偽クレモンのブログ

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〇Americana Show<現時点(1989年現在)での断面図を見せる50枚、の9>

見たことも聞いたこともないタイトルとジャケ、と思ったら、エジプト国内向けに作られたカセットとのこと。そんなの紹介するなよ。あんたのレビュー読んで興味もっても誰も買えねぇだろ!と思うが、当時入手できなのかな?いずれにせよ、流石のyoutubeにもこれは見つからないだろうと思ったら、あった!すげーな。予備知識はとうよう師の簡単なレビューのみ。じゃ、聴いてみる。

Americana Show (Egypt) - Maganeen (youtube.com)

 

3曲続けてアップされており、1曲目は判る人も多いと思うが、ロック・ミー・アマデウスのパロディというか、パクリというか、引用というか。作者の’つもり’がどうだったのか?いずれにせよ、全米で1位を獲ったよな有名曲をアラブ風ヒップホップに仕立てるアイデアは、当時としては画期的、たぶん。元曲が’85年リリースなので、この曲は’86~’89リリース。アラブのヒップホップの攻勢は’90後半くらいから始まったはず(私もコンピレを持っている)なので、この曲は魁と言えるかも。流石に作り込みは甘く、如何わしさが足りないが、魁はそれだけで乙とするべし。

 

2曲目は知らない曲だったので調べてみたら、ブラジル人のデオダートという人が演っている曲を見つけた。この人のオリジナルかどうか判らないが、ほぼ同じアレンジなので、デオダートのテイクを元にしているのだろう。正直、このしょーもない元曲を取り上げたのは、この曲は良い!カバーしたい!と思ってのことか?面白がって茶化してやったのか?ま、どっちでもいいが、この曲も、もっとアラビックなパーカッションをガンガンに入れたら、清涼な屁みたいなヴォーカルとのコントラストが効いてもっと良かったと思うが、この時代はこれが精いっぱいだったのだろう。アルバムの流れの中ではこれはこれで良かったのかもしれん。

 

3曲目はなんと’イパネマの娘’のヒップホップ化。面白い。ヴォーカルは同じ人なのかな?2曲目は極力アラブ臭を抑えた無味無臭のスウェディッシュポップみたいな歌唱で、この曲は軽やかにアラブ臭を混入させている。緩急というか、押し引きというか、塩梅がいい。プロデュースにセンスが光る。直接時代を作っていく音じゃないかもしれんが、’90以降のアラブポップの試金石の1つにはなっていると思う。

 

とうよう師のレビューを引用する。’ラップとかが黒人音楽の正常な発展形ではなく、ヨーロッパの毒が回ったアフロアメリカンの哀れな断末魔でしかないことは僕が毎回言っているとおりだが、ヒップホップもアジア~アフリカに取り込まれたら正しい大衆音楽のテクニックとなるわけだ。’・・・とうよう師が米のヒップホップを一切認めてなかったのは有名で、ランDMCのアルバムに誌上で0点を献上し、あげくのはては誌上でランDMCと対談をやらされたりと当時、大暴れしていたわけだが、言っていることは半分くらい認める。私も本ブログの’M.M.年間ベストを無理くり聴いてみるシリーズ’でヒップホップをいくらかは聴いたが、本家よりも日本のヒップホップの方が遥かに面白かった。少なくともバックトラックは日本産の方が音楽性豊かで優秀だと感じた。アラブ圏も長い長い文化の蓄積がある。いい加減に思える音楽でも地肩の強さが醸し出されるのやもしれん。

 

今日は以上で。