えー、時すでに昨日のことと相なった訳ではございますが、姉さんが、少々の現金を引き出そうとATMに行ったのでございます。

「先週から、さっさと行っておいでと言ってるじゃないか」
「反対の方角には用足しがあるんだけど、その銀行のある方には、なかなか行く用事がなくってね」
「何をお言いかね、この子は。お金を引き出しに行くってぇのが用事じゃないかい」

ごもっとも。
何件かの用事が同じ方角、その銀行だけが反対方向となると、姉さんは面倒臭くなるのでございます。

さて、それから数日が過ぎまして、その銀行と同じ方角の用事がいくつかできました。
「よし、あそことあそこ、その途中に銀行のATMに」
と出かけて行ったのでございます。
時刻はもう6時近かったでしょうか。
普段あまり行くことのない銀行で、ATM
のタッチパネルも様子が違います。
そのせいか、操作の途中で
「手数料がかかるか確認するか?」
と聞かれたので、
この銀行は親切だな→いや、夕方5時を過ぎたらこの銀行は現金を引き出すのに手数料かかるのか?→詐欺対策?
と思いながら、「確認する」をタッチしたら、カードとエラー番号が印字された伝票が出てきたのでございます。
「隣の人は普通にできてたっぽいのに」
「金額がおおきいのか?」
「限度額いくらだろう」
「平日の夕方、取引店で引き出すのに手数料かかるなんて、やだ~」
2度3度やってみても結果は同じ。
店内の掲示物をウロウロ見回して、手数料が何時からかかるとか書いてないだろうかと、探して回り、諦めてまたATMを操作してみる。
ふと、出てきたキャッシュカードを裏返してみると、違う銀行の名前が書いてあったのでございます。
後でよく見ると、表にもそれは小さな文字で記されていたのでございますが。
仮に今いる銀行をオタフク銀行、カードの銀行をブルドッグ銀行といたします。
「カードを間違えて持ってきたのか。だから手数料確認とか出てきたんだ。それどころか、使えなくてエラーになったのね。馬鹿だわ、私」

姉さんは間違ったことを反省して車に戻り、改めて持って行った通帳も確かめてみたのでございます。

「ブルドッグ銀行、か………ブルドッグ銀行⁉︎」
二度見したところです。

通帳の名義は間違っていない。
ということは?

「行く銀行を間違えてた~~‼︎」

だからさ、先週からさ、ずーっとオタフク銀行に行かなくちゃと思っててさ、通帳もカードもこれだからって準備しててさ、何の疑いもなく思い込んでたってわけね。
しかも、行くべきブルドッグ銀行はさ、もっと近くてさ、道路脇に設置されてるATMなんてさ、もっともっと近くてさ、肥後何処さって………

と、車に乗って数秒で気づいて、自分のアホさに笑いましたよ。

「どうかしましたか?ATMで問題でも?」
と仏頂面のおばはんを見咎めて行員が追いかけて来たわけでもないけれど、
「大丈夫です、銀行を間違えただけです」
とエヘラエヘラしながら心の中でつぶを焼き、いや呟き、ブルドッグ銀行に向かったのでございました。

ダッサ~





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