9人目の犯人は誰なのか?が知りたくてなんだか気味が悪いのに先を読まずにいられない、

連続殺人の罪で収監中の“榛村大和”。彼を知る様々な人物からの聞き取りによってその真の姿が徐々に浮き彫りになり、主人公にもやがてある歪な変化がもたらされてゆく。

歪んだ家庭環境や子供への虐待が将来的に脳や精神に与える影響の恐ろしさや、心の隙に入り込み人の精神を思い通りに操るマインドコントロールの恐怖が、執拗に描かれる。

ラストにホッとしたのに、エピローグでまたまた落とされる。

拠り所を求めすぎる、強く依存するという精神状態が「洗脳」への道なのかもしれない。

みんなが幸せだと思うようなのが宗教で、そうでないなら・・・。

“鎖に繋がれた犬”このタイトルがそういうことだったのかと納得する。 心も体も元気なときに読まないとちょっと影響される怪しげなモノガタリだった。

★★★★☆

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鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人犯・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」そう訴える大和のため、事件の再調査を決めた雅也。パン屋の店主だった大和の人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也は大和に魅せられ始める。一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは?俊英が描く傑作ミステリ登場。