私の年齢で、技術翻訳・通訳のキャリアだけではこのご時世、どうにも職は見つからぬらしいと観念して、この頃はもっと特化した分野の勉強をしている。

家で勉強していてもよいのだが、この寒さで暖房費がかさむ。そこでパソコンと本を抱えて出かける先は2か所。駅前のマクドナルドと、近所の「ふれあいセンター」なるイカニモ的な名前の付いたハコモノ福祉施設。

マックはコーヒーが120円かかる。でも時としてタイムサービスでタダになる。喫煙席があって、パソコンの電源は自由に使える。

「ふれあいセンター」の方はご苦労なしのじいさんばあさんどもがおしゃべりしたりテレビを見たり碁を打ったりしているロビーか大部屋で、湯茶がタダ。

一昨日もこのセンターでせっせと本を読みつつ、聴くともなしにテレビドラマを聴いていたら・・・

覚せい剤密輸組織とつるんだ政治家の秘書が、選挙前のもみ消し工作のために殺人を重ねる。証拠をつかんだ警察官が当確の出た政治家の前で(なぜか取調室ではなくて戸外)それを出して追い詰めるとついに犯行を認めたのはいいのだが、突然その場に乱入してきた暴漢がナイフで政治家を刺そうとする。ところが何人もいる警官どもはうろたえるばかりでなにもしない。で、政治家をかばおうとした娘が刺されてしまう。

大失態。ところが譴責されるのは必至、下手をすると免職されかねない警官どもはあわてるかと思いきや、政治家に向かって「娘さんはお父さん、あなたが好きだったのですよ!なぜそれがわからないのですか」などと出来損ないの人情話みたいなお説教を喰わせる。カフカの小説の一番夢幻的なくだりにだってまず出てきようのない、まぎれもない気違い沙汰をやっているから驚いて吹き出してしまったのだが、ドラマを見ていたじいさんばあさん達は全然ピンとこない顔をしていて(どうやらこの国では、悪徳政治家にお説教して肉親の情に目覚めさせると、突然真人間になって悪事に手を染めなくなると本気で思われているらしい)、むしろこちらが顰蹙を買ってしまった模様だ。

ところでこの「証拠」だけど、アリバイ工作をあせった秘書がナースコールを装ってかけた携帯電話に、殺された被害者の携帯電話の着信音が偶然入ってしまったのを看護婦が憶えていた、というもの。この、犯人があらぬ場所であらぬ時間にかけた携帯電話に偶然なにかの音が入っていたのが決め手になる、という紋切り型が最近の刑事ものドラマに多いのには、将軍ちゃまの国がわが国民を発狂させようという狙いがあるものと思われるんじゃないですかねえ。

というか、もういっそのこと、テレビドラマなんてやめちまったら?

かのゲッベルスだってもう少しましな嘘をついたものだ。それも、もっと上手に。今の世のこの国における彼の後継者たちの仕事ときたら、手際が悪すぎて認知症にでも罹らない限り「鑑賞」すらおぼつかない。

まあこういうことを言うのが野暮なのはわかっていますけどさ、それにしてもあまりにも無残だ。


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番外

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 これはまた、なんとも怪しい記事だこと。

 でー、こういう場合はお得意の「狙い」を解説してくれないんですね、わが国のマスコミは。

 「トカゲのしっぽを切る狙いがあるものと見られます」って、説明してくれない。


 それにしても、この記事の文章ってすごいですよね。「朝日新聞は6日、漆間氏に名前を明かすよう求めたが、断られた」っていうんですが、いったい誰の「名前」を尋ねたのか、書いてないからわからない。文脈からすると「特定の議員」の名前ともとれないことはないことはないことはない、かもしれないんだけど、断定できない。えもいわれぬ怪しさですな。


 もしかして「薔薇の名前」だったりして・・・。

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正月早々大漁です

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 ちょっと時期遅れのタイトルですが、一月の下心界はそうとうにぎやかだったようで、私のかぼそい定点観測アンテナにもかなり掛かりました。


 まずは定番から。


 「社会の不満解消につなげる狙いがあるとみられる」


 「不満があるんですよ」と念を入れているわけだ。なんでそんなに念を入れる必要があるのか、というと、入れていただかないと、私ら馬鹿な国民は間違えちゃうからもしれないからですね。狙いがあると誰が見ているのか、まったく言及抜き。ところで、チベット問題って、どうなったんですかね。ああ、もういいのか、オリンピック終わっちゃったしね。


 こちら、また定番


 「健康不安説が流れる中、健在ぶりを強調する狙いがあるとみられる」。はは。ところでほんとに元気なのかどうかは、どうして報道しないんですかね?

 くやしかったらちゃんと取材して記事書きなさいよ。


 ほらね、取材が可能な国でも狙いがあると見られるんですよ。「ガザ情勢など米新政権が和平に向け取り組む決意を示す狙いがあるとみられる」。ちゃんと電話かけて訊いてみたら?


