純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も演じねばならない
  この難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの高すぎる挑戦であった。
  さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリー(ミラ・クニス)の出現も、
  ニナを精神的に追いつめていく。やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥った
  ニナは、現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくのだった……。




「表現者としての苦悩」とでも言おうか。


自分を支配する母親、容赦ない舞台監督、プリマの座を脅かす新人。
そして何よりニナを追いつめたのは、
ブラック・スワンを「完璧」に踊りたいという自らの高みへの切望。


高い技術力は持っていても、感情がうまく表現できないニナ。
芸術監督トマ(ヴァンサン・カッセル)に
「どう踊りたいんだ?」と聞かれ
「・・・完璧に」と消え入るような声で答える。

「完璧ってのは技術だけじゃない、殻を破るんだ!」


ニナにいきなりキスをし官能を呼び覚まそうとするトマは、
まさにオデット姫の耳元で堕落を囁く悪魔ロッドバルトのようであり、
ナタリーを極限まで追い込むダーレン監督のようでもありーー


不安、羨望、嫉妬、執着、、いろいろな感情がない交ぜになり、
次第に強迫観念にとらわれていくニナ。
もともと彼女の視線で描かれているので、
見ている方も現実と妄想が交錯し混乱する。
目に見えていることが真実とは限らない。つのる焦燥感ーー

そのへんの演出が、映像と音楽とでこれでもかと迫ってきて、
何度鳥肌が立ったことか!途中で寒くなって上着着たし(笑

さらに音と映像が加速し、たたみかけるように収束に向かうラストは
『レクイエム・フォー・ドリーム』を彷彿させる。
まさにダーレン・アロノフスキーの世界!!

クライマックスの舞台では、
自己を解放し文字通りブラックスワンと化すニナの迫力と美しさに、
鳥肌どころか心臓を鷲掴みにされた。

は~~っ、疲れたーーー
多分息も止めてたな、(笑



「白鳥の湖」では純真無垢な白鳥と邪悪な黒鳥をひとりのダンサーが踊る。
白と黒、光と影、正気と狂気、抑圧と解放、、
それらは表裏一体で対をなし、私たちの内にも混在するもの。

壊れてゆくほどに完璧に近づく残酷。
でも、そもそも境界線だってなかったはず。


バレエに限らず表現者、芸術家たちは
こうやって精神的な葛藤を乗り越え、どうにかして自己を解放し、また保ち、
狂気とスレスレのところでつま先立っているのね。

ライバルは他者に非ず、己自身。自身の弱さ、心の闇。
それを認め、許し、受け容れることができなければ前には進めないー。


一見チャラくてセクハラまがいの舞台監督トマが、実はこの作品のテーマを語ってた。

 "The only person standing in your way is YOU. Let her go.
  Lose yourself. "

 
 君の行く手を阻んでいるのは君自身なんだ。
 もうやめるんだ、自分を捨てろ。




ナタリー・ポートマンが素晴しかったのは誰もが認めるところ。
そして、彼女の鬼気迫る迫真の演技を引きだしたのが他ならぬダーレン監督。

『レクイエム・フォー・ドリーム』でのエレン・バースティンやジェニファー・コネリー、
『レスラー』でのミッキー・ロークらと同じように、
彼らを役者としてギリギリまで追い込み限界に挑戦させた。


ダーレン、いつもの手でまずは役者を肉体的に追い込む。
レクイエム・フォー・ドリームではジャレッド・レトに11kgの減量、
レスラーではミッキーに6か月でプロレスラーの体を造らせたけど、

今回もまたナタリーに一日5~8時間のバレエレッスンを10か月と9kgの減量。
フィジカルな準備が整えば、メンタルな部分も研ぎすまされ、
あがってくるのがプロの役者なのか。
すごいわ~


レスラーのミッキーと同じようにこちらもナタリーへのあて書きで、
やはりナタリーでなければ成立しなかった作品。
構想は10年も前からだったとか。

何かに取り憑かれ、
ついには自己を破壊させてしまう極限までの展開はレクイエム・フォー・ドリームでも。



他のキャストでは、
ニナとは対照的な奔放なリリーを演じたミラ・クニス、
くるくる動く大きな瞳とハスキーな声がとても魅力的だった。

ウィノナ・ライダーが出てるのは知らなくて、
ちょっとびっくりしたけどイタイ役どころがハマってた。
しかしあの役やらせちゃうって、ダーレンやっぱきっついわ~(泣




終わってみて、、 いやはや凄い映画だった。
エンドロールが流れる中、自分でも意外だったけど泣いてしまった。
なぜだろう、、
ダーレンがまたしても魅せてくれた、という嬉しい涙だったのかな(笑


彼が「『ブラック・スワン』は『レスラー』と対になる作品」
って言ってた意味もラストシーンでわかった ひらめき電球

「いつかアート系の劇場でこの2本立てを上映するのが僕の夢」とも言ってたな。




でねー、またまた観賞後軽く放心状態になっちゃって、ですねー。
足腰ガクガクしちゃうし、手は震えるし。
六本木から渋谷へ帰るバスの中、私かなり危ない人だったと思う。。笑
いろんなことやいろんな人のこと、考えちゃったな~



だーれーーん!
わたし決めた!一生あなたについていきますからーー !!







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