改造IX Nikkor 30-60mm F4-5.6で撮ってみた | Photograph to Life ~生活に写真を~

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先日改造してD700で使えるようにした「IX Nikkor 30-60mm F4-5.6」で試写してきました。

改造記事はコチラ
IX Nikkor 30-60mm F4-5.6を改造

・APSフィルムの一眼レフ用

元は、前にも書いたように写真にあるAPSフィルム一眼レフである「PRONEA S」用のレンズです。
ちなみに、「IX」と付くのはAPSフィルムの規格名が「IX240」だったからで、そういう意味で言えばキヤノンの「IXY」も元々は「APSフィルム使用のコンパクトカメラ」の為の名称です。

APSフィルムとそのシステムについては以下を参照されたい
アドバンストフォトシステム

APSフィルムは生産と出荷が終了して久しく、なおかつ「デジタル技術」も入ったフィルム故にロモグラフィーなどで再生産というのも現実味が有りません。

APSフィルムの利点は、「装填の失敗がない」「フィルム面に触れずに保管可能」「撮影途上でのフィルム交換が可能(対応カメラのみ)」と言うことがあったが、実はフィルムに「磁気記録層」があって、シャッタースピードや絞り値、焦点距離などのデータが書き込まれると言うことにある。デジタルカメラの「Exifヘッダ」のような物と思えば良いかと思う。

と言うようなウンチクはさておき、実は35mmフィルムのイメージサークルに対応しているIX Nikkorを改造してD700に使えるようにしたので、例のごとく「水戸芸術館」で試写してきた。

・D700にIX Nikkor

この組み合わせ、意外にも似合うと言うのが正直な感想なのだけれど、Petzvalもそうだが「観梅の偕楽園」ででも使ってみればそれなりに注目浴びるんではと言う感じwww

まずは、いつもどおりに「歪曲収差」の確認。改造により、35-60mm相当のズームになっているので、ワイド端はほぼ35mmです。「ほぼ」と言うのは、正確に画角を測定していない事と、信号ピンが汚れていてなのかExifに書き込まれる実焦点距離がまちまちになってしまうため。時にはワイド端で撮影したのに「60mm」と書き込まれていることもある。ただ、この現象が全てのニコンデジイチで起きるのか、私のD700でのみなのかは未検証です。

・ワイド端(35mm相当)

歪曲収差は樽型で、低価格の標準キットレンズとしてはまずまずの補正がされていると思う。こういった格子模様を意図的に撮らない限り気にならない。元々がAPSフィルム用なので周辺に行くに従って描写が甘くなるが、思いの外しっかりと解像していると思う。周辺光量落ちも見られない。
APSフィルムでは歪曲収差の確認をしていなかったのだけれど、この描写から見るにAPS-Hでの撮影までなら歪曲収差は殆ど無いに等しいと思う。

4528・テレ端(60mm)

格子模様と言っても、完全な方眼模様でないので若干の歪みがある訳だが、それを差し引いても歪曲収差が少ないと思う。若干の糸巻き型に見えなくも無いけれど、格子模様を撮ってもほとんど気にならない。キットレンズとしてはかなり優秀だと思う。
最も、ワイド端でF4、テレ端でF5.6と暗めな事。ズーム倍率が無改造で30-60mmと2倍であることで設計に余裕は有ったのかもしれない。

4529・水戸芸術館カスケード

今の時期は噴水が休止になっているので若干寂しげ。発色傾向は割りと素直な感じ。PRONEA SにフジのNEXIA400で撮ったものに発色傾向は似ている。
ピントについては、やはりD700は新しいだけに精度が高い。明らかにPRONEA Sよりもキレイにピンが来ている。

4532・水戸芸術館カフェコーナー

デジタルで撮っているだけに、暗めのレンズだけれど手ブレの心配はあまりない。AFで使えているのでピントを気にせず、フレーミングに集中できる。

4535・水戸芸術館「塔」

敢えて逆光で、しかも太陽が入るように撮ってみた。意外と逆光に強い。変なハレーションも出ていない。
画角が35mm相当なので、塔の全景を入れるのは無理だった。

4541・水戸芸術館カスケード(上方から)

カスケードに吊るされる岩をノーファインダーで撮影。岩の質感も良く描写できている感じ。
このレンズ縛りで撮影するというのも結構面白そうだ。

改造のためズーム範囲も狭くなっているけれど、とにかく軽量でコンパクト。それでいてズームできる。見た目のチープさの割には描写も良い。あと、ヘリコイド回転角が小さいのか「合焦が速い」のも良い。感覚的には「きちんと動いているのか?」と言うくらいに動作音も小さい。

D700やD610、D750で使うならこのレンズはスナップレンズとして非常に使いやすい。
ただし、AFやAEが使えるように改造するのはそこそこの技量と度胸が必要になるのだけは覚悟しておく必要が有るけれど...。

PRONEA Sで撮影した時の記事は以下を参照ください。
PRONEA Sで撮った写真