 この他、キューバの革命50周年記念式典でフィデル氏が演説して「オバマ政権とは対話したい」と述べたのも、「関係修復の狙いがあるものと見られます」と、NHKラジオがやってました。

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除外例

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 この定点観測のターゲットを少しでもはっきりさせるために「該当しない例」を挙げなければ、と思っていたらひっかかりました。これです。


 いわく、「無免許なのに目立つ車に乗っていたのは「営業用の車で貫禄(かんろく)をつける目的があったのでは」と同署は推測している」とのこと。こういうのはオーケーなのだ。

 これだって「下心」には違いないのになぜオーケーかというと、むずかしいのだけれども、結局「下心」とそれを示す手段との間の「適合度」の大小ということでしょうかね。


 「貫禄をつける」という目的と「高級車を乗り回す」という手段は見事に適合している。だから意味をなすわけで、そういうことなら「キャディラックよりはロールスの方がいいのでは」とか「いやそれはご予算が・・・」とか「費用対効果の点はどうか」というような吟味が成立しないこともない。

 適合度が高いから、問題の人物がなにか自分の目的を隠そうという意図があった、という印象が生じない。これでは「下心」と呼ぶにふさわしいかどうかもわからない


 一方、「健康不安説を打ち消す」という目的と「空軍基地で拍手」という手段とでは適合度が低すぎる。absurd なんですわ。だから「みなさん、コイツは何かを隠しているんですよ」と言いたがっている印象が記事から匂ってくるわけです。まあそれは「タマゴを生んでみてはどうか」とか「いっそ逆立ちしてコケッコッコと鳴いた方がいいのではないか」とか「いやそれでは病み上がりだという印象からあまりにかけはなれてしまって・・・」とか「吟味」できるのではないか、というようなツッコミはさておき、結局、ニュースとして記事にするに値しない程度の取材内容を無理矢理記事にした場合に件の「・・・という狙いがあると思われます」という紋切り型が出てくるように思われる。


 ちゃんと推測の出どころも取材できているしね、キャディラックの方は。

ほらほら・・・

テーマ:

 ↓・・・さっそく来ました来ました!


http://s04.megalodon.jp/2008-1203-0855-13/www.asahi.com/international/update/1201/TKY200812010400.html


 ええ、なになに・・・

両手上げて拍手 金総書記の写真、北朝鮮でテレビ放映


将軍チャマ

2008年12月1日22時27分

北朝鮮の朝鮮中央テレビが1日放映した、空軍基地を訪れたとする金正日総書記=ロイター

 【ソウル=箱田哲也】北朝鮮の朝鮮中央テレビは1日、金正日(キム・ジョンイル)総書記が朝鮮人民軍空軍部隊を視察している写真を放映した。ラヂオプレス(RP)が伝えた。金総書記が写っているのは16枚で、中には総書記が両手を顔の高さまで上げて拍手している写真もあり、脳障害の後遺症など健康不安説を打ち消す狙いがあるとみられている。金総書記の動静報道は同テレビなどが11月25日に報じて以来という。


 うはは・・・のっけからいきなり将軍チャマ登場!これはもう、「下心」記事における定番も定番、これを定番と呼ばずしてなにを定番と呼ぼうか。下心界の首位打者だよ。

 視察したのはどこの空軍基地かとか、影武者じゃないかどうかという分析とかもなし。「・・・以来という」伝聞情報のウラもとっていないし、「狙い」があるとみて喜んでいるのはどこのトウヘンボクなのかの記述もなし。すべて通信社の言うまんま。いい商売ですねえ新聞記者って。せめて拍手じゃなくて逆立ちでもしていて欲しかったな。

 しかし「脳障害の後遺症など健康不安説を打ち消す狙いがあるとみられている」ってあなた、わざわざこんなくだらない凡ネタでデカデカと程度の悪い記事を書いておいて、読む側は他にどういう受け取り方をする可能性があると思っているんだろう、この新聞は。


 それとも他になにかもっと深遠な下心があるのかな、新聞社の方に。

 以前から疑問に思っているのだが、放送メディア、ことにNHKは「事実の報道」を任務とするはずのニュース番組において、なぜその事実の背後にいる何者かの「下心」に言及したがるのだろうか。また彼らにそういう言及を可能にさせているものは何なのだろうか。

 いや、これが「ニュース解説」とか、「報道特集」とか他の番組ジャンルならば私も疑念を持たないのだ。そういうのは単なる「事実の報道」を越えて、突っ込んだ調査とか複数の事実同士の連関を分析したり憶測を述べますよ、ということを表向きの看板に掲げているものと考えられるから。しかし表向き「事実の報道」が排他的な任務であることを装ったニュース番組でこれをさりげなくやっているから、不思議に思う次第。


 ・・・というわけで、新テーマ、新企画です。放送メディアで「・・・という狙いがあるものと思われます」という言い回しを耳にするたび、とりあげて論評を試みる。できるだけおもしろおかしく、ね。

 もっとも私はTVを持っておらず、めったに見ないので、とても網羅はむずかしい。皆様のコメント、ご注進、チクリなど歓迎。