僕のいう宇宙の夢、または単に夢、という言葉についてここで説明しておきたい。僕はこの言葉をよく使うから。
同じ内容を何度も繰り返し書く。それでなんとなく感じを掴んで頂けると嬉しい。
とても不思議なものだと思うのである。
ある他人の書庫を眺めると、僕がああこいつは大したことをいってないよ、と思ってる作家・思想家の本がずらりと並んでいるのである。
それだけならんでいると分かることは一つ。
ああ、彼らを好きになる一つの流れがある、と。
僕が、実はあまり大したことをいってないなあ、と思う人たちは、一見深層にふれているような話題に触れていながら頭で考えすぎで、そのために深みに足を踏み込むことがなかったであろう人たちだ。
彼らの理由はわからない。
深みが見えないのか、先にいくことを怖れているのか(そういう深みは大概にしてオカルトっぽくなるからだ。)、見えるけれど先に行く能力がないのか。
でも、それにしても、その先にまだまだ先がある可能性を考慮してかせずなのかはわからないが、わかっているような感じで書く態度がどうにも理解できないのだった。
しかし、そういう人ばかりに限ってある人は好きだ、凄いという。
こういうことってどんな物事にもある。
そういうとき、僕はあらかじめ存在しているその人たちの流れをみる。
他の言い方でいえば世界観、尺度、視点、タイプ。
僕はかれらは同じ宇宙の夢の一部なのだと思っている。
ある何かを成し遂げようと同じ方向に向かっている人々。たとえ肉体として誰かがいなくなったとしても、変わったとしても、その先を、同じ夢をみていた人がそれを継いでいくものだ。
歴史というのはそうやってできていく側面がどうしてもある。そのために、それは一時期「ミーム」と呼ばれたものであろうと思う。
あらかじめ存在しているようにしか考えられないある方向性。そこから何が発生してくるかはまだ見えない。でも繋がっているもの。創造されるものは、まだ無いが、見える人には見えている。すでにあるもの。
武術のお話。武術では良い師匠と出会うことも重要なことだといわれている。
では、どうやって何も知らない人が良い師匠を見つけることができるだろう?
だから、かなり多くの人は、ただやみくもに情報誌や他人の言葉から「良い」といわれている人のもとにゆき、ただ闇雲にその先生を信じ、練習するのであるが、
そういうとき、私たちはどこかで「強さ」「達人」などのイメージと会話をしている。
そして、微細ではあるのだが、常に確実に、あらゆる決断を迫られる瞬間瞬間にそのイメージは本人の判断に影響を与えている。
もちろんそのイメージは思い込みであることもある。しかし、ふと、鼻先をかすめる香りのように、ふわりと脳裏をよぎるなにか神話的なイメージがある。
それは消えるものではない。人は人生の中でつねにその像を追い求める。見失うと、というか拒否すると、その人はずっと心のどこかでそれを追い続けることとなる。
この像に正対して向き合い一歩でも近づこうとするとき、人は力を得る。
それは子供の時にみた夢である場合も多い。もちろん象徴的な像を借りているだろうが。
それは遠くに見える何か。
すごく身近でありながら、すごく遠いもの。
自分が、自分である夢に成りえた人は、幸せである。
では、それを何故僕は「宇宙の夢」と呼ぶのか。
それは、起る構造が、いわゆる普通の夢と非常にそっくりである(そしておそらく同じ)からだ。
ただ「宇宙の」というのには、根拠は無い。別に「地球の~」でも「神の~」でも構わないのだが、僕が「宇宙の~」と呼ぶのが好きなだけであることは断っておく。
この「夢」というのはイメージそのものではない。イメージはそれを生み出している「力」のその瞬間の写し身にしか過ぎない。人もまた然りである。ただ期間の長さに違いはある。
人や、また物自体というのは、ある瞬間における「夢」または「力」の像でしかない。そのときに可能であった結果でしかない。人やものというのは型であり、夢はそれに姿を映し、そして通り過ぎていく。
夢のなかの像は、その夢を作り出す力そのものではない。力には姿がない。
人やものというのは、ある独特のスペクトルをもった鏡のようなものでもあり、そこにその独自性がある。それぞれの反射可能なスペクトルによって、鏡は様々な姿かたちを映し出す。しかし、鏡の中の像は結局光でしかないように、その像自体なわけではない。
この「力」または「力動」こそが自然であり、「像」は結果である。
力に名前をつけてしまうことによって、それは名前という像を帯びてしまいそれ自体ではなくなってしまう。だから本当はなんと呼ぶこともできない。
だが、人間は結果しか感知できないから、それを、その「力」自体(こう書いている自体で矛盾しているが、便宜的に。)を知ることは出来ない。
僕らが見ている夢は、宇宙の夢であり、それはどこに向かおうとしているのか。
僕はそれにとても魅了されるのである。
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